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7月29日におこなわれた参議院選挙は与党・自民党が改選議席の64議席をおおきく減らす37議席に留まる結果となった。一方で、「いのちの政治」を訴えて東京選挙区から立候補した川田龍平候補が68万3629票の得票で見事当選した。政党の支援を受けず市民一人一人の力を結集して勝ち取った1議席は「平和、人権、公平」のための貴重な1議席になるだろう。しかし、選挙はゴールではない。川田龍平議員とともに新しい社会を作っていくという私たちの闘いはこれから始まるのだ。
また、沖縄選挙区からは糸数慶子さんが、社民党比例区から山内徳信さんがそれぞれ当選した。沖縄の在日米軍基地建設反対に奮闘してこられた二人の当選は、辺野古での新基地建設阻止の闘い、米軍再編をとめる闘いにとっても心強い勝利だ。
参院選挙の結果をどう受け止めるのかは慎重に考える必要がある。
自民党の文字通り「歴史的」敗北、投票した約6000万の人々の多くが安倍政権に不信任を突きつけたという事実は疑いようがない。それは従来の社民、共産党などの左派への支持者だけではない。まだ記憶に新しい2005年の郵政選挙によって切り捨てられた地方や末端の自民党支持者(多くが農家、中小企業主、商店主である)も今回民主党に票を投じている(7月30日付け毎日新聞によれば自民党支持者の4分の1が今回民主党に投票した)。
投票日の直前まで安倍内閣の閣僚スキャンダルはとまらず、とりわけ年金問題に対する地方・農村部の有権者の動揺は大きかった。自民の大敗は政権への不信任であると同時に、小泉・安倍に連なる福祉・医療の切り捨てや郵政民営化に代表される新自由主義的経済、社会政策に対する拒否や戸惑いであると見るべきだ。四国では自民党は全滅、岡山選挙区では参院幹事長であった片山虎之助が民主党の新人に敗れ、さらに現役の副大臣クラスまでも落選したという事実はこのことの証左だろう。
新自由主義と格差社会への不安と不満は確実に政治的な形となりつつある。安倍首相の「美しい国」は多数によって拒絶されたのであり、「私か小沢さんかどちらを選ぶかの選挙だ!」と騒いで見せた安倍晋三は自らの言葉に従い辞任するべきである。
だが一方で、こうした現政権への批判が、(さらに言うなら地方を中心とする新自由主義グローバリゼーションへの異議申し立て)が左派への支持に結びついてはいないというのもまた事実である。共産党は1議席、社民党にいたっては2議席もそれぞれ議席を減らしている。現政権への批判票の多くは民主党に流れ、社共両党の掲げた「憲法」は必ずしも投票の判断材料とならなかった。もちろん、参議院の主導権を失った自民党、さらにそれ以上に党内の求心力を欠いた安倍首相にとって憲法改悪の計画は大幅な遅延、後退を余儀なくされるだろう。伝統的な共同体という擬制に回帰しようとする安倍-自民党右派による改憲ベクトルは、表向きな“リベラルらしさ”“スマートさ”を装いつつ新自由主義グローバリズムの波に乗ることを企図した民主党多数派とのミゾを広げている。
参院での第一党に躍り出た民主党は「政権交代」への演出として当面は政府・自民党との対決姿勢を強めていくだろう。その限りにおいては憲法の改定が国会のスケジュールにのぼる可能性は低くなるだろう。
だが、民主党もまた国民投票法への対応に見られるように「護憲派」ではあり得ない。小沢党首の「ふつうの国」論が言う“対等な同盟関係”による安全保障や“日本及び世界の平和の確保”が意味するものとは、「国際貢献」「国連」の大義名分のもとで(それらを担保とすることで)自衛隊を積極的に海外に派遣しようという立場であることを私たちは覚えておかなければならない。
左派の立場としては今回の選挙による国会内の政治情況の変化を見据えつつ、当選した川田、糸数、山内議員らとともに平和、人権、公正な日本と東アジアを作るために今後ともしっかり闘っていこう。私たちのこれまでの闘いの質と量をさらに増やす試みのなかから、格差に苦しみ、怒る人々の思いを具体的な力にしていく道を探らなければならない。
(H)
▽参院選挙結果
読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin2007/index.htm