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自衛隊対テロ部隊が前面に登場

11月10日、東京都は、江東区の東京ビッグサイトで2006年2月に策定した東京都国民保護計画に基づいて「大規模テロ災害対処訓練」と称する戦争軍事訓練を強行した。訓練は、警視庁、東京消防庁、自衛隊、海上保安庁、深川消防団、日本アイソトープ協会 、東京DMAT、日本原子力研究開発機構、住友金属物流など約1,000人が参加した。訓練シナリオを見れば、その実態は明らかに対テロ軍事訓練だ。

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「防災」から「反テロ」を口実に軍事が市民社会に侵食する
(写真は 防衛省HPから2000年「ビッグレスキュー」時のもの)

訓練目的のストーリーはこうだ。「国外から放射性物質セシウム137が不法に持ち込まれたという情報がもたらされ、捜査機関が捜査中に、東京都近県において連続爆破テロ事案が発生した。この事態を受け国民保護法に基づく緊急対処事態が認定された直後、警戒強化が実施されているイベント会場において事案が発生」したというのだ。

そのうえで「武装集団の制圧訓練」場面では、「銃器部隊及びレンジャー部隊投入による武装集団」の制圧、すなわち自衛隊先鋭部隊の投入だ。 さらに、「放射能爆弾の対処訓練」では、自衛隊・消防・警視庁などによる「ロボット、ヘリ、特殊車両を活用した放射線危険区域の設定」「被害者の救出救助・除染の実施」 「二次汚染防止のため、放射線体表面測定車による確認検査 」などを行った。


ビラ情宣と都防災課に申し入れ

このような戦争訓練に抗議するために「米軍・自衛隊参加の08年東京都防災訓練に反対する実行委員会」は、午前10時45分から開始する訓練を監視するために会場受付に参加申し入れを行った。

ところが警視庁公安政治警察30人が監視部隊を取り囲み、妨害といやがらせを行ってきた。都の責任者は、「受付時間が終了している」などと急きょデッチあげた理由で参加拒否の対応を繰り返してきた。監視部隊は、都と公安警察が一体となった妨害に抗議し、都庁に移動した。昼休み時間帯の都庁前で「大規模テロ災害対処訓練」への抗議ビラを配布した。

その後、都防災課に対して「『大規模テロ災害対処訓練』への抗議・申し入れ文」(別掲)の提出とともに、監視行動妨害の抗議をして本日の行動を終了した。(Y)

●「大規模テロ災害対処訓練」への抗議・申し入れ文

東京都防災部・国民保護担当殿

 東京都は本日、「大規模テロ災害対処訓練」(国民保護実動訓練)を実施した。

 私たちは、一貫して米軍や自衛隊が関与する東京都総合防災訓練に反対してきた。その理由は、住民を「軍」が関わる訓練に動員することで、有事訓練=戦争協力への動員につながることを危惧してのことである。しかしながら2005年以降、各自治体に「国民保護条例」が制定され、「国民保護計画」が策定され、「実動訓練」が開始されるとともに、その危惧は現実のものとなった。

 なぜ、国民保護実動訓練が問題なのか? それは自然災害を想定した防災訓練と異なり、想定するのは「武力攻撃事態」であり、当然「敵」の存在が不可欠である。保護すべき国民の一方で、鎮圧・制圧すべき「敵」がいなくてはならない。これまでの東京都の実動訓練を振り返ってみれば、06年11月(池袋)では、大規模集客施設などで「同時多発爆弾テロ、サリン」が、07年11月(大井競馬場)では、野外施設で「放射能爆弾テロ、VXガス」が、さらに、08年4月(丸ビル、都庁)では、「同時多発爆弾テロ、テロ警戒対応」といずれも、国籍も正体も不明な「テロリスト」が、無差別テロを起こすという荒唐無稽な設定での上で、洞爺湖サミットがターゲットにされているというものだった。

 問題は、あたかもサミットに反対する勢力が、テロを起こすという恐怖心を地域住民に植え付けることで、特定の政治的意図を押し付けるなかで、戦前の「隣組」「自警団」が展開されるのである。

 そして、実動訓練の初めの頃は、各地とも地域住民の「避難・誘導」や、負傷者の「救出」(トリアージ)「除染」(サリンやVXガスに対応して)がメインに据えられ、本来「武力攻撃事態」に対応するべき「鎮圧・制圧・捕捉・摘発・追跡」といった側面は、出てこなかったのだが、ここへきて、徐々に現れ始めている。今日のプログラムでも、「銃器部隊及びレンジャー部隊投入による武装集団の制圧」がメインの一つに明記されている。
この訓練を担い、協力し、動員される都職員、住民も関与することになる。

 さらに最大の問題は、そもそもこうした有事訓練は、「テロとの戦い」を名目とした米国主導のイラク、アフガニスタンへの「武力攻撃事態」にあって、日本が自衛隊派遣や給油活動を含めた追随・協力することで、要請されているのであり、「テロの脅威」をつくりだしているその責任は、日本政府の側にあり、自治体は、そうした戦争協力に対しては、毅然とした態度をとるべきである。東京都は、こうした有事訓練の実施を中止し、私たち
の懸念・疑問にこたえる場を設定することを要求する。
                              2008年11月7日

米軍・自衛隊参加の08年東京都防災訓練に反対する実行委員会

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