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6月10日に第一回投票、17日に第二回投票が行われたフランスの下院選挙は、「サル
コジ与党(UMP)が400議席以上獲得する圧勝へ」という選挙前の大方の予想を裏切っ
て、定数577議席中UMPが40議席以上減らす314議席にとどまるという結果となった。
一方でフランス社会党は、30議席以上伸ばす185議席を獲得した。


この結果は、サルコジとUMPが過半数を獲得し大統領選に続いて「連勝」したとはいえ、
サルコジが大統領選で掲げた「雇用制度改革」や「公共サービスのスト抑制策」などの
新自由主義的改革とVAT-付加価値税(消費税)引き揚げなどの生活破壊攻撃に対する
根強い警戒心の表れであり、「サルコジ改革」の前途が容易ならざることが示されている。
それは、90年代の首相時代に「新自由主義改革」の旗手として振舞った現役
の環境大臣・ジュッペの落選にも示されているだろう(95年には年金・福祉制度を破
壊する<「ジュッペ・プラン」に対して公共部門を中心とした数波に渡る大規模ストが
闘われた)。

しかし、有権者の「バランス感覚」によって議席を伸ばした社会党が、全体としてサ
ルコジ改革の「抵抗勢力」となることはありえない。90年代後半に社会党を凋落さ
せ、この四月にサルコジを勝利させた最大の要因は、90年代の「コアビタシオン」
(保革共存政権)のジョスバン内閣時代の新自由主義的改革路線であり、その政策に
よって左派の支持層を離反させ、2002年の大統領選では極右・国民戦線のルペンが
ジョスバンを抜いて大統領選の決選投票に残るという結果をもたらすことになった。
また、先日の大統領選においても、党内最右派のロワイヤルを選出して選挙戦の当初
は「祖国愛・家族愛」「治安強化」を掲げて、右派支持層を取り込もうとする「ブレ
ア労働党化」路線によってサルコジと競っていたのである(選挙戦終盤は「福祉政策
の維持」を強調して従来からの支持層を取り込もうとしたが、ブレているという印象
を与えただけだった)。大統領選後には、サルコジ政権に入閣した社会党議員すら生
み出している。

90年代の新自由主義に親和的な社会党・共産党の路線が右派支持層を強化してきたな
かで、「ラディカルな新自由主義的改革」と「移民はクズ」発言にみられるような
「断固とした治安強化」を掲げるサルコジが勝利するのは必然だった。また、革命的
共産主義者同盟(LCR-第四インターナショナル・フランス支部)が提唱した「反新自
由主義左派統一候補」の模索も、各左派政党がおなじテーブルにつくには至ったが、
独自候補の擁立にこだわった共産党や労働者の闘争(LO)のセクト主義に加えて、共
同候補の政策(新自由主義への態度)をあいまいにしたままに「とにかくサルコジを
落とす」という傾向によって頓挫したことで「左(社会党)の左」勢力の支持を全体
として低下させたことも否めない。

先日の大統領選挙では、共産党のビュフェ、労働者の闘争のラギエ、農民運動家の
ジョゼ・ボヴェなどの各候補らが1%台の得票に低迷した中で、一貫して「反新自由
主義の統一戦線」を訴えてきたLCRのブザンスノー候補が4%以上の得票率で前回より
30万票を上乗せしたしたことは、民衆が左派に何を望んでいるのかを示している。明
日にでも始まろうとしているサルコジの「改革」という名の雇用破壊・労働運動破壊
・生活破壊の攻撃に、2006年の反CPE(初期雇用制度)闘争を上回る嵐のような大衆
行動が準備されなければならない。LCRは、その「次の統一戦線」の必要なイニシア
チヴをとることを大統領選直後の声明で宣言している。

「新自由主義というラディカルな改革」を掲げる右派・保守に、「現状維持の左派」
では対抗し得ないことは、日本を含む世界のすう勢といえる。私たちもまた「左のラ
ディカルな改革」をどのように打ち立てて、新自由主義に対抗していくのかが問われ
ている。そして新自由主義に対抗する「世界戦線」の仲間として、フランスの労働者
・農民・青年の闘いに、日本での新自由主義に反対する運動のさらなる構築と国際的
な連帯によって意識的につながっていこう!(F)

追記
LCRは、下院選挙に500人の立候補者を擁立したが、小選挙区制という非民主的な選挙
制度に阻まれて、議席獲得には至らなかった。この小選挙区制は、フランスの世論で
も厳しい批判の的であり、サルコジですら制度の見直しの検討を約束しているほどで
ある。

LCR下院選挙戦総括(『かけはし』2007年7月9日-第1984号)

LCR500人の候補者たち(選挙区をクリックすると候補者の写真・経歴・得票率が表示
される)


LCRの下院選挙キャンペーン・ビデオ






2007年メーデーで「サルコジ打倒」を掲げて登場したLCRの大隊列


『Nos vies valent plus que leurs profits!-
私たちの人生は彼らの収益よりも価値がある!』

(LCRの大統領選・下院選挙でのキャッチコピー)

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