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4月29日、中国チベット自治区のラサ地裁で、3月14日にラサで発生した焼き討ち事件などの容疑者、計30人に対する判決が言い渡された。この日は一連のチベット騒乱事件において初めて判決が下された日であり、内外の注目を集めた。

  中国のニュース映像(CCTV)


容疑は、放火、強盗、国家機関に対する集団騒擾、公務執行妨害などで、事件を先導したとされるラマ僧一人に下された無期懲役を筆頭に、20年から3年の懲役刑が言い渡された。


法廷の様子は、中央放送で朝9時30分から全国に放映された。政府系の新華社は、この公判の過程が「中華人民共和国刑法」および「中華人民共和国刑事訴訟法」にのっとって行われ、法的尊厳と被告の人権に配慮したものであったと報道している。報道では、「30人の被告に31人の弁護士」、「14回の公判のうち9回はすべてチベット語でおこなわれ、その他の5回もチベット語の通訳がつけられた」などと紹介され、極めて人権に配慮した公判を重ねてきたことが強調されている。これは一連の強権的な弾圧に対する世界的非難に対して、「公明正大な裁判が行われている」とする中国政府の回答と見ることができる。

だが、騙されるな! それは世界各地で抗議の声にさらされてきた聖火がまさに、最初の国内経由地である香港に入らんとしていた直前の判決であり、「中国国内では一切の批判を認めない」とでも言わんばかりの政治的デモンストレーションである。

おなじ新華社の報道では、国家機関に対する集団騒擾罪などの罪で懲役12年、政治権剥奪1年の実刑を受けた被告の弁護人(国選)のコメントを紹介している。

「放火はしていない、という被告の訴えを聞いて、起訴状を確認したところ放火容疑は記載されていなかった。被告は喜んだ」、「被告は、自白を強要されていない、収監施設の食事はおいしいなどと語った」。

この弁護士は、自首した経過を訴え情状酌量を求めた結果、「15年の実刑を覚悟していたが、わたしの弁護意見を取り入れた判決となった」「弁護は成功したといえる。弁護人としてはこれほど嬉しいことはない」とも語っている。

別な容疑者の弁護を担当したチベット人弁護士のコメントも掲載されている。

「起訴状には、被告の態度が協力的であり、捜査協力に功績があったと書かれていたので、この線で押すことにしました」。そして判決文はこう述べていた。

「被告およびその弁護人は、逮捕された後、他の容疑者の犯罪行為の摘発に功績があったことから、判決ではこれを考慮した」

そして最後に、副判事のコメントを紹介している。「犯罪を罰し、人びとに警告を発すると同時に、われわれ判事は公判においては感情に左右されてはならず、公平性を保ち、人ではなく罪を罰することを実現しなければならない」。

想像していたよりも軽い判決! 仲間を裏切り捜査に協力すれば情状酌量の余地がある! そして公明正大な裁判官!

これほど露骨な政治的プロパガンダと恫喝があるだろうか。罪を認め、捜査に協力的な被告のみをクローズアップし、自白や裏切りを促す。

非協力的な被告による起訴状への反論や、チベット独立それ自体の主張の是非については一切報道されない。

3月29日には、チベット自治区の民族宗教事務委員会のトップや高等裁判所の副判事、司法関係者6名、検察幹部1名が解任されている。チベット自治区の司法関係者に対して縛りがかけられていることの証明である。国際的な関心が薄れる可能性のある今後はさらに厳しい判決が予想される。

中国当局によると、3月14日の事件で、18人の市民と1人の警官が死亡、382人の市民と241人の警官が負傷した。一連の事件全体で拘束した容疑者は953名、うち328人はすでに釈放したという。4月29日のチベット亡命政府の発表によると拘束者は5717人にのぼる。チベット民衆が被った、そして今現在も拡大している被害状況や弾圧状況はさらに深刻だろう。

中国政府はチベット民衆への民族的抑圧を停止せよ
中国政府はチベット民衆の自治を保障せよ
中国共産党はチベット民衆の民族自決権を承認せよ 

(H)

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