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東京都「安全・安心まちづくり条例」改悪反対!
憲法違反、人権侵害、外国人差別・排外主義に貫かれた条例改悪を許さない!
石原都政に抗議のシュプレヒコールをたたきつけていこう!
東京都は、グローバル派兵大国建設と連動した治安弾圧体制の強化にむけて三月の都議会で現在の「安全・安心まちづくり条例」改悪を強行しようとしている。十七日の総務委員会で審議を開始し、早期成立をねらっている。ただちに「安全・安心まちづくり条例」改悪案の憲法違反、人権侵害、外国人差別・排外主義に貫かれた内容を暴露しきり、改悪反対の取り組みを強化することを訴える。
▲暴力的にビラ撒きを粉砕する警察(1月16日)
都は、現行の治安弾圧に満ちた「安全・安心まちづくり条例」の第十八条に「繁華街等における安全・安心の確保」の改悪条文を加えろというのだ。条文は、「繁華街その他の店舗が集積し、多数の来訪者を抱える地域において、店舗、駐車場その他の施設若しくは土地を所有し、若しくは管理する者又は事業者を営む者、地域住民、ボランティア及び来訪者は、次条に規定する繁華街等に関する指針に基づき、当該繁華街等の安全・安心を確保するために必要な措置を講ずるように努めるものとする」という文言だ。しかし、「指針」なるものは、具体的に書かれていない。条例成立後、「指針」を正式に提示するのだというが、すでに条例改悪を審議してきた「東京都安全・安心まちづくり有識者会議」の報告書と「繁華街における安全・安心の確保に関する考え方」において、予想される反動的「指針」内容を明らかにしている。
民間機関を動員した監視・管理・治安弾圧の強化
報告書は、警察権力がアメリカの新自由主義型治安弾圧体制構築のために採用した「割れ窓理論」と「防犯環境設計」理論を踏襲し、東京都をはじめ全国に「安全・安心まちづくり条例」を制定させていった「成果」を確認する。そのうえで「米国発の金融危機を契機とした世界同時不況の影響等により、国内の景気や雇用環境などが悪化する中で、社会情勢がますます不安定化、不透明化し、犯罪の増加が懸念される」という現局面の情勢認識を披露するが、明らかに資本の延命のための大量解雇攻撃に抗した労働者、労働組合の闘いの拡大、市民運動などのデモ、宣伝などを「犯罪」対象として位置づけ、迎え撃つことを宣言しているのだ。
あらためて弾圧の武器として「安全・安心まちづくり条例」を再設定し、条例を根拠に民間を動員して警察権力の手先として研修・訓練を強要する。任務は、地域を日常的に防犯から治安パトロールする自警団へとレベルアップさせていくことにある。報告書は、08年7月秋葉原、7月八王子の無差別殺傷事件をクローズアップさせ、「繁華街における安全・安心について都民の信頼が大きく揺らいできている」という警察権力が描いた治安強化ストーリーに基づいて社会的監視・管理を担う民間機関を構築していくことを提言している。
さらに事業者に対して「防犯カメラの設置等により店舗等における防犯性を高め、来店者の安全確保に努める。 防犯に関する講話や教室への参加等」を述べ、「犯罪防止」活動への積極的動員を強調している。とくに、「外国人の不法就労防止に係わる啓発活動」への参加と協力を求めるとともに、外国人雇用の際の身分及び在留資格の確認の徹底化を強調した。つまり、不法就労の防止を前面に押し出しているが、外国人労働者を潜在的な犯罪者だとする差別・排外主義に満ちた内容だ。
入管体制を支える条例改悪
すでに現行入管法によって、1.日本に入国する十六歳以上の外国人に、電磁的方式によって個人識別情報を提供しなければならないとして、指紋採取や顔写真撮影を原則として義務づける 2.指紋情報・顔情報という生体情報をコンピュータに登録し犯罪捜査などに利用する 3.IC在留カードの取得及び携帯の義務化 4.勤務先・学校等の受入機関の報告義務 5.情報の総合管理機能の充実・強化 6.旅館業者による外国人宿泊客の本人確認の強化 7.関係省庁の協議により認定された「テロリスト」の上陸拒否・退去強制など徹底した監視・管理体制を構築している。条例の改悪は、この入管体制を支え、事業者をより積極的にその担い手として位置づけ、動員していくことをねらっているのである。報告書は、何回も外国人に対する警戒と監視徹底を繰り返しいるが、差別・排外主義を煽動する比重を強めた性格となっている。外国人に対する人権侵害を許してはならない。
繁華街来訪者には「繁華街の特性や実情を理解し、自らの安全確保に努める」と称して警察権力への協力を求めつつ、同時に「推進協議会が行う事業について理解」し、参加せよと押し付けるのだ。
さらに「街頭や歩行者天国において大衆に多大な迷惑となるパフォーマンス等、街の秩序を乱す行為を慎む」と抽象的に明記することによって、労働組合活動、市民運動の街頭でのビラ撒き、宣伝に対する弾圧へと広げることをねらっている。昨年十月、東京・渋谷で行われた「リアリティツアー2 62億円ってどんなだよ。麻生首相のお宅拝見」で三人の仲間が不当逮捕されたが、条例改悪を先取りした弾圧だった。警察権力の恣意的な判断によって、パフォーマンス=「街の秩序を乱す行為」として認定し、圧殺することをねらっていることは間違いない。
有事治安警察作りと条例
最後に報告書は、「1.安全・安心な繁華街を形成しながら、街の活性化を図っていくためには、行政は警察による安全・安心の確保を基本にしつつも、事業者、地域住民、ボランティアによる自主的、継続的な取り組みが重要であり、そのための推進体制を整備することが必要である 2.繁華街に訪れる者に対しても、安全・安心な繁華街の形成のために必要な協力を求めていくことが必要である 3.多様な関係者の力を結集しつつ効果的な取組を推進していくためには、その礎となる条例上の根拠が必要である」などとまとめているが、結局、警察権力の2009年治安情勢を射程にした手前勝手な治安強化戦略を土台にして忠実に具体化したにすぎない。
米国同時テロ(01年9月)後の米政権による「対テロ」グローバル戦争の発動後、警察権力は、治安弾圧を強化することによって社会的統合の危機に強権的に対処しようとしてきたが、その一つのポイントが警察庁の「緊急治安対策プログラム」(03年8月)、「テロ対策特別要綱」(04年8月)だった。元警察庁長官・山田英雄は、有
事治安警察構想まで主張していた。この治安弾圧強化政策の流れの中で石原都知事は、「治安の維持こそ最大の都民福祉」などと豪語し、その具体化として03年7月に制定したのである。さらに条例を梃子に竹花豊(元警察庁生活安全局長、治安対策担当副知事。現在・都教委)を責任者とする「東京都緊急治安対策本部」(03年8月)を立ち上げさせた。以降、入国管理体制を支え、町内会やボランティア団体を東京都安全・安心まちづくり協議会に組織し警察の手先として再編した。とくにプライバシーと肖像権の侵害の防犯カメラ設置運動を取り組み、警察官僚らの天下り先であるセキュリティー業界との癒着を深めていった。
さらに青少年育成総合対策推進本部を設置し、生徒・子どもたちを「犯罪者予備軍」として監視・事前摘発を警察主導で強行し、その手先として学校当局を再編成していったのである。この攻撃は、教育基本法改悪運動とセットでもあった。
「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」
今回の条例改悪の司令塔である東京都安全・安心まちづくり有識者会議は、座 長・小出 治(東京大学教授)、委 員 ・小田 啓二(日本ガーディアン・エンンジェルス理事長)、小宮 信夫 (立正大学教授)、前田 雅英 (首都大学東京教授)などで構成され、いずれも東京都治安対策専門家会議の委員だ。会議の審議は、08年9月からたったの四回しか行っていない。人権侵害・外国人差別に貫かれた内容であるにもかかわらず報道は、まともに取り上げようとせず、都も積極的に広報することもしない。実質的に都民の知らないまま反動条例を制定しようとしているのだ。
なお政府の犯罪対策閣僚会議は、1月に「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008~『世界一安全な国、日本』の復活を目指して~」を決め、
1.身近な犯罪に強い社会の構築
2.犯罪者を生まない社会の構築
3.国際化への対応
4.犯罪組織等反社会的勢力への対策
5.安全なサイバー空間の構築
6.テロの脅威等への対処
7.治安再生のための基盤整備
を柱に五年計画で推進していくのだという。行動計画の中においても「安全・安心」を繰り返しながら治安弾圧強化を強調している。
「安全・安心まちづくり条例」は、人権侵害、表現の自由の破壊、外国人差別に満ちた条例だ。さらなる改悪を許してはならない。条例を廃止せよ。(Y)