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8月15日に、私たちも参加した反靖国デモにおいて、とりわけ九段坂下での極右・レイシストと彼らに扇動された人々の敵対について、レイシストたちは「左翼のデモを粉砕した」などとしている(実際はデモ申請どおりに進行し、予定どおりに解散地点で解散したわけだが)。

815

▲賑やかに反靖国デモを貫徹(8月15日)

しかし、毎年恒例ともいえる右派の「8.15デモ」への敵対のために、例年以上の3-400人以上の人々が結集し、デモ隊のプラカードや横断幕、パペットなどを強奪するという集団暴力を働いたことについて、一定の分析は必要だろう。

前提として確認しなければならないことは、極右・レイシストの暴力は、「靖国派」が政治的に敗北を続け、追いつめられていることへの焦りの表現であるということだ。

2006年の小泉による8.15靖国参拝に対するアジア民衆の憤激によって、その後は極右タカ派の安倍ですら「8.15参拝」を断念することを強いられている状況が続いている。今年にいたっては、首相の麻生はおろか、閣僚のほぼ全員が「8.15参拝」を断念し、「参拝」に赴いたのは野田消費者担当大臣ただ一人だった。

靖国神社などという施設は、もはやアジアにおける日本企業の展開にとって桎梏でしかなく、次の総選挙で下野が確実と言われる自民党にとっても、もはや「神頼み」にすがれるようなシロモノですらなくなった、ということだ。

また、民主党の鳩山由紀夫は「政権をとったら首相として靖国を参拝することはない。閣僚にも自粛していただく」そして「靖国に代わる国立無宗教追悼施設を新たに作る」と明言した。「国立無宗教追悼施設」の是非はさておいても、この民主党の態度にも、右派は相当の危機感を募らせていることは間違いない。

それは、日本国内においてすら、「ヤスクニ」は戦死者を人質にして利用しながら、極右思想を「護持」し、新たに流布する「侵略戦争賛美神社」の総本山であることが、民衆に広く認知されることになった結果でもあるだろう。

このことは、長年粘り強く展開されてきた各種の「反靖国」の闘いの成果であるとともに、とりわけ2006年から取り組まれている韓国・台湾原住民・中国の戦争被害者の子孫たちと日本民衆の共同行動である「反ヤスクニ・キャンドル行動」の意義は大きいだろう。

侵略戦争とそれを開き直る日本政府と靖国神社に対して、渡日したアジア民衆が直接怒りを表現する「キャンドル行動」に、右派は相当の危機感を持って敵対してきた。とりわけ、右派が勝手に「親日的」などとしてきた台湾から、原住民がが大挙来日してラディカルな怒りを示してきたことに対して、右派は原住民たちのリーダー格の高金素梅さんに対して「彼女は元芸能人」とか「片親は大陸出身だから台湾人じゃない」などの無内容なネガティヴ・キャンペーンを繰り返すしかなかった。

とりわけ、今年の8月11日には、台湾原住民による靖国神社突入闘争に直面した右派は、あらためて台湾原住民ひいてはアジア民衆の「ヤスクニ」への怒りの深さを突きつけられ、相当の衝撃を受けたことは間違いない。そしてもはや、右派は安易に「台湾は親日的(だから靖国に寛容)」などと、留保をつけずに口にすることはできなくなったのだ。

また、安倍晋三政権の早期崩壊以降、改憲スケジュールも停止したまま復旧できない状況が続いている。右派・レイシストは、この追いつめられた状況を「核武装論」と極端なレイシズム、そして「暴力的突出」によって突破しようとしているに過ぎないのだ。8.15の極右・レイシストたちの暴力は、このような政治的に追い詰められたかれらの「悪あがき」の妄動でしかない。

もちろん、私たちは極右・レイシストたちの「暴力的突出」には警戒を要するし、そこにあるのは「右翼vs左翼の争い」などではなく、「右翼の暴力vs言論の自由」であることを広く社会に訴え、暴力を包囲する陣形を形成しなければならない。

しかし、右派に「この次」の政治的展望を見出すことはできないだろう。田母神流の「核武装論」は世論の多数になり得ないし、日米軍事同盟を否定できない右派にとってアメリカを刺激する「日本核武装」は、保守政治の主流にはなりえない。

また、アメリカですら「黒人大統領」が誕生する時代に(ここではオバマの評価は関係ない)、アジア蔑視のレイシズムがやはり多数になる時代ではないのである。いずれにしても、現在の右派の主張は、新自由主義グローバリゼーションの展開にとって、靖国神社とともに桎梏にしかならないのである。

しかしまた、このような極右レイシズムの主張に共鳴する若者が増えていることは軽視するべきでないことはたしかだろう。かれらは、「一億総中流」と言われた時代に育ち、その「中流」から没落していく危機感を「日本が弱くなったのは反日勢力のせいだ」という妄想に近い「被害者意識」と危機感の中で、アジア民衆と左派・民主勢力を敵視することで、「かつての強い日本の再興」を夢見て、強化された国家の庇護の下で自らも救われたいと思っているのである。そこには、「大国日本」が中国に追い越され、日本の「国際的地位」の低下が止まらない状況への危機感も連動していることも、間違いないだろう。゜

そこには、「連綿と続く皇室が表現する"日本"という物語」あるいは、たかだか100年かそこらの「天皇教新興カルト」でしかない「ヤスクニ」に「ニッポン」を見出して、「国のために戦った先人たちが祀られている"靖国"という物語」などというノスタルジーに過ぎない「物語」に耽っているにすぎない。

この「物語」は、単純で無内容であるが故に、「心のよりどころ」を失った一定層の若者たちに浸透しやすい側面を否定することはできないだろう。そして、私たちにもまた、人間が権利と尊厳のために蓄積してきた「民衆の抵抗史」のなかに自らを位置づけうる「物語」があり、「未来のための人とのつながり」を現場での運動によって表現することで、その物語を紡ぎ、示していくことが求められているように思う。

それは、「日本の没落」なるものは、労働者と庶民の生活より企業の利潤を優先する資本主義というシステムの疲弊と没落そのものであり、「サブプライム事態」以降の世界的な金融危機という「資本主義の世界的没落」の脈絡にあることをあきらかにして、「反資本主義」の旗を高く掲げることに他ならない。その「希望は連帯と闘争」という私たちの「新しい大きな物語」のなかに、若者たちを獲得していくことに私たちの任務があることを強く自覚しよう。

 靖国神社は解体できる!
 レイシズムに未来はない!
 勝利するのは平和と共生を求める民衆だ!

(F)

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アキヒト天皇制20年=「戦争国家で安心安全」を問う8.15 行動実行委員会の抗議声明とカンパ要請が届きましたので配信します。

 8.15行動(靖国デモ)に対する右翼による襲撃・テロを許さない!

 ~抗議とカンパの要請~

 2009年8月15日、私たち「アキヒト天皇制20年=『戦争国家で安心安全』を問う8.15行動」は、文京区内で
集会を持ったあと、夕方から神保町、九段下にかけてデモ行進をおこなった。


 今年も8月15日には、武道館で、天皇出席のもと「全国戦没者追悼式」がおこなわれ、また、多くの議員や閣僚が靖国神社を参拝した。それらは、戦争の死者の「追悼」をとおして、「国のための死」を賛美し顕彰する行為にほかならず、同時に現在の「戦争」の死を肯定する行為である。私たちは毎年、反天皇制運動の実行委員会を組み、この日、この地域を中心に作り出される「慰霊空間」に、「否」の声を突きつけていく行動として、デモに取り組んできた。

 今年、その私たちのデモは、例年を越える規模での右翼による妨害と、暴力的なテロに直面した。

 九段下に向かう靖国通りでは、右翼の波状的なデモ隊への攻撃が続き、九段下を越えたところでは、在特会など「行動する保守」を自称する連中を中心に、既成右翼や、やじ馬右翼も含めて動員された大量の右翼が「日の丸」を掲げて結集し、差別排外主義的な言辞を吐きながらデモ隊を攻撃し、その一部は背後からデモ隊にしつこくつきまとい、さまざまな暴力行為を続けた。

 かれらは、この一連の行動をもって、「反日左翼のデモを粉砕した」などと豪語している。さらには、私たちがデモを途中で打ち切ったなどというデマ宣伝もしている。だが、私たちは、そういった右翼の攻撃や、右翼を理由にもっぱら私たちへの規制にのみ専念する警察権力の介入をはねのけ、予定通りデモを最後まで貫徹し、彼らに対するシュプレヒコールを上げて解散していったことをあらためて確認しておきたい。

 しかし、この過程で、突入してきた右翼によって、数名の参加者が負傷させられた。とくに、解散して駅に向かって移動していたデモ参加者に対して数名の右翼が襲いかかり、最長で全治三週間という、流血を伴う怪我人が出た。

 自分たちの意に沿わない意志を表明して歩いているというだけの理由で、そのデモを暴力的につぶそうとする行為、これはまぎれもなく右翼による襲撃=テロである。そのことを許してはならない。

 かれらは数日前から私たちのデモの「粉砕」をよびかけ、また、解散時にデモ隊を襲った右翼は、職業的ともいえる暴力を発揮した。完全に計画的に準備されたテロ攻撃であるといわねばならない。そして、彼らは今後も継続してそのような攻撃を続けていくことさえ、公然と宣言しているのである。

 このような右翼の暴力は、侵略神社としての靖国神社を守りたいという、彼らの「危機感」に根ざしている。私たちは、右翼テロと不可分である靖国空間=「慰霊・追悼」の政治性を撃つ行動を、これからも続けていくであろう。そして、多くの人とともに、排外主義・天皇主義右翼によるあらゆる暴力を決して許さないという声を大きくし、彼らを包囲し、孤立させていかねばならない。

 すべての人びとの注目と、引き続いての協力を訴える。

 *以下、当日の右翼の主な暴力行為を箇条書きにして示す。
 ・つきとばしや殴打、背後からの蹴り、目やノドをねらったパンチ。
 ・帽子の強奪、シャツの破損、メガネなどの破壊。
 ・ペットボトルやコーン、植え木の投げつけ。
 ・大きなパペットの破壊、小さなパペットの強奪。
 ・横断幕の損壊(複数)と強奪。
 ・写真やビデオの無断撮影。
 ・事務所前での街宣。事務所のあるビルに入っている店舗の店員を、実行委メンバーと誤認してつかみかかる。

 これら怪我人(病院費用)や物損に対する救援カンパも、あわせて訴える。

  郵便振替口座番号 00110-3-4429
 加入者名 ゴメンだ! 共同行動 
「8.15行動カンパ」と明記してください。


  2009年8月23日

アキヒト天皇制20年=「戦争国家で安心安全」を問う8.15 行動実行委員会

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