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中国吉林省の通化鋼鉄廠
反民営化闘争が緒戦で勝利をおさめる
組織を強化し、さらなる勝利をかちとろう!
 
樹根(香港・先駆社)

7月24日、民間資本参入による企業合併・民営化に反対してストライキを打った中国吉林省通化市の通化鋼鉄廠の労働者に対して、民間資本から派遣されてきた新CEO陳国軍が「職場に戻らないと全員リストラだ!」と恫喝をかけ、激昂した労働者がCEOを撲殺、最終的に工場経営陣がテレビなどを通じて民間資本による企業合併を撤回する旨を宣言するまで、数千人のストライキ労働者は闘争を堅持した。「沈黙者の爆発」である。
 


今回の闘争は、2001年前後に発生した遼陽などいくつかの地域での国有企業での反民営化闘争とは異なっている(訳注1)。それらの闘争において、レイオフされた労働者は比較的簡単に政府と経営陣を信頼し、民営化がほぼ完了した後にやっと行動に移った。結果は敗北に終わった。遼陽のある労働者活動家は闘争をこう総括している。「工場が民営化が始まったときに、断固たる反腐敗・工場防衛行動をすぐに組織できなかったことは失敗であった。工場が民営化によって食い尽くされ何もなくなり、破産宣告を受け、腐敗分子(工場経営陣など指す)の証拠が明らかになって初めて行動を組織したが、すでに時遅しであった!」
 
だが今回の通化の労働者たちの行動は素早かった。7月22日に民間資本の建龍グループによる合併案の情報が伝わり、24日には4000名以上(ある情報では1万人以上)もの労働者とその家族がストライキを打って抗議をした。行動は断固として力強く、最終的に市政府に圧力をかけ、民営化の方針を撤回させたのだ。つぎは、労働者が自主的組織化(労働組合であるか工場防衛委員会であるかに関わらず)を実現し、政府と資本の反攻を阻止できるかどうかが重要である。
 
通化鋼鉄廠の労働者が自主的な労働組合を組織化することができなければ、他の大多数の争議事件と同じように、争議のあとは散り散りになり、ストライキの成果を打ち固め、さらなるステップへと進むことはできないだろう。20年近くに及ぶ資本主義の発展を経た新世代の中国労働者階級は、出稼ぎ労働者であるか伝統的な都市労働者であるかにかかわらず、基本的権利に対する意識は普遍的に向上しており、直接行動を通じてストライキの自由を現実のものとしてきた。次の一歩は、直接行動を通じて、自主的な労働組合の結成を含む結社の自由を獲得することができるかどうか、である。

 
今回の事件を作り出した根本的な原因は、制度、政策の問題である。すなわち中国共産党が国家資産管理委員会や地方政府などの機構を通じて推進してきた新自由主義による私有化(民営化)が問題となっているのである。たんに「悪質な経営者」が労働者の怒りを買ったというだけではない。制度と政策の変革こそが決定的に重要である。それゆえ、ストライキ労働者が建龍グループから派遣されたCEOを撲殺したということが妥当な闘争方法であったとはいえない。だが、CEOの傲慢な言動が労働者の憤激を引き起こしたことは十分理解できる。この問題で真に責任を負わなければならないのは、搾取制度とその受益者たちなのである。
 
当局は一貫して、労働者の結社の自由を断固として抑圧し続けることで、労働者の抵抗を阻止することができると考えてきた。それは短期的には効果的かもしれない。だが長期にわたってそれが維持できるかどうかは分からない。たとえ小さな矛盾でも、解消する方向へ導くことができなければ、それは蓄積されて大爆発を引き起こし、その結果、当局が譲歩を迫られるほどの大きな抵抗となる。
 
今回、通化鋼鉄廠の労働者が建龍グループによる吸収合併の阻止に成功し、想定されていた大規模なリストラを回避することができたことは、ひとつの勝利といえるだろう。だがいまだ一時的な、そして部分的な勝利に止まっている。なぜなら私有化を回避できたとしても、通化鋼鉄廠のような国有企業は依然として労働者の民主的管理が支配する企業ではなく(中国共産党支配化にある国有企業はこれまでずっと官僚階層の利権であった)、また1990年代から進められた資本主義化によって、国有企業の経営方式は市場の利潤優先の資本主義的経営方式となった。事実をその正しい名前で呼ばなければならない。現在の国有企業とは、国家独占資本主義経済の構成部分である。勇敢な通化鋼鉄廠の労働者は、私的資本家をたたき出した。だがまだ諸君らの頭上に寄生する官僚資本が存在することを忘れないようにしようではないか!労働者が国家の主人公となる道のりはいまだ遠しといわざるを得ない。労働者は徹底した、そして真の勝利を勝ち取らなければならない。現在の国有企業の従業員という身分の維持に満足することなく、国民経済全体の転換を推進し、資本主義搾取を終わらせなければならないし、政治的にも官僚資本の独裁を労働者人民の民主的政治体制にとってかえなければならない。
 
2009年7月28日
 
訳注一 遼陽労働者などの闘いについては、「レイオフされた国有企業の労働者が大規模な抗議行動」(かけはし2002.4.1号)を参照してください。
http://www.jrcl.net/web/frame0401h.html
 
 
【解説】==============
 
中国東北部の吉林省最大の国有企業、通化鋼鉄グループの民営化を労働者がストライキによって断念させた。敗北に次ぐ敗北を喫してきた中国プロレタリアートの小さな、だが偉大な勝利である。
 
●民間資本による国有企業の合併
 
通化鋼鉄グループは、吉林省でも最大の国有企業の一つである。資産総額268億元(約3800億円)で、2008年には中国の500強企業で244位、納税額トップ200リストにも上げられており、傘下に、通化鉄鋼、吉林鉄鋼、通化鉄鋼鉱業、磐石鋼管、四平製品などの子会社を抱え、四万人近い労働者を雇用してきた。
 
この通化鋼鉄グループに株式取得による資本参入をしてきたのが、民間大手の建龍グループである。鉄鋼、造船、電機などの17の持ち株会社を擁し、2008年には中国製造業界トップリストの78位、中国500強企業の158位にあげられていた。建龍グループは98年に創設され、国有企業の民営化の過程に介入し、勢力を拡大してきた。同グループの総裁、張志祥は人民解放軍の元老の孫だとも噂されている。
 
建龍グループが、通化鋼鉄グループに資本参入したのは2005年。それまでの通化鋼鉄グループの経営状況は決して悪いものではなかった。年間鉄鋼生産能力300万トン、2004の生産量も252万トンにのぼり、8.5億元の利潤を上げていた。3万6697人の労働者を抱え、同業ではトップ30に入る優良企業であった。
 
2005年に入り、中央政府の国有企業体制改革のモデル事業のひとつとして民営化へと走り出した。基幹事業以外の傘下の関連企業は、株式放出を通じて民営化され、25000人の労働者の身分が国有から民間企業へと移管された。
 
こうしてスリム化した通化鋼鉄グループに建龍グループが資本参入をしてきた。登記資本38.81億元のうち、吉林省国有資産管理委員会が18.1億元、46%の株式を保有、建龍グループは11億元を出資し、36.2%の権利を保有した。
 
●儲からなければ撤退し、儲けが回復すると戻ってくる
 
建龍グループは、権利の上では少数株主にもかかわらず、「民間経営メカニズムの導入」を名目に、取締役や財務担当者を送り込み、経営の支配権を握った。
 
だが「民間経営メカニズム」とは、賃下げやリストラという労働者に対する一層の搾取、資産移転、経営陣に支払われる莫大な報酬であった。建龍グループから通化鋼鉄に派遣されてきたCEOの収入は労働者の300倍にものぼったという。
 
2008年秋、サブプライムローンの破綻に端を発した金融危機は、この中国東北の地にまで波及した。減産につぐ減産で労働者の賃金は最低レベルにまで落ち込んだ。赤字続きの状況に、建龍グループはついに、通化鋼鉄からの撤退を表明。2009年3月に正式に資産を分離した。そのニュースは通化鋼鉄の労働者居住区に伝わり、団地のあちこちで建龍グループの撤退を祝う爆竹が鳴らされた。
 
その後、4月、5月と赤字幅が縮小し、6月には黒字決算に転換した。7月にはさらなる利益を期待できると労働者は喜んだ。そのときである。建龍グループが、再度資本参入をして戻ってくるというニュースが舞い込んできたのである。
 
●3000名の労働者がストライキで抗議
 
7月23日、吉林省国有資産管理委員会の官僚、建龍グループ経営陣などが、通化鋼鉄で再合併にともなう説明会にやってきた。100人近い労働者たちが説明会を包囲して抗議した。
 
翌24日の朝8時、3000名の労働者と家族は、通化鋼鉄オフィスビル前で抗議集会を開催した。「建龍は出て行け!」などのプラカードが掲げられた。労働者たちはオフィスビルから生産区域に向けてデモ行進をした。参加者は膨れ上がり、昼までに七つの高炉すべてが生産を停止した。
 
そのとき、生産区域内のコークス化工区で、22日に建龍グループから派遣されたCEO陳国軍が、工区の職長らを説得しているという情報が入り、労働者はそこへ駆けつけた。会議が行われていた棟を取り囲み、陳CEOと口論に発展した。陳CEOは「ストライキを中止しないと全員リストラだ!」と命令し、それが労働者たちの憤激を買った。陳CEOは複数の労働者に殴打された。介入を試みた武装警察は労働者の厚い隊列に阻まれ救出することができず、救急車も近づくことができなかったという。吉林省や通化市の政府関係者も現場を訪れたが事態を収拾させることはできなかった。工区の各地で警察、武装警察と労働者との衝突が繰り返された。
 
夜7時、陳CEOが亡くなったというニュースが工場一帯に広まった。
 
●合併案を白紙撤回させた
 
夜9時、通化市のテレビ局の放送や工場内の放送から、吉林省政府は建龍グループとの合併案を白紙撤回し、今後もその予定はない、という放送が流され、労働者たちは工区から居住区へ帰っていった。合併案の白紙撤回を祝う爆竹が一帯に鳴り響いたという。だが多くの労働者がこの過程で逮捕されている。当局による報復が予想される。
 
+ + + + +
 
90年代から進められてきた国有企業の民営化は、労働者の抵抗を無慈悲に叩き潰して進められてきた。多くの労働者が工場から資本主義的労働市場に投げ込まれた。1995年には1億1261万人いた国有企業労働者はその後の国有企業改革の過程で2007年には6424万人にまで減少した。その一方、おなじ95年には894万人の雇用しかなかった民間資本(外資を含む)は、2007年には4659万人にまで雇用者数を拡大させた。
 
国有企業改革=民営化政策は、社会主義市場経済を掲げる中国共産党の国策として位置づけられている。先駆社の樹根同志は今回の勝利は始まりに過ぎない、必要なことは制度と政策の根本的転換だ、と訴えている。
 
(H)
2009年7月28日

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