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最高検を先頭にした組織的隠蔽を許すな!

 でっち上げマシーンの大阪地検特捜部が自ら繰り返してきた権力犯罪の積み重ねによって崩壊局面に突入している。

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▲自らデッチあげた「厚労省事件」の法廷に臨む大阪地検

 最高検は、地検特捜部の脅迫とデタラメな取り調べによって作りだした厚労省局長の村木厚子えん罪事件(障害者割引郵便制度に絡む偽証明書発行事件・虚偽有印公文書作成・同行使容疑)の大阪地裁無罪判決の打撃の回避と検察機構の瓦解を食い止めるために、村木えん罪事件の関連証拠であるフロッピーディスクを改ざんするという証拠捏造を強行した主任検事の前田恒彦を証拠隠滅容疑で逮捕した(9月22日)。

 前田の証拠捏造犯罪をスクープした朝日新聞が報道したのは9月20日の朝刊だったが、なんと最高検の伊東鉄男次長検事は、21日にあわてて緊急会見し前田逮捕方針を公表し、22日に逮捕するというパニック状態を隠しもせず「電光石火」でやりきったのである。ところが最高検がどうみてもまともな前田の取り調べも含めた証拠調べを行った形跡が全くないのだ。メディアの報道合戦を恐れたために組織的隠蔽を早期に着手し、通常逮捕のプロセスを飛び越えて前田を拘束・隔離しなければならなかった。

 それだけではない。前田の証拠捏造犯罪がすでに同僚検事によって09年2月に前特捜部長の大坪弘道京都地検次席検事に報告されており、杜撰な証拠管理と捏造犯罪を大阪地検特捜部丸ごとで組織的に隠蔽してきたことも発覚してしまった。これは単に大阪地検特捜部だけの問題だけではなくなっている。検察による手前勝手なストーリーに基づいて強引な取り調べを行い、でっち上げ作文を創り上げ、起訴に追い込んでき
た手法――自白偏重主義、調書裁判そのものに重大な欠陥が存在していることがあらためて社会的に暴露されてしまったのである。

村木えん罪事件の真相

 大阪地裁(横田信之裁判長)は、9月10日、障害者割引郵便制度に絡む偽証明書発行事件の村木被告に対して虚偽有印公文書作成・同行使容疑証明書作成について「部下に指示した事実は認められず、共謀は認定できない」と述べ、無罪を言い渡した。


 さらに判決は、村木元局長の関与を認めた元部下らの供述調書が「検察官の誘導があった」と指摘し、検察が描いた事件の構図を全面否定した。村木被告は、検察の強引なでっち上げと取り調べをはねのけ、「虚偽の証明書作成を指示したことも、部下らと共謀したこともない」という主張を認めさせたのである。

 従来だったら裁判所は、国家権力を支える立場から検察との馴れ合いのうえで、たとえ公判で被告が供述調書を否定し覆しても検事調書の特信性を認め証拠採用してきた。しかし村木えん罪事件における特捜部のでっち上げ捜査は、この構造を「破壊」してしまうほどのインチキに貫かれていたのが実態だ。

 検察のでっち上げストーリーはこうだ。自称障害者団体「凛(りん)の会」元代表倉沢邦夫が民主党の石井一参院議員に厚労省への「口利き」を依頼(04年2月ごろ)し、村木元局長と同省元係長上村勉の共謀のうえ偽証明書を発行(2004年6月上旬)したというものだった。大阪地検特捜部は、東京地検特捜部との対抗意識丸出しで当時の自公政権を支え、民主党バッシングのためにこの「政界へとつながる事件」としてはりきって事案に飛びつき虚偽有印公文書作成容疑で村木逮捕を強行したのであった。

 ところが地裁裁判では、誘導に満ちた供述調書を翻す上村被告らの公判証言が次々と飛び出す事態が続いた。第8回公判では共犯に問われた上村証人が「自分で勝手に決めて、自分一人で実行した」と証言。さらに供述調書は「検察官の作文。でっち上げ」「単独でやったと言っても聞いてくれなかった。厚労省の組織犯罪としたかったようだ」と述べ、村木被告の指示を否定した。民主党石井議員の「口利き」を受けた「議員案件」との検察側主張も否定した。石井議員も第11回公判(3月4日)で行動メモが明記されている手帳を証拠にして「口利き」のでっち上げを否定した。

 検察ストーリーの崩壊だ。しかも検察の取り調べメモが証拠開示の対象になるにもかかわらず地裁に対して「すべて廃棄した」「メモは起訴の翌日にシュレッダーにかけた。取り調べの経過の参考になるものではない」などと居直るほどだった。あげくのはてに取り調べを担当した検察官6人が証人として出廷し、立証が失敗しているにもかかわらず被告三人が「自ら供述した」と反論する始末だった。

 こんないいかげんな検察に対して防衛しきれないと判断した横田信之裁判長は、地検が証拠として提出した43通の調書のうち、採用したのはたった9通だけだった。さらに3人の捜査段階の供述調書については、「取調官の誘導があったとみられ、特信性(高度な信用性)があると言えない」などと述べ、検察側の証拠請求を却下したほどであった。

前田検事の証拠ねつ造事件

 検察の敗北が濃厚になってしまった前田は、ついに証拠捏造犯罪に踏み切ってしまった。検察は、09年5月、上村被告が自称障害者団体「凛(りん)の会」に発行したとされる偽の証明書のデータが入っていたフロッピーディスク(FD)を上村の自宅から押収していた。弁護側が請求してFDを開示させたところ最終更新日時が「2004年6月1日午前1時20分06秒」だった。しかし、FDの記録を確認したところ、日時が「6月8日午後9時10分56秒」に書き換えられていたことが判明。公判で証拠採用された捜査報告書によると、データの最終更新日時は2004年6月1日だったが、返却されたFDに残された記録では同月8日となっていたのだ。

 つまり前田は、更新日時が1日だとつじつまが合わず、郵便事業会社側から凛の会に証明書提出要請があった8日を更新日時とすれば、 矛盾しない状況をデッチあげるために証拠改ざんを強行したのであった。しかも前田は、地検の内規に違 反して、職場に持ち込んだ私物パソコンに証拠品のデータを入れた上で、専用ソフトを使って証拠を捏造していた。検察庁のパソコンではセキュリティー上、インターネットに接続できず、ソフトをダウンロードできないからだ。

 なぜこんな稚拙な工作をやったのか。一発逆転を狙った前田は、捜査報告書がデータの最終更新日時が2004年6月1日だったことを知らないまま、改ざんしたFDを上村被告に返却し、検察ストーリー通りの「6月8日」を立証するために改ざんFDを証拠請求するつもりだったのだろう。この証拠ねつ造を「FDに時限爆弾を仕掛けた。プロパティ(最終更新日時)を変えた」と平然と同僚らに伝えるほどだった。このように完璧な確信犯として証拠捏造犯罪をやってのけたのである。

裁判員裁判の前提の崩壊だ

 村木えん罪事件と前田証拠捏造事件は、自動的に裁判員制度の欠陥へと直結していかざるをえない。つまり、裁判員裁判は被告を有罪にしていくために裁判員を動員し、検事調書、弁護側反論を材料にして判決を出させるのだが、肝心の検事調書がでっち上げられたものであったならば制度の前提から崩壊せざるをえなくなってしまうからだ。しかも裁判員裁判が「供述中心の捜査から客観証拠を重視する」などとコマーシャルしてきたが、その証拠が前田のように検察の捏造によって作られた証拠さえも可能であることをあらためて証明してしまった。

 今後の裁判員裁判は、死刑判決の判断が迫られる事件が次々と続いている。前田証拠捏造事件の真相隠蔽をしながら、検察証拠の信用性も担保されないまま裁判員を動員して死刑・厳罰判決を出させ、国家への忠誠を示させ統合を強化していこうとしているのだ。

 だから最高検は、前田証拠捏造事件が裁判員制度の防波堤を決壊させてしまう重大事件であると判断したからこそ、メディアに「トカゲの尻尾切り」などと揶揄されようが速攻で前田を逮捕し、大阪地検幹部らを最高検察に出頭させ、必死に落とし所を探る謀議を重ねているのが現在である。事態は、大林宏検事総長をトップに検察幹部の懲戒処分、辞職に追い込まれるのは必至だ。このように検察の権威失墜によって、これまでの国家権力の暴力装置機能の解体寸前に追い込まれているのだ。裁判員裁判の延命を許さず、廃止に追い込んでいこう。

 われわれは、でっち上げマシーンの検察特捜部の解体はもちろんのこと、最高検による検察機構防衛のための組織的隠蔽工作と裁判員制度防衛の策動を許さない。そもそも犯罪者集団が己の犯罪を摘発し、膿みを出し切ることができるはずがない。

 菅政権よ、なぜ第三者機関を組織して検察機構のすべての犯罪を摘発し、一掃しようとしないのだ。結局のところ取り調べの可視化に必死に抵抗してきた検察と法務省官僚た
ちとの共犯関係を維持し、検察機構防衛のために抵抗していくことの意志表示でしかない。これ以上の悪あがきを放置してはならない。さらに人権侵害、冤罪作りのための代用監獄制度の廃止、死刑制度廃止を実現していこう。権力犯罪を今後も厳しく監視し、一掃していくことを訴える。

(Y)

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