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 4月7日、「いま成田空港で何が起きているのかプロジェクト」(略称:成田プロジェクト)がスタートした。呼びかけたのは、浅井真由美さん(『労働情報』編集長)、大野和興さん(地球的課題の実験村共同代表)、梶川凉子さん(成田バスツアーの会)、鎌田慧さん(ルポライター)、白川真澄さん(『ピープルズ・プラン』編集長)、高木久仁子さん、高橋千代司さん(三里塚一坪共有者)、中里英章さん(成田バスツアーの会)たちだ。「成田空港の暫定滑走路の供用中止を訴えます」共同声明運動や成田バスツアーの企画など、三里塚闘争を粘り強く取り組んできた。

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▲呼びかけ人の一人・鎌田慧さん

 成田プロジェクトは、10・22成田空港平行滑走路供用強行に対して「人権・生存権や環境、安全性の観点から問題点を明らかにし、声明を出したり国土交通省や成田空港会社に申し入れるなどの運動」の取り組みをめざしている。

 さらに、「成田空港の現状や問題点を広く市民に知らせるための映像表現やネットを使った活動」、「航空機事故、騒音・低周波被害、環境汚染、グローバル社会のなかでの空港といったテーマについての研究会・学習会」を準備している。成田プロジェクトに参加しよう。(Y)


■成田プロジェクト呼びかけ

 成田空港では、B滑走路(暫定平行滑走路、2180メートル)を北に延ばして2500メートルにする計画が急ピッチで進んでいます。延伸工事は住民が慣れ親しんだ入り会い地「東峰の森」を破壊して進められ、成田国際空港会社は当初の予定よりも半年早く今年10月には供用を開始するとしています。

 わたしたちは、成田空港をめぐり何が起こっているかを検証し、社会に訴え、問題解決に取り組むプロジェクトの発足を広く呼びかけます。当面、次のような取り組みを進めたいと考えています。

 (1)B滑走路の2500メートルへの延伸とその10月供用に対して、人権・生存権や環境、安全性の観点から問題点を明らかにし、声明を出したり国土交通省や成田空港会社に申し入れるなどの運動を行ないます。

 (2)成田空港の現状や問題点を広く市民に知らせるための映像表現やネットを使った活動を行います。

 (3)航空機事故、騒音・低周波被害、環境汚染、グローバル社会のなかでの空港といったテーマについての研究会・学習会を開催します。

 もしB滑走路が2500メートルに延伸されるならば、ジャンボのような大型機が離着陸することになり、空港会社は年間の発着回数を2本の滑走路を合わせて現在の20万回から当面は22万回に、最終的には30万回に増やすと言っています。B滑走路の南端には農を営む人びとが暮らしており、いっそうすさまじい騒音と排気ガスが、さらにはさまざまの事故の危険性がその人びとを襲うことになります。これは、現地で生活する人びとに対するあからさまな人権や生存権の侵害であると言わねばなりません。空港会社は、公団を引き継いでいるわけですから、公団が現地や周辺の住民、反対同盟と取り交わした約束や協定を誠実に守らなければならない立場にあります。そうした約束を反故にしながら、B滑走路の延伸を強行し、また全国の一坪共有者に権利返上を求める動きを強めていることは、許しがたい行ないです。

 さらに見逃せないのは、空港会社が3月にA滑走路で起きた米フェデックス貨物機の炎上事故を理由にして、大型機が飛べるようにB滑走路の延伸を早め安全運航につなげると言っていることです。初めての死者を出したこの事故は、開港前から問題視されていた空港立地の地理・気象条件そのものを根本的に再検討するべき必要性を示しています。こうしたことをまったく顧みず滑走路の延伸と発着回数の増大だけを追
求するのは、安全性無視もはなはだしい態度です。

  いま地球温暖化をはじめ地球環境問題が重要な課題になっているとき、石油燃料を大量消費してCO2などの排気ガスを撒き散らす航空機をどんどん増やしてよいのでしょうか。こうした視点からも、空港の拡張・新設や滑走路の増設・延伸が問い直されるべきです。

 私たちは、成田空港をめぐる多くの矛盾や問題点があらためて浮き彫りになっている現在、現地で暮らす住民、空港利用者を含む市民、社会運動やNGOに関わる人びとが一緒になって成田空港のもたらす問題を考え、社会に広く訴えるための活動を始めたいと思います。みなさんの積極的な参加と協力を呼びかけます。

【連絡先】〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-13-5 影山ビル
 協同センター・労働情報 気付ファクス:03─6675─9097

●補足資料

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読書案内 『抵抗する自由』 鎌田慧 著/七ツ森書館刊/1800円+税

三里塚農民の頑固さの根拠

 鎌田さんは、人民の闘う現場に駆けつけレポートし、社会に訴え、人々を組織してきた。本書に登場する三里塚に生きる人々によるメッセージは、あらためてそのことを再認識させてくれる。さらに言えば、これまでの歩みを僅かながら掴み取ることによって、ともに闘うスクラムが組めたことを勝手に喜ぶこともできるのだ。文脈から発する怒り、情念みたいなものが次々とせまってくる。その迫力感は何か。冷静に反芻すると、次に向かうヒントを鎌田節でグサッと脳裏につきさしているはずだ。

 皆さんにぜひ読んでいただきたいのが、「第2章 成田空港閣議決定後の現実」だ。東峰地区の小泉英政さん、島村昭治さん、石井恒司さん、石井紀子さん、そして反対同盟世話人の柳川秀夫さんが登場している。このインタビューは、「労働情報」(06・7~11)に連載されたものだが、あらためて読み直すと三里塚農民のそれぞれのポリシーにもとづく頑固さに圧倒される。「労働情報」連載中、三里塚を闘う仲間たちの間で、この連載がかなり評判となり、さまざまな観点から論議が「沸騰」したものだった。それは三里塚闘争の「重さ」によって、かなり深刻な論議だったなと記憶しているが、やはりあらためてそのことを痛感した。

反撃への進路をつかみとる

 現在、東峰住民をはじめ三里塚農民に対して、暫定滑走路北進工事、新誘導路建設と「東峰の森」破壊による追い出し攻撃がかけられている。鎌田さんは、現在の三里塚闘争の困難性を問題提起しながら、あえて「三里塚闘争は終わったのか」と設定し、原点である自己の立脚点を再確認する。

 「国家の横暴によって生活を奪われるのを拒否した、農民の抵抗を支持してきたのだから、いま、このひとたちの苦境に無関心でいるのは、自分の思想と行動の否定である」「さらなる少数派を見殺しにして拡張されようとしているのだ。この事態をどうするのか、三里塚にかかわってきたものたちの課題である」と結んでいる。

 とにかくこの第2章から読んでいただきたい。まずここを出発点にして、第三章の「大胆率直に、訴える」で管制塔占拠闘争の歴史的意義を再把握し、元管制塔被告への不当な損害賠償請求攻撃を多くの人々の力ではねかえした「底力」をバネとして、ガッチリと組み込むことができる。

 その次に日本階級闘争の「結果と総括」を掘り下げていくことができる第1章「格差社会とワーキングプア」を読破し、第4章の「抵抗する自由」にたどりついてほしい。鎌田節による新たな進路が指し示されていることを実感しながら、明日の闘いに踏み出すことができるはずだ。(Y)

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