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2月11日、「領土ナショナリズムをはねかえせ!反「紀元節」行動(主催:実行委)が東京・千駄ヶ谷区民会館で行われ、101人が集まった。
「尖閣諸島」沖での中国漁船と海上保安庁の巡視船衝突やメドベージェフ・ロシア大統領の「北方領土」訪問を契機にした新たな「領土ナショナリズム」と差別・排外主義が吹き荒れるなか、神話をもとにした侵略戦争を美化し天皇を賛美する「建国記念の日」を迎えた。戦前の「紀元節」を引きついで1967年に自民党政権が制定した「祝日」だ。
象徴天皇制延命のために政府式典は2006年から中止したが、神社本庁、日本会議などが賛美式典を繰り返してきた。この日も神社本庁系の「日本の建国を祝う会」が「建国記念の日奉祝中央式典」(明治神宮会館)、街宣右翼らが「第27回紀元節奉祝式典」(星陵会館)を行い、改憲と天皇制強化を意志一致した。
この右翼勢力と連動して西岡武夫参院議長が政府主催の祝賀式典を行うべきだとする書簡を菅直人首相あてに出し、「いやしくも国家の基本精神に関する国の祝日である以上、政府が率先してこの日を祝うことは、極めて当然のことであると思われる」などと圧力をかけていた。つまり、改憲勢力とともに天皇制の侵略と戦争を推し進める装置としての再編、植民地主義と差別排外主義の強化を現在の時代的状況のなかで打ち固めていこうとする策動なのだ。
菅政権は、天皇制の戦争責任・植民地被害者への補償を無視し続け、一方で天皇賛美行事を駆使しながら天皇制統合力を利用し、「動的防衛力」と称したグローバル派兵国家建設を押し進めようとしている。沖縄基地撤去・日米安保破棄、天皇制廃止をかちとるために2.11反「紀元節」行動が闘われた。
植民地主義を克服するために
集会は、実行委の基調報告から始まり、①「紀元節」と「領土ナショナリズム」②「安保」・「沖縄」・「基地問題」③「植民地支配責任」と象徴天皇制について分析したうえで、「政府主導の草の根的な領土ナショナリズムの台頭を、私たちはまのあたりにしているのだ。自ら天皇に跪きそれを他人に強要する、天皇は神聖かつ絶対というナショナリズムと、戦争でしか解決を見ないと思い込ませる「領土ナショナリズム」を、なんとしても跳ね返していくような言論と運動を作り出していこう」と強調した。
集会講演が太田昌国さん(編集者、民族問題研究)から「植民地主義は継続している」というテーマから問題提起した。
太田さんは、植民地主義を克服する例の一つとして井上清(歴史家)を取り上げ、「昨年から尖閣列島問題で発生した。井上清(歴史家)が一九七〇年代に尖閣問題の著書を明らかにしていたので再度取り上げられた。だが井上は、中国文化革命時、毛沢東派として共産党を除名され、単一民族国家論の認識、中国べったりの立場だった。尖閣諸島分析は、そのようなバイアスが、当時なかったろうか。文明国家を高度から低度の段階に分けて比較し優劣をつける歴史観、文明観から断絶することが植民地主義を克服するためには必要だ」と強調した。
尖閣問題へのアプローチとして、「二国間で領土・領海紛争に関しては、十九世紀後半から形作られた国民国家の枠の中では解決できない。国家次元を外した形で、紛争地域を共同開発・共同利用する智恵が求められている」と問題提起した。
また、中国問題にも触れ、「中国は軍事のレベルで大国主義的な勢いが出ている。歴史学者が沖縄返還論まで言い出している。どのように解決していったらいいか。長く時間はかかるが、政治や軍事の言葉で物事を語らないで試みていく必要がある。日本・韓国・中国の文学者たちが言うように文学の言葉を通して国境を隔てられている者同士が語り合い、打開される局面が生み出されるのではないか。ナショナリズムに収斂されない方法を考えていこう」と呼びかけた。
連帯発言が次々と行われた。
日韓民衆連帯全国ネットワークから「3・1朝鮮独立運動92周年 朝鮮半島の準戦時状態に終止符を!2・26集会━日米韓軍事同盟の強化反対━」の呼びかけた。
さらに「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会から「2・26『日の丸・君が代』強制をはね返す!2月集会とデモ」、「沖縄・高江にヘリパッドはいらない!連続アクション」が2・20アメリカ大使館デモ、辺野古への基地建設を許さない実行委員会、立川自衛隊監視テント村からアピールがあった。
渋谷一帯に反天皇、「建国記念の日」反対が響きわたる
集会終了後、渋谷に向けてデモに移った。みぞれ混じりの雪が降る悪天候だったが、元気よく「『建国記念の日』反対!天皇神話を押しつけるな!「日の丸・君が代」はやめてくれ!天皇制の戦争責任を追及しよう!」のシュプレヒコールを行った。
なお天皇主義右翼は、十数台の街宣車で会場周辺を徘徊し、明治神宮前で挑発してきたが毅然とデモを貫徹した。
(Y)