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4月4日、アジア連帯講座は、文京シビックセンターで「WSF(世界社会フォーラム)と社会主派の位置と役割について」をテーマにした公開講座を行った。
毎年1月下旬頃、スイスのダボスで世界の政財界トップによる世界経済フォーラムと称する金儲けのための談合が行われてきた。この流れに抗して資本と新自由主義のグローバル化を許さず、民衆のための世界を作りだしていくために2001年からブラジルのポルトアレグレなどで世界社会フォーラム(WSF)が行われてきた。すでに9回目を迎え、今回は1月27日~2月1日にブラジルのベレン市でWSFが開催された。142カ国から133000人が参加した。1月27日のオープニングデモ(91000人)に続いて、気候変動、貧困、カジノ化した金融市場の問題、先住民問題などを課題として様々なフォーラムが行われ論議を深め、今後の協同作業の方向性を打ち出していった。
ベレンWSFの特徴について
講座の冒頭は、ビデオとフォト報告。ビデオは、スコールの豪雨をはねのけて行われたオープニングデモ(1月27日)、アマゾンデー(28日)、各フォーラム・ワークショップの熱気に満ちた論議、参加者たちのアピールなどのシーンが次々と写しだされた。フォト報告は、ベレンの民衆の生活、交通、環境などを中心にシャッターが切られていた。
講座は、ベレンWSFに参加した石塚宏明さん(ATTAC Japan〈首都圏〉)が主な特徴について報告した。
「参加者数が過去最高だった。アマゾニア人をはじめ多くの先住民、若者、女性たちが参加したことだ。さらに、世界的金融危機に直面している中でダボス会議と対抗的に行い、同時にイスラエルのガザへの攻撃に抗議の場へと転化した」ことが第一の特徴だった。
第二は、「チャベス(ベネズエラ)、モラレス(ボリビア)、フェルナンド・ルーゴ(パラグアイ)、コレア(エクアドル)大統領がオルタナティブ的に参加したことだ。ブラジルのルラ大統領も参加したが、従来通りの新自由主義政策堅持とともにオバマ米政権との親密ぶりを深めている。ただダボス会議に参加しないでWSFに来た
というところにルラの微妙な立場が現れているが、今後、継続して注目していかなければならない」と強調した。
さらに石塚さんは、WSFの社会主義派の位置についてブラジルの新たな左翼潮流PSOL(社会主義と自由党)を取り上げ、「PSOL活動家たちは、いくつかの討論会場でパネラーとし参加し、かなり動員もしていた。PSOLは、ルラ政権の新自由主義政策に反対し、政権党のPT(労働者党)から分裂した新党だが、党首のエロイザ・エレナが参加していたセミナーでは、かなり熱気があった。MST(土地なき農民運動)も参加しており、ブラジル左派勢力がかなり影響力をましていることを確認することができた」と評価した。
グローバル金融危機と不況、新自由主義経済の破綻状況の深まりにあって、この経済システムを変革していくことが求められていることが共通の問題意識としてあること、すなわちその具体的な現れとして、「債務取消、自由貿易に対する規制、銀行国有化について強く言われた。それが反新自由主義と反資本主義に集約され、WSFベレン社会運動総会宣言という形でまとめた。宣言の『私たちは危機のツケを払わない
金持ちが支払わなければならない! 反帝国主義・フェミニスト・環境保護・社会主義的オルタナティブが必要だ』のスローガンを見るだけでも、従来よりもかなり踏み込んだ内容になっている」ことに現れていると結論づけた。
WSFベレン社会運動総会の宣言の意義と今後の方向性
補足提起として新時代社の国富建治さんは、「最近、ヨーロッパの国際会議に参加し、そこで債務帳消し運動を取り組んでいるエリック・トゥーサン、PSOLのメンバーたちとWSFの評価について討論した」ことを紹介し、「交通不便なベレンだったが、多数の若者、先住民が参加したことによって成功だった。前回のナイロビWSFの商業主義的傾向の側面を克服し、世界の民衆運動の交流を深めた場でもあった。とりわけ参加者たちは、世界的金融危機と資本主義システムに代わる新たなシステムが必要だということが共通した意識だった。この評価は、共通していた。さらにブラジルの社会運動団体(土地なき農民運動、ディアカンペシーナ、世界女性行進)がルラを除く南米の四人の大統領を呼び、民衆運動の主張を直接訴える企画が実現したことは、大きな成果だった」ことなどを報告した。
質疑応答の中でWSFに参加した秋本陽子さん(ATTAC Japan〈首都圏〉)は、「そもそもWSFは、当初から社会的な問題解決という観点はあったが、今回のWSFはすでに報告されているように社会主義的な解決が必要なんだというところに到達したことに踏み込んだ性格があったのではないか」という問題提起があった。
最後に司会は、WSFベレン社会運動総会の宣言の意義を確認し、今後の実現課題を実践的に取り組んでいくことを呼びかけた。(Y)