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「この裁判も形を変えた強制収用だ」
2月24日、千葉地裁民事5部(601号法廷、仲戸川隆人裁判長、清野正彦裁判官、島村陽子裁判官)で一坪共有地裁判(共有物分割請求事件)が行われた。現地から加瀬勉さん(共有委員会<Ⅱ>代表)、平野靖識さん(東峰地区・らっきょう工場)、各支援が駆けつけた。加瀬さんは、「2・24三里塚一坪共有地裁判闘争宣言」を配布した(別掲)。
成田空港会社は、10年10月、一坪共有地を強奪するために共有地六カ所(六七人の共有者)、併せて共有運動の連絡先となっている労活評団結小屋(横堀地区)の撤去・土地明け渡しを求める裁判を起こした。この攻撃は、司法権力を使って有無を言わさず土地を取り上げるという、強制収用と何ら変わらない強権的なやり方だ。1991年から反対同盟と国・運輸省―空港公団(当時)の間で始まったシンポ・円卓会議の中で運輸省と公団は、これまでの農民の意志を無視し国家権力の暴力を使って推し進めた空港建設のやり方を謝罪し、反省して二度とそのような強権的な手段を用いないと約束し、事業認定を取り下げた。2005年にも当時の黒野空港会社社長が東峰住民に対して欺瞞的なものであったが「謝罪文」を出している。
しかし、空港会社は、羽田空港の国際化によって成田空港の独占的地位の崩れに対して空港の拡張、30万回発着回数で競争力をつけようと必死だ。過去の「反省」や「謝罪」「約束」など完全に反故にし、東峰地区をはじめ用地内農民の叩き出し、一坪共有地の強奪、空港反対運動の破壊をねらっている。
今回、提訴された共有者は67人だが、これは全ての共有者にかけられた攻撃である。反対同盟とすべての共有者が一体となって裁判闘争が闘われている。
空港会社の提訴理由は、一坪共有地が「成田空港建設予定地内に所在し、すでに原告が所有権を取得している隣接地と共に、空港建設には必要不可欠な土地である」が「反対運動の目的以外に何ら経済的な利用に供された事実」がなく、空港建設が優先されるから地権者との合意もなく一方的に金銭補償することをもって土地強奪ができる全面的価格賠償方式が成立するとでっち上げた。
しかし一坪共有地の所有権は全部が反対同盟にあり、一坪共有者は名義のみだから共有物分割請求はできない。なにがなんでも一坪共有地を強奪するために強引な論法を展開しているにすぎないのだ。
空港会社の約束違反を許さない
一坪共有者と代理人の清井礼司弁護士は、この間、ウソとでたらめに満ちた空港会社のストーリーへの反論、一坪共有地運動の歴史的正当性、「強制的手段をとらない」という「約束」の明らかな「信義則違反」を立証するために柳川さん、山崎宏さんの証人尋問を地裁に申請した。空港会社は「本件訴訟は、大半の共有持ち分を有する原告が、ごく一部の共有持ち分を有する被告らに対し、民法上の共有分割の方法として全面的価格賠償による分割を求めているに過ぎない」から「必要性がない」という乱暴な意見書を提出してきた(10年12月10日)。空港会社のあわてぶりを示す態度を自己暴露してしまった。地裁も防衛しきれないと判断し、柳川さん、山崎さんの証人尋問を認めたのである。
今回は柳川さん(反対同盟世話人)が地権者である横堀地区の山林(2802事件―芝山町香山新田字新山106―6/持ち分15分の3)、木の根の宅地(2804事件―成田市木の根字東台215/持ち分780分の1)の強奪阻止のために被告人本人尋問が行われた。
柳川さんは、「空港会社は文書(共有者に対する売却要請手紙)を出してお願いしたと主張しますが、長年苦しませてきて、それを深く謝罪しておきながら、形式的な文書を出せばそれでお願いしたことになる、話し合いを求めたと考えるのは、あまりにも旧態依然たる古い公団体質丸出しの役人的・官僚的発想でしかありません。シンポジウムや円卓会議の結果を踏まえるならば、話し合いで解決するという国と反対同盟の合意を守るべきです」と強調した。
さらに「今日のように一方的に空港を拡張するため、裁判所にまで土地の強奪の手助けをさせようとする空港会社は断じて容認できるものではありません。『いかなる状況においても強制収用はとらない』という一文は、当事者の政府の閣議に村岡運輸大臣が報告し了承されたことであり、重いものがあるはずです。姿形を変えて、結果、一方的に土地を我がものにすることは強制手段以外の何ものでもないと思います」と厳しく批判した。
島村裁判官は、「『いかなる状況においても強制収用はとらない』の『いかなる』とは、どういうことなのか」という質問を行ってきた。
柳川さんは、「この裁判自体も形を変えた『強制収用』だ」と断固として答えた。
裁判後、地裁前で集約を行った。
静岡の塚本春雄さん(一坪共有者)は、「加瀬さんの一坪共有地裁判に対するアピールを呼んだ。静岡の仲間たちも誘いながら傍聴した。次回も参加したい」と応援の発言。
清井弁護士は、「共有地裁判の論点は、提供された共有地が名義人の所有地かどうか。第二は、シンポジウムや円卓会議で国、公団がどういう約束をしたのか。空港会社の提訴が適法かどうかだ。反論を柳川さんに行ってもらった。次回の山崎さんの証人尋問では共有運動について述べてもらう」と述べた。
最後に、柳川さんは、「国は『話合いで解決する』と約束した。私はそれを守っているだけだ。約束を破るのは許さん」と糾弾した。
(Y)
次回は、3月11日(金)/午後1時45分/千葉地裁602号法廷/山崎宏さん証人尋問
「2・24三里塚一坪共有地裁判闘争宣言」
三里塚・大地共有委員会代表 加瀬 勉
今日、われわれは三里塚闘争一坪共有地1100余名を代表して千葉地裁の法廷に立って闘いを開始する。われわれが法廷に立つとゆうことは空港建設の権力犯罪を告発し彼らを裁く為のものである。裁かれるのは断じてわれわれではない。裁かれるのは彼ら自身である。
三里塚シンポで政府は、三里塚の農民に謝罪した。黒野(空港株式会社)も謝罪した。
だが、彼らは強権政治、政策を改めようとしない。そればかりではない。30万回発着を企んでいる。「共有物分割補償」とゆう法の名をかりて、われわれ一坪共有者を被告に仕立て新たなる土地強奪を企んできた。昨年12月に空港株式会社は、われわれの証人尋問反対を裁判長に文書を持って申し入れた。問答無用とゆうわけである。この権利蹂躙の行為に断固として抗議をする。一寸の土地も売り渡すことはない。これがわれわれの不退転の決意であり、生涯変わらぬ意志であることをかさねて表明する。
われわれは1100余名の全国一坪共有者に心から訴える。権利とは、要求し主張し擁護する活動によってのみその存在意義を発揮する。われわれの主体的行動がなければ権利は消滅し、一坪共有地は彼らの権力の手の中に落ちるのである。一坪共有者の強固な意志と行動で全国戦線を作り上げ、彼らを包囲し追い詰めてゆこうではないか。今日、千葉地裁の法廷にたったわれわれは、その先頭にたって闘うことを誓うものである。
「落花流水」三里塚激闘の40年余、われわれは一度足りといえども目先の困難にひるんだことはない。権力犯罪、強権政治、独裁政治、侵略者はかならず人民の民主的要求行動によって打倒され葬り去られる。これは歴史の教訓であり、法則である。今、新たに起こりつつあるチュニジア、エジプト等中東の人民の闘いを見るがよい。これが強権政治、独裁者の運命であり末路である。おごる自民党政権も権力の座から引きずり下ろされたのではないか。
「三里塚ハブ空港の建設」は、グローバル化を代表する政策であった。われわれは強権政治、支配を許さなかった。強権政治、競争激化の社会、貧困と差別拡大の社会を許し容認するか、それとも共栄、共存、「健康で文化的な生活」の社会体制を選択し創りあげるか。今、その岐路にわれわれは立っている。「三里塚に空港はいらない」「コンクリート社会はいらない」。三里塚に緑の大地を三里塚に緑の田畑を、これがわれわれの要求である。「一坪共有地は断固死守する」。われわれは毅然として千葉地裁の法廷に立って闘いを開始する。
2011年2月24日