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 5月28日、鳩山内閣はオバマ米大統領との電話会談を経て普天間飛行場の「辺野古への移設」、訓練の移転先として徳之島を明記した「日米安全保障協議委員会」(日米の外務・防衛閣僚会合、いわゆる2+2)の共同声明を発表した。

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▲日米合意・共同声明に抗議(5.28 首相官邸前)

 同「共同声明」は、「日米安全保障条約の署名五十周年にあたる本年、日米同盟が日本の防衛のみならず、アジア太平洋地域の平和、安全及び繁栄にとっても引き続き不可欠であると再確認」した。さらに「北東アジアにおける安全保障情勢の最近の展開により、日米同盟の意義が再確認された」と述べて、韓国哨戒艦「天安」の爆沈事件などを念頭におき「沖縄を含む日本における米軍の堅固な前方のプレゼンスが、日本を防衛し、地域の安定を維持するために必要な抑止力と戦力を提供することを認識した」と述べている。

 すなわち、これは1996年のSACO合意による普天間基地の県内「移設」、さらに2005年の米軍再編中間報告や2006年の同最終報告(ロードマップ)の内容を無条件に踏襲・再確認するものである。鳩山内閣は同日夜の閣議で、日米共同声明の内容を閣議決定し、署名を拒否した社民党党首である福島みずほ消費者・少子化問題等担当相を解任した。鳩山首相の「五月決着」は、迷走に次ぐ迷走の末、最悪のみじめな結末を迎えた。

 この結果は「最低でも県外移設」と訴えてきた鳩山民主党代表の選挙「公約」や「沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の見直しを提起し、米軍再編や在日米軍基地の在り方についても見直しの方向で臨む」とした三党連立政権の合意文書の内容に反するものだ。そして虚偽に満ちた「抑止力」論にしがみついて「米軍再編」を無条件に推進し、米国のグローバルな軍事戦略に自衛隊を実戦的に組み込む道を歩み続けることを宣言したものである。その重圧は何よりも沖縄に押しつけられる。鳩山首相は、ついに米国の政府・軍部、そして米国の意向を忠実に体現する日本の外務・防衛官僚の圧力に対抗する意思も能力も持ち合わせていないことを実証してしまったのである。

 報道によれば、鳩山内閣と民主党の中では日米共同声明については「辺野古に新基地建設」を明記しつつ、閣議決定の文案では「移設先」については触れないというまさに「ダブルスタンダード」そのものの対応も浮上していたようである。しかしこうしたゴマカシを通用させなくしたのは、何よりも鳩山政権への高まる不信に基づく米国政府の強い圧力であったことは容易に分かることだ。

 閣議決定と福島みずほ消費者・少子化問題等担当相の罷免を受けて、社民党は5月30日に全国幹事長会議、常任幹事会を開催し、「連立離脱」を決定した。われわれは「『県内移設』が政府案になってもあくまで閣内にとそまる道を選ぶのか。それは自殺行為ではないか」と社民党に問いただした。社民党のギリギリの「連立離脱」の決断は、何よりも県民の島ぐるみの「総意」を裏切った鳩山に対する沖縄の怒りそのものがもたらした。

 社民党の政権離脱は、鳩山民主党主導政権のどん詰まりの危機を決定的な段階にまで高めている。民主党の中からも鳩山の辞任を求める声が公然と噴出している。日米共同声明と閣議決定の前日、5月27日には、ほとんどが民主党からなる181人の国会議員による「普天間飛行場について、将来の国外・県外移設を実現する連立与党・政府の基本方針を策定することを求めます」とする「普天間問題緊急声明」が発せられた。

 自民党など右派与党は、ここぞとばかり「鳩山民主党政権打倒」の声を高めている。しかしかれらの主張は、「辺野古移設」に舞い戻った日米共同声明と閣議決定を批判するものでないことは言うまでもない。かれらは「対等な日米関係」とか、「米軍再編の見直し」とかの鳩山政権のキャッチフレーズが「幻想」であったことを批判し、米国の意向に従属して「集団的自衛権の行使」や武器輸出三原則の見直し、海外派兵の恒常化を保障する基本法を策定せよ、「中国・北朝鮮の脅威」に備えよ、ということにつきる。それは鳩山政権のふらつきを批判しながら、在沖縄米軍基地をいっそう強化し、沖縄を米軍と自衛隊の共同作戦・出撃基地にするよう求めるものでしかない。

 何よりも「本土」の労働者・市民こそが、鳩山政権と右派野党による沖縄への基地押しつけの恒久化、沖縄差別に立ち向かい、自らの闘いによって沖縄の労働者・市民とともに沖縄からすべての米軍基地を撤去する運動を強化しよう。それは必然的に「日米同盟」に基づく「米軍再編」そのものの放棄、安保条約廃棄を具体的な課題として浮上させている。

 5月28日の日米共同声明と閣議決定の当日、沖縄県民は那覇と名護で普天間の即時返還と辺野古への基地建設に反対する怒りの抗議集会を開催した。

 われわれは断言する。SACO合意後も14年間にわたって辺野古の海には一本の杭も打たせない闘いを地元の住民は続けてきた。いまや沖縄県議会では自民党、公明党をふくむ全会派が「普天間即時返還・県内移設反対」の立場に立っている。4月25日に九万人以上の人びとが結集した県民大会に見られるように、沖縄県内の41市町村の全首長が「県内移設反対」の旗幟を鮮明にしている。

 鳩山政権は、さまざまな方法で「日米共同宣言」や「閣議決定」による「辺野古移設」プランの実現のために切り崩し工作を進めるだろう。しかしそのためにかれらに残された手段はきわめて限られたものである。自公政権でできなかったことが民主党政権にできるなどと想像することは極めて困難である。

 したがって問題は、先述したように「本土」の労働者・市民に投げ返されている。沖縄の島ぐるみ闘争は、その自立性・持続性において「本土」政府と米国に対してギリギリのところにまで発展している。それは何よりも自治体行政に依存する闘いではなく、住民自身が行政に対決して自らの主張を堅持し、ついに行政をも縛り、動かす段階に発展してきたのである。

 そしてこの運動をさらに一歩次の段階に発展させるためには、「本土」の労働者・市民自身が政府と対峙し、米国に要求を突き付け、国際的な広がりをも追求して差別と植民地主義を体現する沖縄の米軍基地を撤去する闘いに踏み込むことが求められる。

 この闘いは、グアム先住民族の「海兵隊移設反対」の運動や韓国、フィリピンの反米軍闘争とも共同してアジア・太平洋から米軍基地を撤去させようというものであり、すでにそうした国際的な連携が積み重ねられている。

 沖縄県民の反基地闘争は、「普天間移設」問題の焦点化の中で、「本土」のメディアを通じても「沖縄基地の役割りは何か」「海兵隊の抑止力とは何か」「思いやり予算の問題点」「安保条約と日米密約」などの問題について、より多くの人々に伝える「教育的機能」を果たしてきた。その中で「これまでの日米関係のあり方とその変革」といった問題も取り上げられ、「日米安保」のタブー化が取り払われる客観的条件が生み出されている。

 もちろん「反安保」の言論は、いまだ圧倒的に少数派であろう。しかし人々が「日米安保」の実像にふれる可能性は明らかに広がっているのだ。

 こうした中でわれわれは、討論を積極的に巻き起こし「日米安保条約の廃棄」を正面から掲げる運動をあらためて作り出す課題に挑戦しよう。6月19日に2010安保連絡会が開催する「もうやめよう!日米安保条約」集会の成功のために全力を上げよう。(5月31日 K)

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