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2010年秋のAPEC〈アジア太平洋経済協力会議〉首脳会議が横浜で開催されると報じられた。

キ
▲2005年韓国プサンでの反APECアクション

APECは、アジアだけでなくアメリカも含む「環太平洋」の21カ国が参加している。だが、実質はアメリカにとって都合のいい「自由貿易」ルールを他国に押し付ける場にすぎなかったことから、これまでの開催地では、地元民衆の大規模な抗議にさらされてきた。オーストラリア・シドニーでのAPEC首脳会議〈2007年9月〉に際しては、イラク侵略のブッシュ米大統領訪問に反対するデモが高揚し、高校生数百人によるデモもあった。その後ブッシュの盟友ハワード首相が11月の総選挙で議員として落選してしまい、政権を転落したのは有名である。

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▲2007年オーストラリア・シドニーでの反APEC高校生アクション

 横浜市は今年「開港150年祭」を準備しているが、2002年ワールドカップサッカー・決勝戦開催以降、2008年には、G8の一環としてのアフリカ開発会議(TICAD)にいたるまで、一貫して国際イベントの招致・受け入れに熱心であった。ここで生じたことは、テロ警戒と称した野宿者排除、過剰警備、イベントへの小中学校生徒の動員、税金無駄づかいなどといった問題である。この問題は、同じ2010年に神奈川県西部でおこなわれる天皇植樹祭にも当てはまるし、APEC開催でも問われる課題だ。
 
 焦点を当てられるべきは、APEC招致を主導した中田宏・横浜市長の責任である。中田市長は小泉首相の在任時期と重なる2002年に就任し、もっとも新自由主義改革を推し進めた自治体首長として名をはせた。具体的には保育園の民営化に代表される福祉・医療分野の大幅なサービス切り下げ、日産に代表される大企業優遇措置実施などを率先して遂行してきたのである。  

確信犯としての新自由主義論者・中田市長は、2008年公然化した金融危機とそれに続く大「雇用破壊」の状況をなんと考えているのだろうか。おそらくは表明しようとしても、できないのが正直なところではないか。 2010年APECが、危機に瀕した資本主義を延命させるために、見せかけの改良と戦争推進をかかげるセレモニーとして成功をおさめるのか。それを許さない労働者大衆がAPECというまやかしを徹底的に追及するのか。

まずは地道に、APECとは何か、全世界の人にとってAPECではない経済発展があるのかという点をはっきりさせることから始めていこう。

(海)

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