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弾圧シフト着手・強化へ

 警察庁は、11月7日~14日に横浜市で開催される各国の支配者たちのための「談合」フェスティバルであるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の警備と称してグローバル派兵大国建設の一環としてある対テロ戦争型治安弾圧体制の構築を加速化させている。


▲2008年G8サミット開催時の唯一の「暴力事例」
-警官隊によるデモ隊襲撃と車両破壊


 七月に入って各都道府県警察の機動隊長、各管区機動隊の連隊長、連隊副官、大隊長等の現場指揮官をかき集めてAPEC会場であるみなとみらい21(MM21)地区の「APEC開催に向けた指揮官等の合同実査」を行った。片桐裕警察庁次長(APEC警備対策委員会委員長)は、「実査を踏まえた的確な警備の実施。精強な部隊の錬成。自県における警戒警備の徹底と一般治安の確保」などを強調した。会議には21カ国・地域の首脳、配偶者、閣僚の84人が参加するため全国警察本部から1000人以上の警護官(SP)を配置、周辺警戒も含めて約21000人以上の警察官を配備する「戒厳」状況で対応しようと準備している。

 北海道洞爺湖サミット時には重包囲によって警備体制を敷くことができたが、横浜APECの会議場である「パシフィコ横浜」およびMM21は、「閉鎖しにくい都市部の施設」「不特定多数の出入り可能」なゾーンのため通行人の出入りチェックと職務質問の強化、車両規制、民衆の政治・表現活動・人権・生活破壊を強行しながら厳重警戒態勢を優先せよと「檄」を飛ばしている。

 同時に公安政治警察をフル回転させ、「反APEC」を掲げる反グローバリゼーション運動勢力を「暴動の危険性」があると規定し、その動向・事前調査の集中、活動家リストの蓄積、監視・追跡の貫徹でもある。従来通りの公安弾圧態勢の延長のうえに「予防拘束」を目的とした微罪逮捕・家宅捜索を繰り返し情報収集、いやがらせを強行することで「意志一致」していることは間違いない。事実、この間公安の公然部隊によって運動関係の会議、諸集会参加者への監視、盗撮のための人員配置の増加、車両配備までした複数人員による尾行の繰り返しによって活動家情報を蓄積している。

 また、APEC会議開催時の周辺の集会場を使わせないために使用中止・休館措置の指導を行い、会館当局は忠実に休館措置も含めて制限してきている。

「2010年APECの成功に向けて」警察庁の「戦闘宣言」

 このような弾圧シフトは、すでに警察庁「平成21年 警備情勢を顧みて 回顧と展望」で「2010年APECの成功に向けて」と題して「戦闘宣言」を発している。宣言は、「APECをめぐっては、依然として厳しい国際テロ情勢に加え、反グローバリズムを掲げる過激な勢力等による大規模な暴動の発生が懸念されること、21の国と地域から多数の要人が来日すること、公共交通機関等のソフトターゲットに対するテロや市街地で行われる抗議活動に周囲の野次馬が突如加わることによる大規模な混乱等が危惧されることなどから、北海道洞爺湖サミット警備以上に困難な大警備となります」と決意表明だ。

 「国際テロ情勢」では「アル・カーイダを始めとするイスラム過激派」を取り上げ、「東京の米国大使館を破壊する計画等に関与したと供述していたこと等にかんがみれば、APEC開催を機に、これらの施設を標的としたテロが発生することが懸念されます」と危機アジリし、弾圧シフトの強化を押し出すのである。そして、同列で反グローバリズム運動を階級敵としてレッテル張りだ。憎しみに満ちたトーンで日本の新左翼諸派を罵倒し、わざわざ「反グローバリズム運動が主要テーマとする貧困問題等を闘争課題に掲げ、同運動に取り組む団体の組織、活動に介入したり、セクト色を巧みに隠して反グローバリズム運動に取り組んだりしています」とクローズアップし、JRCL(日本革命的共産主義者同盟)がその組織の一つだと名指し、弾圧していくことを表明している。

 しかも「北海道洞爺湖サミット警備における外国治安情報機関との協力関係」の成果を自画自賛し、APEC弾圧を「国内外の治安情報機関等との連携を一層緊密化し、テロ関連情報の収集・分析を強化するなどして、不審点の徹底解明等を推進」することまで確認している。そのために「テロリストの入国を阻止するため、入国管理局や税関等関係機関と連携して、国際海空港における水際対策を強化するほか、テロに関する不審情報を確実に入手するため、爆発物原料取扱業者、旅館業者、不動産業者等、テロリストが犯行の準備段階において利用する可能性のある施設の管理者に対して、警察への協力を要請するなど、テロの未然防止に万全を期することとしています」と結論づけ、諸機関、民間を動員しぬくと号令をかけている。

 「国内外の治安情報機関等との連携」構想と関連して警察庁は、警察フォーラムを開催する。8月5日、パシフィコ横浜会議で「APEC首脳会議の安全な開催に向けて」と題して「国内において過激化するテロリスト対策や反グローバリズム勢力対策に優れた知見を有する英国の専門家及び警察実務者の報告を基調として、テロ対策研究者等を加えて討論を実施し、APEC警備対策への市民の理解を深めるため開催する」などと反テロ対策を漫画的に描き出し、権力が「得意」とする自らに都合がいいシナリオをでっち上げ、いいかげんな分析を土台にしながらキャンペーンを行うというのだ。さらに8月6日には、国立京都国際会館で「グローバル化時代の治安対策」というテーマで国際的な弾圧戦線作りに踏み込み、デマキャンペーンを撒き散らす。

「平成22年神奈川県警察運営重点」通達の実態

 このような主観主義に貫かれた警察庁の弾圧構想は、「平成22年神奈川県警察運営重点」(09年12月)の通達で、さらに人権・憲法を全く無視した内容で具体化している。通達は、「全国植樹祭及びAPEC総合対策の推進」という項を設けている。全国植樹祭警備(5月23日)に関しては「極左暴力集団や反皇室グループ等が抗議行動に取り組むことが予想されるほか、式典妨害事案等の不法事案の発生が懸念される」と断定し、「日の丸・君が代」の強制と法制化に反対する神奈川の会、全国植樹祭さよなら!森林浴の会などの反天皇制活動家に対する長期の監視・追跡を行ってきた。植樹祭当日にいたっては現地警察本部の設置、県警ヘリコプター2台、2000人以上の警官配置、機動隊とセットで公安政治警察によるデモ隊へのサンドイッチ規制といやがらせを強行した。

 この悪行は、自動的にAPEC弾圧に移行し継続展開している。通達では「APEC首脳会議等に伴う警備の万全を期すため、情報収集の強化及び違法行為の取締りを行う。また、地域安全安心協力会をはじめとした各協力会等との相互理解を深め、官民一体による協力関係を構築し、通報・連絡体制の強化、爆発物原料の管理強化及び公共交通機関等のソフトターゲットに対する自主警備強化に向けた管理者対策等を推進するなど、将来にわたる県警察の財産となるように組織の総力を挙げた諸対策を推進する」ことまでヌケヌケと「豪語」している。

APEC被害を阻止していこう

 このように着手してきたAPEC重弾圧態勢によって、ついに「被害」が表面化し始めた。毎年、8月に藤沢市は江ノ島花火大会を開催してきたが、藤沢署の「APECの警備訓練のため例年通りの警備は困難」という申し入れによって8月3日に規模を縮小した「江ノ島納涼花火」を行うというのだ。しかも他地区の花火大会は例年通りの規模で開催するのだが藤沢市だけが、この時期に藤沢署の警備態勢事情によって変更してしまった。しかも中小観光サービス、飲食業にとっては夏期休暇の商売繁忙期にもかかわらずだ。営利打撃は必至だ。民衆に対しては、行楽行事への圧縮強制することによって警備協力を強要し、その浸透を広げ、「民衆の警察化」に動員しようとねらっているのだ。

 「APEC被害」はこれだけではない。横浜市は、警察権力の指導によってMM21地区の住民(約7000人)を対象にした身分証「住民確認カード」(顔写真、名前等明記)を発行し、常時携帯を強要しようとしている。さらに住民所有の車には、通行証を発行し、常時携帯しろと言っている。市のAPEC開催推進担当は、警備による住民に対する職質・荷物、車両検査などのチェックによって生活上の「不便が生じないよう配慮する」ためであり、カードをつくるかどうかは住民の任意などと言っている。しかし「できるだけ多くの住民にカードを発行したい」と強い要請をしているように実質的に住民全員が携帯しろと言ってるのだ。

 権力の手前勝手な都合によるカード携帯強要だが、その核心的獲得目標は、住民の個人情報のデータベース化の蓄積によって公然とプライバシーを侵害し、監視・管理にあるのだ。わざわざ偽造を防ぐため複写防止技術を導入することまで明らかにし、偽造カードを使った「不審者」の侵入の危険性をも想定している。要するにカード・通行証を持たない住民は、第一級の「不審者」「危険車」として認定してしまうシステムを作ろうとしているのである。

 さらに地区被害の押し付けは約1200社以上の企業、店舗の労働者までに広げようとしている。企業車の通行証携帯はもちろんのこと住民と同様に「通行カード」常時携帯、個人情報のデータベースの蓄積による「不審者」「危険車」のあぶり出しシステムを今後の治安弾圧態勢作りに貢献させようとしているのだ。このシステムは、先行的に神奈川県が「APEC首脳会議対策協力会」(09・11・26)を各行政、公安委員会、警察署安全安心協力会など約340団体で発足させ、地域の防犯協力グループを先兵とした草の根弾圧システムとして作り出してきた。また、不動産業界を動員し、大迷惑な住民監視・調査、「不審者」・「アジト」摘発運動も展開中だ。会議開催期間前も含めた企業、店舗休業の強制など経済活動に対する圧力も予想される。現局面だけでもこれだけのAPEC被害が浮上している。

 そもそもこのような横浜APEC弾圧態勢は、01年の9・11米同時多発テロ以降、ブッシュ政権の対テロ戦争に小泉政権も積極的に参戦し、自衛隊派兵を強行するとともに国内治安弾圧作りの流れから強化されてきた。警察庁は、「緊急治安対策プログラム」(03年8月)をまとめ、

1.犯罪抑止のための総合対策
2.組織犯罪対策と来日外国人犯罪対策
3.国際テロ対策とカウンターインテリジェンス(諜報事案対策)
4.サイバー犯罪及びサイバーテロ対策
5.監視強化のためのNシステム導入拡大、駐車違反摘発民間委託

などの総合的な交通事故防止対策を打ち出した。

 「テロの未然防止に関する行動計画」(04年10月)では、日常的な防犯活動と連繋し「不審者・不審物」摘発など「テロ」対策を推進していくというものであった。この行動計画とセットで警察権力の主導で「安全・安心まちづくり」等の条例を各行政に対して制定させ、治安弾圧に民衆を動員し、現代版「隣組」組織を網の目ではりめぐらし相互監視を強めてきたのである。しかも警察官僚の天下り先である警備会社・セキュリティー産業を育成させながら、防犯カメラやNシステムを設置拡大さえも推進していった。このような政策推進の途上の一里塚として大イベントとして演出しながら横浜APEC警備と称する対テロ戦争型治安弾圧体制の構築として位置づけていることを注意しなければならない。

反弾圧戦線の強化を

 11月に向かう過程において、警察権力は、APEC警備に便乗した治安弾圧体制のレベルアップを促進し、これまで以上の人権・生活破壊を強化しようとしてくる。当然、在日米軍基地、米軍諸機関など各国の軍事・警備機関、そして日本の自衛隊と諸機関との連携が強められていく。とりわけ在日米軍基地がある大和、座間の防犯協会などを中心に「大和署APEC等協力会」「APEC座間市安全安心協力会」を設立させ、住民監視・「不審者摘発」活動を警察の先兵として活動中だ。このような地域住民を巻き込んだAPEC被害はさらに広がっていくだろう。支配者と権力機関たちによる人権・生活破壊の拡大の暴挙を許さず、はね返す反弾圧戦線を強化していこう。

(Y)

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