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5月27日、神戸地検は、107人が死亡、562人が負傷した2005年4月の尼崎脱線事故で、JR西本社と社長宅を捜索した。「業務上過失致死傷容疑でJR西本社と山崎正夫社長の自宅を家宅捜索した。本社への捜索は昨年10月以来2度目で、山崎社長宅への捜索は始めて。
事故から4年余りが経過、捜査が大詰めの局面を迎える中での捜索は異例。地検は結論を出すためには捜索が不可欠と判断したとみられる」(5月28日付神奈川新聞)という。
また、「兵庫県警は1996年に事故現場を急カーブに付け替えた際、自動列車停止装置(ATS)があれば事故を防げたと判断。・・・・・山崎社長ら5人はカーブ付け替え時の安全対策担当幹部だった」(同紙)という。
JRは輸送の原点、安全規範を、確立せよ
尼崎脱線事故とは、どういうものだったのか、検討してみよう。
少し長いが、元国鉄労働者、佐久間忠夫さんの本から引用したい。「JR福知山脱線事故に思う」で言う。
「国鉄のころは、すべてのことに安全が第1だった。輸送業は何より、お客や荷物を安全に正確に送るのが最大の使命だった。しかし、JR西日本の支社報を見ると、まず「儲け」でしょ。企業として収益が第1で、阪急や南海など私鉄との競合に勝たなければならない。これが事故を引き起こした背景だと思う。
分割・民営化による競争心理は、輸送業務にとって大きなマイナスなのだ。快速電車で停車駅を1つ増やしたけど、運転時間は同じ。こんな馬鹿(ママ)げたことはないよ。停車時間は20秒、客扱いを取っている。止まって動き出すまでの時間も必要。しかも、目いっぱいのダイヤを組んでいる。国鉄時代は70から80%で余裕を見ていた。この福知山線では事故が起きないのが不思議なくらいのダイヤだ。
俺も運転士だったから分かるけど、本格的に遅れを出しちゃいけないという職人根性というか気質が強い。今回は遅れを回復するために起きた事故だ。なぜ無理して回復しようとしたか。前に1回処分を受けているから。2度やると運転士を外されるかもしれない。その恐怖感かな。前の駅でオーバーランし1分30秒の遅れ。それを回復しようとしたことに基本的な問題があったと思う。
事故の電車に2人の運転士が乗っていた。「救出活動せずに出勤」とあったが、とんでもねえ」(佐久間忠夫「人らしく生きよう」P267より)。
佐久間さんは、ここで4点言っていると私は思う。第1は、今回JR事故の根本にあるのは、国鉄分割・民営化である。第2は、私鉄(阪急や南海)に、勝たなければならない。労使一体の小田急は、特別だが。教育の違いです。私鉄には、勝てないと私は思う。第3は、「1分30秒」の遅れ。回復しようとした。これが事故へ。第4は、世の中人間疎外だからしょうがらないかもしれないが。事故の電車に乗っていた、2人の運転士。彼らが救助に動いてくれたら、数人の客、助かったかもしれない。残念だ。
JRは、「日勤教育」を廃止せよ
「事故の遺族らは、「国鉄」とともに安全を葬り、「人材活用センター」による強権支配を「日勤教育」へと引き継いだ歴代幹部らの立件を強く望んでおり、再三、神戸地検への働きかけを行ってきました」(インターネット・黒鉄好・安全問題研究会より)という。「日勤教育」問題だ。
かって私も、私鉄労働者として42年間、安全問題取り組んできました。敗北の連続でした。
だが最近、「派遣切り労働者」が、組合をつくり立ち上がっています。まわりにいる私たちが、こうした人々を支援していこう。そして勝利しよう(5月29日)。
結城 守保(元小田急労研)