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 現職航空幕僚長だった田母神俊雄は、ホテルチェーンなどを展開するAPAグループが主催した「真の近現代史観」をテーマにする懸賞論文に応募し、最優秀作品として300万円の賞金を獲得した。

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 「日本は侵略国家だったのか」というこの論文で、田母神は「我が国は蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた被害者」、張作霖爆殺も盧溝橋事件も対米開戦も「コミンテルンの謀略」、満州や朝鮮や台湾の植民地支配により「現地の人々は圧制から解放され、また生活水準も飛躍的に向上した」と、極めて低水準の「自己満足」にふけっている。

 田母神はさらに「多くのアジア諸国が大東亜戦争を肯定的に評価している」と断定して「私たちは日本人として我が国の歴史について誇りを持たなければならない」と訴える。極右「靖国派」の陳腐な自己欺瞞の典型だ。


 彼はさらに、「自衛隊は領域の警備も出来ない、集団的自衛権も行使できない、武器の使用も極めて制約が大きい、また攻撃的兵器の保有も禁止されている。諸外国の軍と比べれば自衛隊は雁字搦めで身動きできないようになっている。このマインドコントロールから解放されない限り我が国を自らの力で守る体制がいつになっても解放されない」と「集団的自衛権の行使」を公然と主張するに至っている。

 問題はこれが田母神個人に限られないことだ。報道によれば、APA主催のこの懸賞論文の応募者は自衛隊員の中で50人以上おり、応募総数230件の4分の1近くにも達している。すなわち自衛隊幹部の中に、田母神と気脈を通じる極右思想グループが存在していることを浮かび上がらせている。

 田母神は、4・17名古屋高裁での自衛隊イラク派兵違憲判決に対し「そんなの関係ねぇー」とおちゃらけて憲法そのものを否定し、さらに自衛隊隊内誌にも今回と同趣旨の論文を書いている。

 「そんなの関係ねぇ~」発言を黙認した政府も、今回の懸賞論文に対しては、対外関係への配慮からもあわてて田母神を空幕長から解任した。しかし防衛省は彼の辞職を求めたが、田母神が応じなかったために、「定年退職」扱いとなり、田母神は6300万円の退職金を手土産に意気揚々と防衛省を去り、記者会見などで勝手なことを吹きまくっている。

 田母神発言は決して偶発的で異例の出来事ではない。中山成彬前国交相の暴言も田母神と同じ極右思想に貫かれたものであり、麻生首相自ら所信表明演説で「かしこくも御名御璽をいただき」と、明治憲法的天皇観を披瀝した。

 麻生も「日本会議国会議員懇談会」の前会長であり「創氏改名は朝鮮人自身が望んだこと」と、田母神と同様の歴史認識に立つ発言を行っていたのである。

 11月4日、憲法を生かす会、キリスト者平和ネット、許すな!憲法改悪・市民連絡会は、田母神論文に抗議する防衛省行動を緊急に呼びかけた。それに対し、西村修平ら「主権回復をめざす会」の極右排外主義・差別主義集団は、この抗議行動を「粉砕」すると称して動員をかけた。こうして防衛省正門前での田母神論文抗議行動は、「日の丸」や「旭日旗」を林立させた極右の執拗な罵声の中で展開されることになった。

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極右レイシスト集団の執拗な妨害を跳ね返して行動を貫徹

 許すな!憲法改悪・市民連絡会の司会で路上で行われた集会では、イラク派兵差止訴訟弁護団の川口創事務局長、イラク派兵差止訴訟原告団代表の池住義憲さん、内田雅敏弁護士らも発言、日本消費者連盟の富山洋子さん、新しい反安保行動をつくる実行委員会の国富建治さんらが発言。

 さらに憲法を生かす会、許すな!憲法改悪・市民連絡会、VAWW-NETジャパン、日本YWCA、不戦へのネットワークなどからの抗議・申し入れ書が防衛省担当官に手渡された。(K)

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