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人権侵害の金メダルオンパレードの北京オリンピックが始まった。

中国政府は、北京市内に集会やデモのできる三箇所の場所を指定し、警察の許可を受けたデモを行うことができるとしている。

中国政府系の日本語ニュースウェブサイト、「人民ネット」によると、北京オリンピック組織委員会安保部部長、劉紹武が7月23日に記者会見で発表した。

オリンピック開幕直前に北京に掲げられた"Free TIBET" (BBC)
 

 

◎五輪中デモは事前に申請を 3カ所の公園を指定(人民ネット日本語版)
http://j.peopledaily.com.cn/2008/07/24/jp20080724_91688.html

劉部長によると「五輪期間中、合法的なデモは法律の保護を受けるが、事前に申請し、指定した場所で行うことが前提」であり、公安部門に申請を出し許可を受けていることがその前提となるという。

そして「許可を受けたデモであれば、中国の警察当局は法に基づき、集会やデモを行う人の合法的な権利を保護する」と「法治国家」ぶりをアピールした。

だがそんなメッキはすぐに剥がれ落ちた。

8月3日に、四川省成都市の公安局にデモ申請をした陳雲飛は、デモ申請が受け付けられなかった顛末をウェブサイトに掲載している。


「8月3日、北京オリンピック組織委員会の条件にしたがって、五日前にデモ申請をした。そして今日、成都市新都区公安局からの返答は、まるで冷水を浴びせかけられたかのようなものだった。(陳の)戸籍が温江区にあることから、かれらおよび他の各地のデモ示威法および条例の管轄下にないことから、受理しない。」

公安局は以下を不受理の根拠とした。

1989年10月31日に楊尚昆が署名した中華人民共和国デモ示威法第二章、第十五条で、公民はその居住地域以外の都市で、その俊の住民の集会、デモ、示威を発動、組織、参加できない。

1992年5月12日に国務院が批准し、1992年6月16日に公安部令第8号として公布されたデモ示威条例第2章第12条は、「中華人民共和国デモ示威法第2章、第15条」に依拠し、その居住地とは、公民が生活し戸籍をおいている所在地あるいは暫定居住地の戸籍登記機関で暫定居住登記を行い半年以上居住している地域を指す。

これでは地元住民しかデモ申請どころかデモ参加もできない。また公安が不受理の根拠としたデモ示威法は1989年10月に楊尚昆によって署名されている。同年6月4日は民主化を求める多数の学生や労働者が弾圧された「天安門事件」が起こった日である。このデモ示威法は、天安門事件以降の恐怖政治の一環としてデモを規制するために作られたものである。そして楊尚昆は天安門事件当時は軍に絶大な影響力を持つ指導者の1人であり、国家主席でもあった。

陳雲飛はさらにこう訴える。「あす聖火が成都にやってくるが、派出所に8時に出頭するようにという通知が政府からあった」。聖火が通過するまで派出所からは一歩も出られないだろう、という。

このような予防拘禁は、北京をはじめ全国各地で行われている。多くの人権活動家や市民運動の活動家が、外出できなかったり、派出所へ軟禁状態になった。江蘇省無錫市の市民活動家、袁錫さんは、2008年7月24日に自宅で拘束され、無錫南京軍区空軍第四招待所に監禁されたという情報がインターネットで流されている。同宿泊所は地下室があり、8人がそこで不当に拘束されているという。住居の強制取り壊しの不当性を訴えて北京へ陳情へ行こうとしていた薛徳興さんは、7月24日に拘束され、おなじく空軍第四招待所に監禁されたという。

予防拘禁だけではない。北京の公安局にデモ申請をした湖南省の唐学成さんは、デモ申請の直後に湖南省に強制的に連行された。

唐さんは、前述の北京オリンピック組織委員会安保部部長、劉紹武のデモ申請を受け付けるという記者会見を見て、8月5日、北京市公安局治安総部にデモ申請をした。ところが、その場で身柄を拘束され、治安総隊から連絡を受けた湖南省北京事務所の駐在員が唐さんをつれさった。

唐さんはデモ申請書の中で次のように計画を述べていた。「申請人は長年、訴訟や陳情を行い、中国政治の不正行為を身にしみて実感してきました。現在の官僚の腐敗現象、とりわけ良民を迫害する手法を身をもって体験してきました。オリンピックを機会に、中国共産党、中国政府がこの問題を重視し、正しくそして効果的な措置をとることを期待しています。」

そして唐さんは弾圧された。中国共産党、中国政府は「正しくそして効果的な措置」をとった。

「集会やデモを行う人の合法的な権利を保護する」? まさにデタラメもデタラメである。北京での、いや全国各地でのわずかの抗議行動も許さない、という中国政府の傲慢かつ反人権的な姿勢のあらわれである。国家主義の祭典であるオリンピックにふさわしい金メダリストの面目躍如である。人権弾圧は全国で行われている。チベット、ウィグル、内蒙古などの民族活動家に対しても厳しい監視と弾圧が行われている。

中国人権ディフェンダーが8月1日に発表した「オリンピック直前における中国の人権状況の悪化に関する声明」では、オリンピックにむけて中国政府の人権状況がどんどん悪化していくさまを厳しく批判している。

「北京オリンピックの準備期間そして開催直前において、中国政府は人権を尊重し改善する誠実さを見せないだけでなく、メディア封鎖、インターネット監視、人権活動家、異論派、自立的学者、陳情者、宗教者を弾圧し、それによって中国の人権状況はさらに悪化した。」

一部を紹介する。

・7月19日、上海市公安局はウェブサイト「中国民衆の声」を閉鎖した
・掲示板「天益コミュニティ」の一般閲覧を禁止し、登録制とした
・6月10日に四川省政府は「六四天網」の活動家、黄[王奇]を逮捕した
・6月27日、南京地裁はウェブ新聞「博訊」の記者、孫林に懲役4年の判決を下した
・7月25日、北京国家保安大隊は「中国経済時報」の元記者を連行した

◎オリンピック直前における中国の人権状況の悪化に関する
Chinese Human Rights Defenders, CHRDの声明
http://crd-net.org/Article/Class4/200807/20080731101454_9741.html

またこの一年、「オリンピックではなく人権を!」と訴えた楊春林に五年の懲役をはじめ「国家政権扇動転覆罪」で捕まっている異論派に対する実刑判決が相次いだと指摘している。5月の四川大地震の被災地に入り、行政や政治の腐敗を暴き、被災者の救援を続けていた活動家もおなじく「国家政権扇動転覆罪」の容疑で逮捕されている。出稼ぎ労働者やリストラされた国有企業の労働者の権利のために活動している人々への監視や弾圧も強まっている。

北京オリンピックのスローガンは「同一個世界、同一個夢想」(おなじ世界、おなじ夢)である。しかし中国人、チベット人、ウィグル人をはじめ、人権と公正をもとめる人びとにとって、官僚と資本の独裁者たちが跋扈する「世界」や「夢」はまっぴらである。

独裁も搾取もないもうひとつの世界を夢見てアジアの人びと連帯しよう!

(H)
 

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