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9月29日、歴史教科書の沖縄戦における「住民集団自決」に関して、文部科学省が日本軍による「自決の強制」の記述の削除を求める「検定意見」を付け加えたことに対して抗議し「検定意見」の撤回を求める県民大会が宜野湾市海浜公園で開催され、「本土復帰」以降最大の結集となる11万人が参加した。沖縄県民のほぼ十人に一人が、この大会に参加したことになる。また、石垣や宮古でも同趣旨の集会が開催され、6千人が参加している。 

ニュース映像(QAB)



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●大会決議文

去る三月三十日、文部科学省は、平成二十年度から使用される高等学校教科書の検定結果を公表したが、沖縄戦における「集団自決」の記述について、「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である」との検定意見を付し、日本軍による命令・強制・誘導等の表現を削除・修正させている。その理由として同省は、「日本軍の命令があったか明らかで
はない」ことや、「最近の研究成果で軍命はなかったという説がある」ことなとを挙げているが、沖縄戦における「集団自決」が、日本軍による関与なしに起こり得なかったことは紛れ
もない事実であり、今回の削除・修正は体験者による数多くの証言を否定し歪曲しようとするものである。

このため、これまて口を閉ざしていた多くの体験者が子供たちに誤った歴史を教えることの危機感から、辛い体験や真実をようやく語り始めている。また、去る大戦て国内唯一の地上戦を体験し、一般県民を含む多くの尊い生命を失い、筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられた県民にとっても、今回の削除・修正が到底容認できるものではないことから、激しい怒りを示し、そのうねりは県内全体を揺るがす力となって、沖縄県議会での二度の意見書決議、四十一の市町村議会全ての意見書決議へと結びつき、さらには県内地方四団体や民間団体が相次いで文部科学省へ要請するなど、県民が一丸となって取り組む結果となった。

これに対し、文部科学省は「教科用図書検定調査審議会が決定することであり、理解していただきたい」との回答に終始し、検定意見の撤回と「集団自決」に関する記述の回復を拒否し続けている。また、今回の教科書検定に際して、文部科学省はあらかじめ合否の方針や検定意見の内容を取りまとめた上て同審議会に諮問していること、諮問案の取りまとめに当たっては係争中の裁判を理由にし、かつ、一方の当事者の主張のみを取り上げていること、同審議会では「集団自決」の議論が全くなされていなかったことなと、新たな事実か相次いで判明したのにもかかわらず、依然として対応を改めようとしていない。

教科書は未来を担う子供たちに真実を伝える重要な役割を担っている。だからこそ、子供たちに、沖縄戦における「集団自決」が日本軍による関与なしに起こり得なかったことが紛れも
ない事実であったことを正しく伝え、沖縄戦の実相を教訓とすることの重要性や、平和を希求することの必要性、悲惨な戦争を再び起こさないようにするためにはどうすればよいのかなど
を教えていくことは、我々に課せられた重大な責務である。

よって、沖縄県民は、本日の県民大会において、県民の総音として国に対し今回の教科書検定意見が撤回され、「集団自決」記述の回復が直ちに行われるよう決議する。

平成十九年九月二十九日
九・二九教科書検定意見撤回を求める県民大会実行委員会

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この大会は、沖縄県議会における文部科学省に対して「検定意見」撤回を求める決議の採択から、さらに「県民世論の結集」を目的にして自民党から共産党まで超党派によって呼びかけられた。県議会野党による仲井真知事への「県として県民大会を主催してほしい」という要請を仲井真は「行政が運動をするわけにはいかない」などと一蹴したが、歴史歪曲に対する県民の怒りと県民大会に向かうパワーが、前任の稲嶺以上の「中央寄り」と言われる仲井真に県民大会において11万人の前で「文科省への抗議」を表明させることを強制した。

この大会に向けて、労組のナショナル・センターを超えた「労組連絡会」が結成され、「大会への労働者三万人参加」を具体的目標とした取り組みがなされ、多数の人々が各市町村からバスを連ねてこの大会に参加した。また、高校生・中学生の参加も多数みられた。この大会の実行委員会は、29日の大会決議をもって、10月に大挙して上京して政府・文科省に「検定意見」撤回を迫る方針だ。

この文科省による「日本軍による集団自決の強要」の削除を求めた「検定意見」は、「南京大虐殺否定」や「従軍慰安婦デッチアゲ」などを主張する「新しい歴史教科書をつくる会」による一連の歴史歪曲キャンペーンに、文科省が迎合し結託した結果打ち出されたものだ。今回の県民大会の大結集は、侵略戦争を賛美する極右派にとっては「靖国の星」安倍晋三の惨めな辞任劇に続く、大きな衝撃となるだろう。そもそも、小泉の靖国参拝とこの侵略戦争賛美・歴史歪曲教科書問題に対するアジア民衆の巨大な怒りと抗議は、極右派のなかでもまず「つくる会」の分裂・分解を強制した。

そしてまた、その圧力は首相に就任した安倍の靖国訪問を不可能にさせ、彼の支持基盤だった極右靖国派・復古主義勢力の離反を促し、安倍内閣の早期退陣の大きな一因となっていることは否めない。また、「親米で大東亜戦争解放史観」という(アメリカ帝国主義も容認できないという点においても)極右派の決定的矛盾がアジア民衆の包囲と圧力に直面した結果、極右思潮の大破綻に至った表現が安倍の辞任劇であるともいえる。それは、2006年の来日した韓国・台湾の人々とともに千人以上の参加で闘われた反靖国行動や、わずか1%にも満たない採択率に押さえ込んだ「つくる会」教科書反対運動などの成果でもあることを再確認しよう。

そして沖縄の怒りと9月29日の11万人の大結集は、極右・改憲派をさらに追い詰めている。「本土」においても、戦争賛美・歴史歪曲教科書NO!、日の丸・君が代強制NO!、靖国神社解体・靖国派包囲の闘いをさらに広げて、この沖縄の人々とつながろう!そして、極右靖国派と改憲派の目論見を決定的かつ最終的に打ち砕こう!(F)

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●県民へのアピール

砲弾の豪雨の中へ放り出され
自決せよと強いられ
死んでいった沖縄人の魂は
怒りをもって再びこの島の上を
さまよっている

いまだ砲弾が埋まる沖縄の野山に
拾われない死者の骨が散らばる
泥にまみれて死んだ魂を
正義の戦争のために殉じたと
偽りをいうなかれ

歴史の真実をそのまま
次の世代へ伝えることが
日本を正しく歩ましめる
歪められた教科書は
再び戦争と破壊へと向かう

沖縄戦の死者の怒りの声が
聞こえないか
大和の政治家・文科省には届かないか
届かなければ聞こえなければ
生きている私たちが声を一つにして
押し上げ訴えよう

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