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決議:チュニジア、エジプト:世界的広がりを持つ革命プロセス
第四インターナショナル国際委員会
2011年2月22日
(1)
ムバラクに対するエジプト民衆のまれに見る勝利は、ベンアリ体制を倒したチュニジア革命の歴史的射程を大きく引き上げるものである。こうした民衆の勝利の衝撃波は、数日のうちに全アラブ地域に拡大し、さらに世界的な階級間の闘いに影響を与えている。デモ、ストライキ、集会、自主防衛委員会、労働組合・高校生・自主的市民組織の動員がもたらされ、それらは確固たる決意を持って国家機構、まず第一に警察と激突した。幾百万人ものチュニジア人、エジプト人は独裁者の打倒を実現する運動に突入し、かれらの革命の手綱を握り締めるために動員を継続している。
(2)
これは社会的、民主的、国民的主権の側面を結合した永続革命の過程であり、国際的な広がりを持っている。独裁体制の残忍な弾圧や恥知らずな腐敗と結びついた世界経済危機の影響は、最も不利益をこうむる民衆階層や組織された労働者階級と中流階層、若者と高齢者、女性と男性を結びつけた。チュニジアとエジプトの大衆は、もはやかれらを片隅に追いやった経済システムを受け入れることができなかった。多くの近隣諸国と同様に、資本主義的グローバリゼーションへの統合は、雇用創出なき経済成長、前例のないほどの富の集中、地域の不均等発展、全般的な生活・労働条件の悪化をもたらした。
この革命の主な原因の一つは、ここ数年における食料価格の爆発的高騰にあった。気候変動の急激なプロセスは、今日の世界食料危機、とりわけチュニジアなどの諸国における危機を引き起こした。さらに輸出指向型農業資本主義による土地接収という問題もあった。IMF(国際通貨基金)、WTO(世界貿易機関)、EUが押し付けた経済的自由化は、労働者の非正規化の増大、公共サービスの急激な切り捨て、とりわけ学校を卒業した若者を直撃した大規模失業をもたらした。新たな移民の可能性に対する欧州連合のさらなる国境閉鎖、湾岸王制諸国での労働市場の縮小は、貧困から逃れる展望を失わせた。
それと並行して、全般的な社会統制を強制する警察国家を基盤とした自由と民主主義的諸権利の圧殺、対抗勢力の存在が不可能であるという状況が存在していた。チュニジアとエジプトの独裁体制は、「野党」議員を見せかけだけのマボロシとして寛大に扱い、自主的組織は抜け殻にされるか、その機能を妨げられることになった。こうしたことが、独裁体制と民衆との間に、専制的指導者とその忠実で残忍な弾圧機構の姿しか存在しないという状況を作り出した。そして権力の座についた一族の暴力的行為が、かれらの非正統性を完成させるものとなったのである。
最後に、この二つの政権はシオニスト・イスラエル国家との協力を特徴としており、それがパレスチナ民衆の苦しみを自らのものとしていた住民の怒りをいっそう募らせることになったのである。こうした不正に直面して、近年ストライキと社会的爆発が拡大し、民衆の多くにとっての恐怖の壁を打ち倒すにはいたらないまでも経験の蓄積が可能となった。この壁は数週間で姿を消し、きわめて多くの死者が出たとはいえチュニジア民衆、そしてかれらの示した例を胸に刻んだエジプト民衆は、独裁者ベンアリとムバラクの追放まで間断なき闘いを繰り広げたのだった。
(3)
こうした勝利によりアラブ地域の民衆は、計り知れないほどの尊厳を手にした。すなわち彼らが民主主義と階級闘争の政治的場に入り込み、彼らがその中に三〇年間にわたって閉じ込められてきた「専制主義かイスラム主義か」の致命的な二者択一(あるいはその結合)など、もはや存在しない、ということなのである。この地域の民衆諸階級、第一に労働者階級は、あらゆる民主主義的諸権利を主張する手段を勝ち取った。女性たちは男性と平等の権利を主張する権利を勝ち取った。労働者はより高いレベルで新自由主義の超過搾取と闘う手段を勝ち取り、イスラエル国家に明瞭に示されたこの地域への帝国主義の支配――欧州であろうと米国であろうと――の手段を広範囲にわたって深部から不安定化させている。イスラエル政府とその内部の全潮流は、西側が独裁者たちをその最後に至るまで支えるよう求めたという点で、何も間違いを犯したわけではなかった。
アラブ地域の革命は、不正に対する全大衆の闘いの社会的解放にむけた可能性を示している。こうした動員における女性の積極的役割は、間違いない印である。それは、アラブ・ムスリム民衆の動員が原理主義への道を歩んでいるということをわれわれに信じ込ませようとする、レイシスト的でイスラム嫌悪症的ないわゆる「文明の衝突」キャンペーンと闘うことを可能にさせている。
この力学は、全世界に影響を与えるだろう。それぞれに固有性を持った各政権が、どのようなリズムで、どのような順序で倒れるのかは想像できないにしても、それはすでにヨルダン、イエメン、バーレーン、シリア、リビア、アルジェリア、モロッコ、モーリタニアに広がった。とりわけ政権が住民を軍用ジェット機とヘリコプターで攻撃し、すでに五〇〇人以上を殺害しているリビアでは、状況は急速なエスカレーションを見せており、われわれの全面的な連帯が求められている。
こうした革命は、第四インターナショナルが支援しているパレスチナ人の闘いにとって新しい、さらに有利な条件を作り出している。エジプト革命は、ガザ封鎖に示される人道への犯罪を俎上に載せている。こうした反応に直面したシオニスト政権は、より厳しい、より残忍な措置に出る可能性がある。このような動きを阻止するための動員を強めるべきである。
これらの革命の力学は、イランや中国における独裁体制に対する闘いをも鼓舞している。そこでは反政府勢力が、チュニジアやエジプトで使われた調整手段――ソーシャル・ネットワーク――を出発点として採用している。それは不可避的に、先進資本主義諸国において超過搾取され、抑圧されているアラブ地域出身の移民たちの動員を鼓舞するだろう。われわれは以前にも増して、こうした人びととしっかり肩を組まなければならない。
しかしこうしたプロセスは、労働者と若者たちが、成功の道を見いだせないまま緊縮政策といっそう大衆的に衝突している帝国主義諸国においても、いっそうグローバルな影響をもたらすことになるだろう。かれらは底辺からの革命が二一世紀において可能であることを示しているのであり、外見的には難攻不落の政権の打倒、昨日までは達成不可能に見えた陣地の奪取が可能であることを示しているのである!
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このようなプロセスの成果は、チュニジア、エジプトの双方において確かに脆弱なものであるが、本質的なことはこれからである。最近の民衆の経験にもとづいて、労働組合、自主組織におけるラディカル左派の長年の蓄積は、デモ、そして民衆地区の住民が警察の不当行動と体制側の私兵から自らを守るために必要だった時に、大衆的な発展を遂げた。チュニジアではシジブジドから大都市の民衆地区とチュニスのカスバへ、エジプトではカイロのタハリール広場からスエズ、マンスーラ、アレクサンドリアの民衆地区へ。数日前には想像もできなかった光景が見られる。ムスリムとコプト派キリスト教徒たちが相互の礼拝者を守り合っている。ブルーカラー労働者と若いネットサーファー、女性と聖職者、著述家とタクシー運転手が、ムバラクの手下が襲撃した地点に隣り合って立っている。民衆は、系統的に兵士たちに友好的な姿勢を取りながら軍を不安定化することに成功した。
独裁者は逃亡し、権力の座にあった諸政党の指導部は大衆的圧力でその機能を止めざるをえなかった。そして民衆の動員は続いている。チュニジアでは最も腐敗した指導者が告訴され、RCD(旧与党・立憲民主連合)の資産と物資は差し押さえられ、その建物は民衆の家になった。ほとんどの政治囚は釈放された。二国の警察機構は解体されなかったとしても分解している。
政府職員たちは彼らの上司への統制を行使している。フランス外相アリヨマリ(訳注:アリヨマリ仏外相は昨年一二月休暇でチュニジアを旅行中にベンアリから多くの便宜を供与されるなど、ベンアリ政権との深い関係を指摘され辞任に追い込まれた)を称賛し、その行為を覆い隠した自国外相の辞職を勝ち取った外務省職員がその例である。多くのチュニジアの知事、市長、当局者たちは辞任せざるをえなかった。チュニジアの大衆は、新たに着任したフランス大使が敵対的声明を発するや、彼の追放を要求するまでになっている! 多くの臨時雇いの公務員は安定したポストを与えられ、チュニジアの最も腐敗した企業リーダーたちの資本は国有化された。エジプトでもこうしたプロセスが進行中である。公務員は一五%の賃上げを勝ち取り、新政権による脅しにもかかわらず多くの労働者のストライキが発展している。
(5)
もちろん支配階級は茫然自失のままでいるわけではない。かれらは革命的プロセスに向かい合う中で、ますます行動的になるだろう。チュニジアでは、軍の「中立性」とベンアリの追放は、ベンアリ政権の首相だったガンヌーシと多くのRCD指導者が権力を維持することで相殺され、野党政治家や主要労組であるUGTT(チュニジア労働総同盟)の幾人かが入閣することで正統性を帯びるにいたった。こうした動きへの拒否と民衆動員は、RCD執行部の中で首相だけが入閣する第二次内閣を強制する力となった。しかし新政権はフランス帝国主義の執行官のアドバイスを受け、チュニジア人資本や軍とともに、労動者たちに「以前のように」仕事を再開するよう納得させるために全エネルギーを使っている。それは六カ月以内の総選挙という声明だけで、幕間を終わらせるという問題である。
エジプトでは、拷問の責任者であることが明白で、イスラエルの友人であり、CIAの手先として悪名高いスレイマンを内相にするという脅しを行い、「移行期」を確実なものしているのは直接に軍部である。ここでも民衆は、数カ月のうちに選挙を行うという約束と弾圧の再開という脅しの下で、観光と投資の継続を可能とするために理性的になるよう呼びかけられている。
何が起きているのか分からず、ベンアリを支持して事態をいっそう悪化させたサルコジ政権とベルルスコーニ政権は、いまや欧州連合の先頭に立ってビジネスの復活と警察による移民の阻止を要求している。アメリカ帝国主義のオバマ政権は、はるかに柔軟である。米国はエジプトの運動がコントロールされたものになると予見せず、それと部分的に同調するふりをしている。しかし軍司令官と米国との密接な連携は、エジプトの革命プロセスに恒常的な脅威としてのしかかっており、米国はパレスチナのガザとの国境線の閉鎖を続けるよう要求するだろう。そして国際機関はスエズ運河の通航に関する保障と現代資本主義の基本原則――いかにそれが不正なものであろうとも国家債務の支払い、外国資本と物資の完全な開放、規制緩和の継続――の尊重を求めるだろう。
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このプロセスの中で、あらゆる民主主義的諸権利と自由、すなわち自由な言論の権利、ストライキの権利、デモの権利、市民社会の諸組織(アソシエーション)・労働組合・政党の複数主義、大統領制の清算と革命的臨時政府の導入を確立するために一掃しなければならないのはシステム全体である。今日、憲法制定議会のための自由選挙のプロセスを開始することが必要である。それが寡頭支配の新体制によって奪われないために、このプロセスは住民の中で登場している民衆委員会、調整委員会、評議会を基盤にしたものでなければならない。
このプロセスにおいて反資本主義派は、帝国主義と資本主義の論理と決別した綱領の中心的要求を擁護するだろう。すなわち民衆的諸階級の死活的要求の充足である。それはパン・賃金・雇用、根本的な社会的ニーズを基盤とした経済の再組織化、無料で適切な公共サービス(教育、保健)、女性の諸権利、失業・健康・退職にむけた社会的保護の拡大、根本的な土地改革、銀行と経済の中心部門の社会化、債務帳消し、民族的・民衆的主権である。労働者と住民のためのこの政府綱領は、チュニジアにおいて労働者左翼同盟によって提起されている。それは、ガンヌーシ政権を拒否しすべての民主主義的自由、憲法制定議会、そしてすべての基本的ニーズの充足のために闘っている左翼諸組織を結集している一月一四日戦線の構成要素である。この綱領は、エジプトで現在進められている革命家の再結集の中でも擁護されている。
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チュニジアとエジプトの民衆、そしてアラブ地域のすべての民衆は、民主主義的自由のための闘いにおいて、依然としてわれわれの連帯を必要としている。かれらは帝国主義の支配から解き放たれるために、われわれのいっそうの動員を必要としている。旧政権の対外債務の不払い、独裁者の持ち物と金融資産の返還、国際資本主義の圧力に抗して民衆の国民的主権の擁護、軍事・治安・移民部門などで旧政権が調印した国際協定の取り消しが必要である。全世界の革命家にとって、進行中の革命プロセスを打ち固める支援、民衆が関与する自主的組織化への支援のために、あらゆる可能な労働組合、民衆組織、市民社会組織、反資本主義諸組織との連携を作り出すことが不可欠の課題である。現在進行中のアラブ地域の革命は、われわれの闘いなのである!
われわれはすでに次のようなイニシアティブを支持している。
――世界社会フォーラム・ダカールの社会運動総会で発せられた、三月二〇日(二〇〇三年のイラク侵攻の日)のアラブ地域の革命への世界的連帯の日とするアピール。
――LGO(チュニジア労働者左翼同盟)が呼びかけた、三月二五日から二七日までチュニスで開催されるアラブ地域革命組織会議。
――五月七日、八日、NPA(仏反資本主義新党)が呼びかけマルセイユで開催される地中海反資本主義会議。
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