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インターナショナル・ビューポイント-IV Online magazine : IV432 - January 2011

チュニジア――革命は進行している
 http://www.internationalviewpoint.org/spip.php?article1978
 

アトールフォ・リエラ

 
 ベンアリ政権の崩壊に続く一週間を通じて、彼の党であるRCD(立憲民主党)の解散を求めるデモがますます頻繁に繰り広げられ、チュニジアのすべての都市で党事務所への侵入・徹底捜索がなされるまでに至っている。大衆の圧力の下で、同党は事実上自ら解散したが、その主要なカードルたちは依然として行政、生産、警察、そしてもちろんのこと政府のレベルで国家機構の中心的位置を保持したままである。
 
 

弱体化した暫定政権
 
 

 チュニスでのデモには、昨年一二月に反乱が始まったシジブジドを含む国内の中部から、暫定政権打倒を求めてキャラバンを組んでやってきた幾千人もの失業青年たちが加わった。

幾千人ものデモ参加者たちは夜間外出禁止令をはねのけ、恒常的に街頭を占拠している。ここにはまがうことなき時代のしるしが存在する。軍や警察の指揮官はかれらに丁重に解散を求めているが、それはムダなことである。

 一月二一日の金曜日、ムハンマド・ガヌーシ首相はこうした圧力によってますます困難に陥り、選挙の後に政治の場から退くと約束したが、それはベンアリが倒される直前に行ったことと同じだった! また彼は、反テロ法や報道基準などすべての反民主主義的法律を法令集から除去すると声明した。野党は合法化された。また刑務所内での反乱に直面して幾千人もの囚人が特赦となった。しかしこれでは不十分だ。街頭の大衆は、根本的かつ即時の変革を求めている。そしてファティ・チャムキ同志が強調しているように(本紙一月二四日号掲載記事参照)、今日、正統性は街頭にあるのであって制度の中に存在しているのではない。

 こうした中で暫定政権は、学校と大学の再開を一月二四日の月曜日に決定したが、小学校教員組合総連合はただちに「政府打倒」までゼネストを行う呼びかけを発した。同労組は「われわれ民衆の要求への責任の完全な履行とは、現在の政権をベンアリ体制の継続であると見なして打倒することを意味する」と再確認し、「われわれ民衆の敵を排除した暫定政権の形成」を求めている。

 実際、チュニジア民衆の多数――かれらはユーモアを持って「われわれはアリババを追放したが四〇人の盗賊はまだ残っている」と昔話を思い起こしている――にとって、一つのことが明らかである。依然として要職にあるベンアリ体制の政治家を「国民統一政権」だけからではなく、完全に追放しなければならない。かれらはこの場から消え失せなければならないし、かれらの中の最も罪深い連中の犯罪を裁き、有罪判決を言い渡さなければならない。さらに事態がそこにとどまらないことは言うまでもない。大衆は深部からの変革、すなわち民主主義的変革のみならず、経済政策、国の富への統制と分配における社会的変革を求めているのだからである。

 ブルジョアジーは、帝国主義、とりわけフランスとアメリカの支援を受けて模様替え作戦を絶望的に試みている。現在、西側諸国では、資本主義メディアは、みずから長きにわたってその犯罪を隠ぺいしてきた専制支配者を嘲笑している。ベンアリと彼の妻は、今や独裁体制が実業から受けてきた支援から目をそらせるためのスケープゴートとして使われている。そしてチュニジア民衆から勝利の果実をだまし取るために、後ろ暗い策謀を弄している。こうしたやり方で、とりわけ「市場」がダンスを始めたのである。一人の独裁者に対しでだけではなく彼の新自由主義政策に対して反乱するという、耐えがたいまでの大胆不敵さを持つ大衆に対して、チュニジアへの神聖不可侵の「格付け」に下方修正を施し、罰を加えようとしている。大衆の動員が続く限りこうした企ての危険性は残りつづけるし、情勢はきわめて不安定でありつづけるだろう。

 
労働者管理
 

 一月二二日、二三日のデモの中で、聞いたこともないことが起こった。二〇〇〇人の警察官――その一部は赤い腕章をつけていた――がデモ参加者と一緒に歩き、デモに加わったのである。しかし、ここ数週間にわたる恐るべき弾圧の後では、民衆にとってそれが自己弁明と名誉回復の目論見に見えたことは明らかだった。それは政治意識の発展の真のプロセスが進んでいるようにも見える。こうした警察官たちは労働組合の創設を求めており、そのうちの一人はちょっとの間ではあったが、「われわれも労働者だ。すべての人びとのための革命を。われわれも権利を求める。とりわけ賃上げだ」と語った。

 それほど「目立つ」わけではないが、疑いなくもっと根本的なことがある。国営企業と省庁、中央行政機関の従業員や公務員が彼らの職場を占拠し、指導的立場にいた連中――そのほとんどが悪名高いRCD(立憲民主連合、ベンアリ与党の党員)――の、追放・解雇を要求している。幾つかの場合、この要求は全国社会保障庁、スター保険会社、BNA銀行などで成功裏に実行され、これらの事業体・企業の経営者は労働者のヤジを浴びて追放された。

 労働者管理の形態も発展している。とりわけ企業の帳簿に関してであり、それはベンアリ体制と結びついていた多くの経営者の腐敗を暴露するためである。中央国税庁の従業員は管理責任者の辞職を要求し、エリートたちの脱税を調査するために帳簿を管理下に置いている。

 人口の約七〇%が都市住民である国において五〇万人の組合員を擁し、デモにも多くの活動家が参加しているチュニジア労働総連合(UGTT)の役割は、一般組合員、そして左派によって掌握されているおかげで、このプロセスにおいてますます中心的要素として現れている。旧体制と結びついていた官僚指導部は脇に追いやられ、暫定政権からUGTTの閣僚が辞任させられた後、労働組合の一般活動家は、公式に暫定政権の辞任を支持する立場を取り、この要求を支持して反対派政治勢力による「革命政権」のための連続ストを呼びかけるよう指導部に圧力をかけた。
 

すべての権力を革命的民衆に 労働者政府のために
 

 職場における自主防衛、供給、労働者管理の委員会を通じて、二重権力の現象が現れており、他方、国家機構の弾圧部隊は民衆の側にいる部分を分裂させる活動を開始した。民衆委員会と密接に結びついた兵士・警察官委員会が姿を現わせば、こうした勢力を分解させることは可能である。

 チュニジア情勢はレーニンが革命情勢に与えた伝統的規定に完全に一致している。上層は以前のように統治することがもはやできず、下層はもはや以前のように統治されることを望んでいない。この民衆的プロセスは、あらゆる本物の革命情勢に特有なその力学によって、公然と権力の問題を提起しており、社会主義革命へと向かう永続的発展の展望をたどっている。こうした結果はあらかじめ保障されているわけではない。しかしそれは可能なのだ。

 基礎的な民主主義の要求――国家機構の一新、憲法制定議会の招集、真に民主主義的な選挙の組織化――以外にも、チュニジアの労働者が勝ち取った地位の維持、拡張、集権化/明確化が、来るべき数週間の中心的問題になるだろう。支配階級は、全力をつくして取り戻しを図るだろう。

 当面――しかしほんの当面――のところ、独裁の主要な支柱だったチュニジアのブルジョアジーは信用を失っており、帝国主義が民衆的決起の広がりと深さによってバランスを失った状況の中で、不安定な状況にある。穏健派野党はきわめて弱体であり、イスラム主義者については、大衆がかれらを民主主義的プロセスに正統に組み入れられるべき政治潮流だと認めているにも関わらず。かれらイスラム主義者は真の大衆的影響力を持ってはいない。

 こうした情勢の中で、現在UGTTは民衆の信頼を得ている唯一の大衆的労働者組織である。UGTTは、体制の共犯者あるいは体制に従順な存在だった官僚層を完全に排除することができれば、革命的活動家、チュニジアのラディカル左派の積極的支援を受けて、そして国際的連帯の支援を得て、決定的な役割を果たすことができるだろう。民衆委員会に基礎を置くUGTTの労働者政府という要求を提出することは、すみやかに完全な重要性を得ることになる。まさに出発したばかりのUGTT指導部を「革命政権」を構成するために引き入れることは、この方向に進むものだが、その呼びかけはブルジョア的翼をふくむすべての野党政治勢力に向けられている。したがって新たな明確化が必要なのである。

 最後にフランスの反資本主義政党(NPA)マグレブ委員会の同志たちは次のように強調している。

 「資本主義の世界的危機に直面したチュニジアの労働者・民衆は、われわれに唯一可能な出口、最も決然たる闘争の道を示している。この場で資本主義世界秩序ならびにその核心である帝国主義に対するオルタナティブをめざして組織し、闘うことは、かれらの闘いがわれわれへの真の励ましであるのと同様に、すべての被抑圧民衆への支援でもある」。



▼アトールフォ・リエラはベルギーのLCR―SAP(革命的共産主義者同盟―社会主義労働者党、第四インターナショナル・ベルギー支部の指導部メンバー)

(「インターナショナルビューポイント」2011年1月号)
 

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