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インターナショナル・ビューポイント オンライン・マガジン : IV413 - June 2009

ポピュリスト右派が側面防御する新自由主義
  ―喜ばしい例外はポルトガルの躍進
http://www.internationalviewpoint.org/spip.php?article1677

フランソワ・サバド

 第一に今回の欧州選挙で確認されたことは、広範な民衆の棄権であった。60%近い有権者は投票所に赴かなかった。この棄権は欧州における真の力関係についての歪められた見方を与えるだけである。しかし今回の選挙結果は、この枠組みの中で自らの政策を進めてきた欧州連合と政府与党の正当性の危機を確証するものである。


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登場した大きな流れは、まず全欧州規模での右派の台頭である。

 右派は現在政権を担当している大国、ドイツ、フランス、イタリア、ベルギー、オランダ、ポーランド、オーストリアで勝利を収めた。ブルガリア、リトワニア、ラトビア、スロベニア、キプロスでも右派の政党が第一党となった。

 右翼のうねりは、一連の諸国におけるポピュリスト右派、あるいは極右勢力の台頭を伴っている。とりわけオランダではギールト・ヴィルダースを代表とする極右の嫌イスラム・反欧州政党が得票の16.4%を獲得し、四人の欧州議員を得た。オーストリア、フィンランド、ハンガリーでも反移民キャンペーンに関わってきた極右勢力が支持を集めた。英国では、英国民党(BNP)が6.7%の得票で二人の欧州議員を獲得した。ギリシアでも極右組織のLAOSが躍進し、7.2%を得た。

 社会民主主義政党は、とりわけ政権についているイギリス、スペイン、ポルトガルで後退した。ドイツでは社会民主党が最悪の選挙結果の一つであるわずか二一%しか得票できず、文字通りの大敗北となった。フランス社会党の破綻については言うまでもない。社会民主主義政党が成果を収めたのはギリシア、スウェーデン、デンマーク、スロバキア、マルタだけである。


 右派や社会民主主義の巨大な伝統的機構が危機に見舞われている諸国では、全体としての左翼改良主義を通り抜ける形で、緑からラディカル左派に至る勢力にとってのスペースが創出された。

 約60人の欧州議員をかちとった緑派は、今回の選挙で勢力を拡大した。最も目立った躍進の一つの例は、フランスでコーンバンディ率いる連合によるものである。

 デンマークの組織「EU反対民衆連合」は、キャンペーンの中心をEU反対、実際には反欧州に設定し、「赤と緑の連合」のメンバーであり第四インターナショナルのメンバーでもあるソーレン・センデルガードの欧州議員再選を勝ち取った。

 ドイツの左翼党、オランダの社会党、フランスの左翼戦線(訳注:社会党から離党した部分と共産党で構成)といった諸党は、新たな躍進はなかったものの選挙での位置を維持ないし増大させた。

 イタリアの共産主義再建党は三・二三%を獲得したが、欧州議会での議席を得られないだろう。

 イギリスでのラディカル左派の結果は失望をもたらすものであり、NO2EUリストはアーサー・スカーギル(元炭労委員長)のSLP(社会主義労働党)と同様に一%の得票にとどまった。

 ギリシアのSyrizaは4.7%の得票で欧州議会に一議席を得たが、目標の三議席を達成できなかった。

 フランスのNPA(反資本主義新党)はその選挙基盤を確保した。NPAは前回2004年の欧州議会選挙でのLCR-LOリスト(革命的共産主義者同盟と労働者の闘争派の共同リスト)に比べれば前進した(2・3ポイントの増)が、欧州議会の議席を得られなかった。

 多くの反資本主義左翼にとっては、今回の選挙は初めての厳しい体験だった。ポーランド労働党、スペインの反資本主義左翼、スウェーデンの労働者イニシアティブ、ベルギーのLCR-PSL(革命的共産主義者同盟―社会主義闘争党)、スコットランド社会党(SSP)は立派な選挙運動を闘ったが、結果は一%を超えることはなかった。

 反資本主義左翼については、リスボン条約反対運動につづいて今回の欧州議会選挙で一議席を獲得したアイルランドの社会党、そして10.73%を得票し三議席を獲得して真の飛躍――ラディカル左翼あるいは反資本主義左翼にとって唯一の飛躍――をなしとげたポルトガルの左翼ブロックの特筆すべき成果に、われわれは焦点をあてるべきである。

 約60%の棄権という数字から社会的・政治的力関係についての全般的な教訓を引き出すのは、つねに難しいことである。しかし、危機――過剰資本、失業の爆発的増大、購買力の低下――の最初の社会経済的影響は、左翼あるいは反資本主義的な意味での選挙におけるラディカル化の動きを生み出さなかった。ポルトガルの左翼ブロックの躍進は例外である。

ポピュリストや極右によって側面から防御されて反社会的な攻撃をけしかけている右翼の新自由主義政治組織が欧州選挙で強化されたというのは逆説的事態である。われわれは、危機が反資本主義的思考に有利に働くと考えてきたかもしれない。しかし情勢はもっと複雑である。いまだ被雇用者や青年の全般的な闘争をもたらしていない社会的抵抗は、機械的に反資本主義的オルタナティブを生み出すわけではない。

社会民主主義は危機のぬかるみにはまっており、新しいスペースを解き放っている。しかし反資本主義左翼の発展は、いまだ不均等である。一連の諸組織の始まりは有望なものがある。いまや経済的・エコロジー的危機に対決する社会的動員を刺激する政治と、反資本主義的解決策をいっそう信頼されるものとする力の蓄積を追求することが必要である。そしてそれを伝統的左翼の古い指導部からの完全な独立によって進めていくべきである。

▼フランソワ・サバドは第四インターナショナル執行ビューローのメンバーで、フランスNPAの活動家。彼は長きにわたって仏革命的共産主義者同盟(LCR)全国指導部のメンバーだった。

(「インターナショナルビューポイント」09年6月号)

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