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挑発・報復・制裁のエスカレートをやめよ

 3月26日、朝鮮半島西の黄海(西海)上、朝鮮民主主義民主主義人民共和国(北朝鮮)との領海線(北方限界線)の南にあるペクリョン島近くで、韓国海軍の哨戒艦「天安」(1200トン)が爆発によって真っ二つに割れ沈没し、乗員104人のうち46人が死亡する韓国海軍史上最大の被害となった。

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▲引き揚げられた「天安」

 当初、韓国政府当局は「北朝鮮が関与した可能性は低い」としていた。在韓米軍も「北朝鮮に特異な動きはない」として同様の判断に立っていた。しかし対「北」強硬路線を取る韓国の右派は、李明博(イ・ミョンバク)政権による「慎重な対応」を批判し、「天安」沈没は北朝鮮の魚雷攻撃によるものだ、との主張を繰り広げていった。北朝鮮側は沈黙を守った。

 しかし引き揚げられた「天安」を調査した軍と民間の事故調査団は4月16日に「内部爆発よりも外部爆発の可能性が強い」と初めて発表した。だが「天安」船体に魚雷などが命中した痕跡はない。その結果、「艦の底部水中で魚雷などの強力な爆発が発生し、バブルジェットによって艦体に大きな衝撃が加わり、真っ二つに割れた」と示唆したのである。これに対して北朝鮮は「沈没原因を解明できなかったためにわれわれと結びつけようとしている」と非難した。その後、韓国の右派からは北朝鮮への「断固たる報復」が声高に唱えられるようになった。

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 5月20日に韓国軍、韓国の民間専門機関に米国、オーストラリア、イギリス、スウェーデンの専門家が加わった合同調査団は、「天安」の爆沈は「北朝鮮製魚雷による外部での水中爆発によるもの」とした上で、「魚雷が北朝鮮の小型潜水艦艇から発射されたという以外の説明はできない」と北朝鮮の軍事攻撃を断定した。

 この報告を受けてイ・ミョンバク韓国大統領は「北朝鮮に断固たる措置を取る」と語り「北朝鮮が過ちを認め、謝罪して責任者を処罰する」よう求めた。日本政府、米英豪などの各国首脳、NATOも韓国政府の立場への支持・協力を明らかにし、北朝鮮を「国際法への明白な違反」として非難した。他方、北朝鮮政府は五月二十日の「合同調査団」発表に厳しく反発し、「物証を確認するために国防委検閲団(調査団)を現地に派遣する」「南側の『報復』行為、いかなる制裁にも即時、全面戦争を含む各種の強硬措置で応える」などとの強硬声明を発した。さらに北朝鮮は5月25日に、韓国との「すべての関係を断絶」すると発表した。

 今や朝鮮半島南北間の関係は、韓国による軍事境界線での「対北」宣伝放送の再開、国防方針で北朝鮮を「主敵」とする概念の復活検討など、急速にきわめて緊張したものになっている。イ・ミョンバク政権は国連安保理に提訴し、北朝鮮非難・制裁を求めようとしている。

 日米両政府は、5月21日の岡田・クリントン会談で日米韓三カ国の連携で北朝鮮に圧力をかけることを確認し、それぞれ独自の対北朝鮮「制裁」の強化を打ち出した。5月28日、鳩山政権は閣議で追加制裁の実施を決定し、同日の参院本会議では北朝鮮を対象とする貨物検査法案を成立させた。さらに5月29日に済州島で行われた日韓首脳会談でも「天安」沈没事件への対応で日韓両国が全面的に協力し、国連安保理での北朝鮮非難決議にむけて中国への働きかけに一致してあたることを合意したのである。

 今や、「天安」沈没問題は鳩山首相の5月23日の沖縄再訪の際に、在沖米軍基地の必要性、「抑止力」として果たしている役割を強調し、沖縄に米海兵隊基地を押し付け続けるための口実として利用されている。労働者・市民は、「天安」爆沈事件を沖縄の米軍基地や「日米同盟」強化の根拠にしようとする動きを、きっぱりと批判しなければならない。同時にこの事件を通じて「北朝鮮の脅威」を煽り、「制裁」の強化や、朝鮮学校への無償化除外、在日朝鮮人への差別と排外主義的攻撃が強まることに反対する。

 「天安」沈没が韓国の調査委員会が断定したように、北朝鮮軍の魚雷攻撃によるものであるものかどうかは、韓国の在野言論の中では米韓軍の設置した機雷によるものである、という説など、「謀略」論まで含めてさまざまな論議があり、北朝鮮政府は「北の魚雷攻撃」説を否定している。

 現在われわれは、証拠に基づいて「犯人」を判断する根拠を持ち得ない。そうであるがゆえに、公正な国際的調査による情報開示と真相究明に、すべての諸国が協力することが必要である。そして真相究明のためには「天安」爆沈事件を利用した「挑発」によって朝鮮半島や周辺地域の軍事的緊張を促すことは、北朝鮮、韓国、米国、中国、日本などのあらゆる関係諸国が厳に慎まなければならないことである。

朝鮮半島の「戦争」状態に終止符を打ち、北朝鮮の六カ国会議への復帰と「核開発」の放棄、東北アジアの非核化を実現すること、米朝・日朝の国交正常化交渉の着実な前進、日本の韓国強制併合・朝鮮植民地支配への謝罪と補償、拉致問題の解決、そして平和・民主主義・人権に貫かれた東北アジアの持続的な平和の枠組みをねばり強く推進していかなければならない。(K)

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