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7月5日に新疆ウィグル自治区で発生したウィグル人らによる抗議行動の三日後の7月8日に当局によって拘束されたとみられていたウィグル人学者のイリハム・トフティ氏が、8月23日に自宅に戻ったことが確認されている。日本を含む各国のメディアが伝えている。
▲イリハム・トフティ氏
釈放後、ラジオ・フリー・アジア(RFA)の電話インタビューに答えたイリハム氏によると、国家保密局の職員によって、北京郊外のホテルで一ヶ月にわたり軟禁され、事情聴取をされたという。その間、外部との連絡は一切遮断されていた。対応は丁寧であったが、この軟禁に対して当局は、法的根拠を示すことなく、また司法手続きにのっとったものでもなかったと語っている。
イリハム氏によると、当局の監視はいまだに続いており、警官が自宅に待機しているという。そして、何らかの刑罰を受ける可能性があると訴え、自らの潔白、そして現在も行方が分からなくなっている「ウィグル・オンライン」のスタッフ十数名の安否に関心をもつことを訴えた。
「わたしは暴力的活動にはいっさい参加したことはありません。ウィグル人によるものか漢族によるものか政府によるものかに関わらず、一切の暴力活動に反対します。ウルムチでの7・5ウィグル人騒乱、7・7漢族騒乱、(広東省韶関市のおもちゃ工場で発生した)6・26事件のいずれも目にしたくはないものでした。」
「わたしは特定の民族に反対することはありませんし、暴力の扇動などなおのことありえません。しかし、わたしはウィグル民族の法的権利をについては断固擁護しますし、ウィグル民族の文化的、教育的、宗教的、経済的権利も断固擁護します。・・・・・・中国の状況が最も悪いときでさえ、私たちは漢民族やこの国とともにありました。いま中国は発展しており、この30年間でそれを享受しなかったとはおもいません。しかし、人権の面で問題が生じています。雇用、文化の面で、政策の実施の過程で、確実に問題が生じているのです。わたしは、互いに平等で、互いに尊重し、互いに理解しあうことを希望します。」
「もし再びわたしと連絡が取れなくなってしまったら、当局によって交流されている『ウィグル・オンライン』のスタッフの安否に関心を持ってもらうよう希望します。中央テレビウィグル部門の(職員でウィグル・オンラインのスタッフでもある)メメットアブドラ記者はすでに一ヶ月も行方が分かりません。逮捕されたことは確実です。しかしどんな容疑で逮捕されたのかが分かりませんし、司法手続きもされていません。私が彼を保護するのではなく、弁護士が、司法が彼を保護しなければならないのです。この国は漢族だけのものではなく、わたしたちウィグル人のものでもあるのです。われわれ56民族の国家なのです。われわれはこの国家の法体系を擁護しなければなりません。この国家には尊厳が必要です。この国の人民には尊厳が必要です。」
「昨日、自由になってからマイマイティの家族に会いに行きました。いまも彼の家族、お母さんは非常に心配している。しかし何の情報もないのです。また新疆にいるウェブサイト管理人は、私が(2009年3月にフランス外務省の招聘で訪仏し)フランスから帰国した後に処分されました。出頭命令を受けた者、コンピューターを没収されたものなど、いまみんなどうしているのか全く分かりません。みんな行方が分からなくなってしまったということだけは確実です。その数は、一人や二人ではありませんよ。十数人にものぼるのです。」
イリハム氏が一時的に自由の身になり、日本を含む各国のメディアのインタビューに答えている同じとき、胡錦濤・国家主席が新疆ウィグル自治区を訪れていた。10月1日の建国60周年を控え、内外に対して社会的安定と民族団結をアピールすることを狙ったものだ。
8月22日から25日の日程で同自治区を訪れた胡錦濤国家主席は、空く巣、昌吉、カラマイ、石河子、ウルムチなどを訪問した。
胡錦濤国家主席は、入念に準備された一連のセレモニーにおいて、7・5騒乱の受難者や遺族を慰問し、訪問先のウィグル人コミュニティでは地域医療の普及をウィグル住民からアピールさせ、綿花農場や果樹園を訪問して「果実の郷」をアピールし、巨大鉄鋼工場や機械工場そして石油基地を訪問して工業化をアピールし、軍や治安部隊を慰問した。
25日にウルムチで開催された新疆ウィグル自治区幹部大会で、胡錦濤国家主席は、7・5騒乱は国外勢力が綿密に計画を練って実行した暴力破壊事件と批判した。そして今後の新疆ウィグル自治区に対する活動の重点として、「一つは経済建設を中心とすることを堅持して動揺すべからず」「二つには社会的大局の安定維持を堅持して動揺すべからず」「三つには各民族の共同で団結して奮闘し、共同で繁栄発展することを堅持して動揺すべからず」という「三つの動揺すべからず」を提起した。
経済建設、社会的安定、民族団結。そのどれをとっても民族地域において決定的に重要なことは、民族間の平等である。胡錦濤演説では、一切その問題には触れていない。民族自決どころか、民族自治さえも蜃気楼が如く揺らいでいるなかでの民族団結はありえないだろう。
イリハム・トフティ氏の救援署名には、7月13日から8月8日までの間に、全世界30の国家地域から397人が署名している。多くの漢族も署名している。
なお、いくつかのメディアで報道されていた、7・5騒乱の容疑者200名近くに対して今週にも裁判が始まるという情報は、新疆ウィグル自治区の報道官がそれを否定している。8月24日に『環球時報』のインタビューを受けた同自治区の侯漢敏・報道官は、7・5事件の公判期日は未定であり、被告は83人であると述べた。だが、イリハム氏に対する違法な拘束でも分かるように、公式の法的手続きを経ずして当局に拘束等の弾圧を受けている人々の数は膨大な数に上るだろう。
中国当局はイリハム氏への監視・弾圧をやめろ!
『ウィグル・オンライン』のスタッフの身の安全を保障せよ!
不当に拘束されているウィグル人に自由を!
(H)