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"インターナショナル・ビューポイント" IV Online magazine : IV429 - October 2010
仏年金スト――空前の運動は終わりはしない
http://www.internationalviewpoint.org/spip.php?article1938
サンドラ・デマルク
フランスではさる五月以降、年金法案反対の動員が情勢の際立った特徴になっている。大結集の日々が相次ぎ、年金改悪反対の運動は発展し、深く根づき続けている。それはこの傑出した運動が単に年金改悪のみならず、より広範に、反社会的で、レイシスト的で、権威主義的なサルコジの政策全体を大衆的に拒否していることの証である。それは、危機によって若者の間でも賃金取得者の間でも不正が浮き彫りとなり、蓄積されてきたためでもある。
▲トゥールーズ10月12日
デモが繰り返し行われているにもかかわらず、しぼんでしまうどころか、とりわけ三百五十万人が街頭に出た十月十二日と十九日の例に見られるように、記録を更新しているのはそのためである。結集はますます戦闘的でラディカルになっている。民間部門の動員は高レベルであり、今や青年(現段階では基本的に高校生)も動員の列に入ってきた。若者たちが、かれらの見つけられる職が短期的なものであり、この改悪によって健康なうちに手に入る年金全額所得が危ういものにされてしまうことを理解したためである。
状況は少しずつ変化してきた。多くの人びと、それもきわめて多くの人びとが、勝利は可能であり、サルコジを打倒できると考えている。動員の現段階ですでに政府は世論の闘いに敗北した。世論調査では七〇%がこの動員を支持し、年金改悪に反対している。現在、労働者、非正規雇用労働者、若者たちの多数が、年金問題とは政府が数カ月にわたって信じ込ませようとしてきたような人口統計上の問題ではなく、財政問題でもないことを知っている。
ストライキは少しずつ状況の一角に姿を現してきた。ストライキとデモのたびごとに、ためらいがちの日々の行動では政府を打ち負かすには不十分であるということが、きわめて多くのセクターの人びとにとってますます明白になっていった。実際、現在のストライキ行動は、長期ストへの賛成票が六一%に達するここ数週間に見られるように、すべての行動部門で十分に討議されてきたわけではなかった。
まさしく問題は労働組合連合の指導部にある。かれらは下部からの闘争継続の圧力を受けているが、ゼネストの呼びかけを回避することを確認している。この運動の開始以来、ストライキとデモの支えとなる労働組合の団結が勝ち取られてきたことは疑いない。しかし労働組合間の調整では、政府との大きな社会的対決は呼びかけられず、もはや法案の撤回は要求されていない。その代わりに新たな交渉と修正が提案されている。
しかし経済の中心部門は、長期ストの開始あるいは拡大を決定した。たとえば鉄道労働者、EDF(欧州開発基金)センター、精油所がそうである。精油所のストは一九六八年五月以来なかったことである。十月十四日以来、十三の精油所で現在のストライキ行動に入り、サービスステーションと貯蔵所への石油の配備、供給を完全に止めた。ストライキは大規模なものであり、実質上の全員一致を更新し続けている。
今回の運動はあらゆる所で動きだしており、毎日のように新たなイニシアティブ、封鎖行動(料金所、道路、空港、工業地帯など)や地域デモが、統一的かつ職業間の垣根を超えた形で行われている。動員に参加したさまざまな部門の大衆集会が毎日行われており、最初は小さなものであったが、今ではますます重要なものになっている。しかし、民間部門のように公共部門でもあちこちで多くのストライキが起こることになれば、現在の行動はなおあまりにも分散的で少数の現象であり、全国スト日のスト参加率は高いとはいえそれほど異例なものではない、ということにも留意すべきである。
ここ数日、とりわけ十月十九日のストとデモ以来。きわめて突出したダイナミックな部隊として若者たちが動員に全面的に参加し、多くの高校が封鎖されている。そこには以前の動員では見られなかった決意と政治化が存在している。かれらは操作されていると言われるたびごとに、またかれらのデモの権利に異議が唱えられるたびごとに。かれらの決意は広がっている。大学での動員は少しずつ始まっている。今後、高校の休暇を前にして、それは大きな課題となる。
▲シェルブール10月22日(NPA制作"carrefour des luttes"闘いの交差点)
こうした状況に直面した右派、経営者、政府そしてサルコジは、この不当な改悪を守る決意を依然として固めている。サルコジは力の試し合いをしようとしている。力の行使が特徴となっている。それは精油労働者のストや高校生への警察の介入、議会での強硬戦術、最も穏健な労組指導部とさえもあらゆる討論を拒否していることに示されている。かれらの決意は理解できる。この改悪はかれらにとっては、危機のツケをあくまでもそれに責任のない者に支払わせるというかれらの緊縮政策の核心だからである。この改悪に成功すれば、金融市場を活性化させることになるだろう。しかしそれだけではなく、フランスにおいて力関係を変革し、富の配分を金持ちに有利に変えることになる。それはまた、かつての闘争の遺産である「社会的・財政的」負担を取り除き、最も抵抗する部門を屈服させるチャンスでもある。
サルコジにとって中心的要素とは、大統領選挙に先立って自らの陣営を結集することでもある。しかし彼はなお勝利にはほど遠く、抵抗を打ち破ったり沈黙させたりしてはいない。
今回の動員の広がりは、政府を打倒する可能性を示すものである。それゆえ、この闘争における社会的・政治的左翼の全面的団結が緊急課題なのである。NPA(フランス反資本主義新党)がわが勢力の再結集、そしてとりわけコペルニクス協会とATTACが主導する全国コレクティフ(集団・グループ)を通じた再結集を可能にする、すべての統一的・政治的イニシアティブにコミットしている意味はここにある。
「六十歳年金と法案撤回」のスローガンによる統一は、とりわけ社会党との関係での基本ならびに行動戦略における一定の相違を隠すものではない。社会党は六十歳での年金支給を支持しているが、右派の議員とともに年金受給資格年数を41.5年に延長することに賛成した。それは事実上、六十歳年金受給の考え方を破壊するものだ。
また動員の拡大に直面する中で、われわれは2012年の大統領選挙を準備している。左翼の左派、とりわけジャンルク・メルションの左翼党との分岐が存在するのは、行動の戦略に関わっている。左翼党は当面の戦略として国民投票を主張している。それは社会的な力の試し合いがこれからだという時に、動員を街頭から制度的レベルに移行させるものである!
NPAは動員の開始以来、闘争を組織し、政治的目的と要求――それは法案の撤回、そして現在では疑いなく法案の廃棄と、社会的危機の責任者すなわちサルコジとウェルスの辞任――を軸にした統一を追求する党として登場した。われわれはまた、危機を撃つ緊急の社会的・政治的プランを通じた反資本主義的展望を発展させている。
今後が決定的である。法案は通るだろうが、それは動員を沈黙させたり、止めさせたりはしない。なぜなら今日街頭に出たりストライキをしている人びとにとって、この政府には正統性がないからである。われわれはこの国で施行された法が撤廃できることも知っている。それはすでに2006年の初期雇用契約(CPE)で起きたことなのである。
(「インターナショナルビューポイント」10年10月号)