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生存権保障の実現をめざして

 11月5日、新宿ホームレス生活保護裁判(新宿七夕訴訟)の第2回口頭弁論が東京地方裁判所民事第2部522号法廷で行われた。傍聴席は、各地域の支援の仲間たちで満席だ。

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 この裁判は、野宿生活を余儀なくされていた横山正美さんが新宿区福祉事務所にアパートでの生活を求めて生活保護を申請したところ、2度にわたり「稼働能力不活用」などを理由に却下されたことから、却下処分の取消しと保護開始決定の義務づけを求め提訴した。新宿区の野宿者たちに対する差別対応を許さず、不当な生活保護行政の是正を求める闘いだ。 生活保護法は憲法25条に基 づいて全ての生活困窮者に対し「健康で文化的な最低限度の生活」を保障することを行政に義務づけている。しかし、野宿者への生活保護制度の適用を差別し、排斥が強まっている。生存権保障の実現をめざし、反貧困運動の取り組みを強めていこう。

新宿区の酷い生保行政

 経過を紹介しよう。原告の横山さんは、「ホームレス総合相談ネットワーク」の法律家、支援者らとともに生活保護申請をしようと新宿区福祉事務所の窓口を訪れた(6月2日)。ところが相談員は「生活保護ではなく仕事をすることを考えろ」「他方他施策が優先するのだから」「あなたは働けるだろ、働く努力をしろ」などと差別対応を繰り返し、緊急一時保護センター等への入所をすすめ生活保護申請を受け付けようとしなかった。さらに、安定した仕事も住居もないのに住宅費や生活費の貸し付け制度も利用させようとしてきた。再三にわたる申請のうえで受理したが、結局、「稼働能力を活用していない」という理由で生活保護却下を強行した。


 横山さんは、このような暴挙を許さず、弁護士と支援の仲間とともに、7月7日、新宿区を相手に「1、生活保護開始申請に対する却下処分の取消し 2、生活保護開始決定の義務づけ及び生活保護費の支払い 3、仮の義務づけの申立て」を行った。

 8月14日、地裁は「仮の義務づけ」の申し立てを却下。その理由は「稼働能力があるにもかかわらず、それを活用して就労自立しようという真摯な努力をしていない」「自立支援センターという就労支援や稼働能力を活用できる場があるにもかかわらず、それを十分に利用しなかったり、仕事を自分の都合で辞めるなど、自ら路上生活に陥いることを選択した」などと新宿の主張を繰り返したものだった。自己責任論で門前払いしたのだ。なおこの判決によって都内の各福祉事務所はホームレスであるという理由だけで徹底的な水際作戦を強化していく傾向を広めている。

板橋区は即日保護決定

 横山さんは、支援と相談のうえで8月25日に板橋区に生保申請することになった。粘り強い申し入れと交渉によって板橋区は、「要保護性があり、緊急性が高い」ということで即日保護を決定。また、8月分の保護費も受け取ることができた。なんと新宿区の対応と違うことか。あらためて新宿区の生活保護行政の酷さを証明したのである。

 すでに第1回口頭弁論は、9月10日に地裁で行われた。原告弁護団は、宇都宮健児団長ほか29人で結成されている。第2回裁判後、ホームレス新宿訴訟弁護団の主催(弁護士会館)で報告集会が行われた。協力がホームレス総合相談ネットワーク、東京新宿ホームレス訴訟弁護団、横山さんと全国の仲間たちを支援する会 。

 弁護団から(1)新宿福祉事務所への生活保護申請に至るまでの経緯(2)生活保護申請却下処分から本案提訴に至るまでの経緯(3)本案提訴に関する弁護団報告および訴訟活動の見通しについて報告があった。続いて、横山さん、宇都宮弁護団長から挨拶が行われ、参加者全体で裁判勝利にむけて奮闘していくことを確認した。

 第3回裁判は、09年2月20日(金)、東京地裁民事2部103大法廷で行われる。(Y)

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