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検察庁、警察庁、公安政治警察に痛打

 東京高裁(中山隆夫裁判長)は、3月29日、堀越明男さん(元社会保険庁職員)が自宅近くで「しんぶん赤旗」号外などのビラを配っていたことを警視庁公安部が国家公務員法違反(政治的行為の制限)だとでっち上げ不当逮捕を強行した事件(2004年3月3日)について、一審の東京地裁の罰金十万円、執行猶予二年という不当判決(06年6月29日)を破棄し逆転無罪を言い渡した。


▲堀越明男さん

 判決は、国家公務員法第102条の政治的行為禁止規定を「合憲」だと判断し、司法権力としてバランスをとりつつ、「国民の意識は変化し、表現の自由が特に重要だという認識が深まっている」「勤務時間外まで全面的に政治活動を禁止するのは、規制が不必要に広すぎる」という矛盾した主張を押し出しながら、堀越さんが行った行為を処罰することは「国家公務員の政治活動の自由にやむを得ない限度を超えた制約を加えたもので、憲法21条などに違反する」と断定したのである。憲法21条(言論・表現の自由)の観点から堀越さんの宣伝活動を合憲であると認めた。

 中山裁判長は、このような苦しい論理構成であることが明白であったため「国家公務員への政治的行為の禁止は、諸外国と比べて広範なもの。世界標準という視点からも、刑事罰の対象とすることの当否、その範囲を含めて再検討されるべき時代が到来している」と「付言」し、違憲に満ちた国公法を批判せざるをえない方向に舵を切ったのであった。

猿払事件最高裁判決の違憲性

 堀越無罪判決は、警察庁、公安政治警察にとっては、現在、横浜APECにおいて反グローバリズム運動が暴動を準備しているなどというデマキャンペーンと人権侵害を繰り返しながら、治安弾圧体制強化を狙っていることにとって大きな打撃を与えたことは確実だ。われわれは、堀越無罪判決を歓迎するとともに、公安警察の人権侵害のやりたい放題を許さず、解体するまで断固として闘いぬいていくことを決意する。

 一審では、国家公務員法による公務員の政治的活動の禁止を合憲とした1974年の猿払(さるふつ)事件の最高裁判例を踏襲して「指導的判決として今も機能している」などと手前勝手な解釈を行い、「公務員の表現の自由を制約することにはなるが、合理的でやむを得ない範囲にとどまる」などと違憲性を真っ向から否定した。この猿払事件(1967年)とは、北海道猿払村の郵便局員が選挙ポスターを掲示板に掲示したり、配布したことを国公法違反として起訴し、一審と二審は無罪だったが、「治安維持」を優先した最高裁が有罪判決を出したというものである(1974年11月)。

 しかし、猿払判決に対して法学界では明らかに憲法第21条違反であるという評価が定着しており、現実的には国公法の「政治活動の制限」条項弾圧は、37年間、堀越弾圧まで発動できなかったのである。ところが日本のイラク参戦と連動した戦時治安弾圧体制の構築にとって、公務員の政治規制は至上命題であったため、そのためのターゲットとして堀越さんを設定し、公務員弾圧を強めていくバネとしたのであった。

 二審では堀越さんと弁護団は、国公法弾圧の違憲性を全面的に争うとともに、国際自由権規約19条(表現の自由)、ILO〈国際労働機関〉151号(公務員は他の労働者と同様に、結社の自由の正常な行使に不可欠な市民的及び政治的権利を有する)、アメリカが公務員の政治活動を禁止していたハッチ法を改正し、原則自由とした流れに逆行することを立証していった。

 だから中山裁判長は、猿払事件の最高裁判決に踏み込み、当時は「冷戦中で不安定な社会情勢にあり、公務員の影響力を強く考える傾向にあった」と指摘し、「民主主義や情報社会が進んだ現在は国民の意識も大きく変わった」として、一般公務員の刑事処罰には「より慎重な検討が必要」であること押し出したのである。さらにだめ押し的に「付言」では「さまざまな分野でグローバル化が進む中で、世界標準という視点からもあらためてこの問題は考えられるべきだろう。

 公務員制度の改革が論議され、他方、公務員に対する争議権付与の問題についても政治上の課題とされている中、公務員の政治的行為も、さまざまな視点から刑事罰の対象とすることの当否、範囲などを含め、再検討され、整理されるべき時代が到来しているように思われる」というきわめて「通常感覚」の判断を提起したのである。この判断は、画期的であり今後の民衆運動の発展のためにさらなる定着化と反撃の道具として共有していこうではないか。

公安警察の人権侵害・違法捜査について黙認

 しかし判決は、このような大きな踏み込みをしているにもかかわらず、公安政治警察による日本共産党弾圧のための堀越さんの不当逮捕とともに、共産党千代田地区委員会など6カ所の家宅捜索を強行したこと、また公安警察をのべ171人も動員し、複数台の車両を使って29日間にわたる長期尾行、ビデオ撮影などの人権侵害、違法捜査を繰り返したことについて無視してしまった問題があることを厳しく批判しておかなければならない。例えば、一審判決ではビデオ盗撮について「公道など行動が人目にさらされる場所にとどめられている」、「公道での撮影はプライバシー権がある程度放棄されている」などと不当解釈をでっち上げ「そのほかはすべて適法」だとして公安警察の違法捜査を防衛しぬく立場を追認したのである。

 公安政治警察は、04年~05年にかけて戦争ができる国家作りの一環である治安弾圧体制の強化のために市民運動から共産党までも対象にした弾圧シフトを敷いた。同時に司法権力は、立川反戦ビラ入れ事件、葛飾ビラ弾圧事件に対して最高裁不当判決をはじめ、立て続けに反動判決を出し、その定着化をねらってきた。いずれも公安検察、公安警察による人権侵害・違法捜査を免罪する内容になっている。

 堀越判決においても同様の姿勢を示したことは司法権力として公安警察については違法適用しないと意志一致をしていると判断せざるをえない。司法権力は、国家権力防衛という階級的任務から、その先兵である公安警察を防衛しぬくということなのだ。これでは中山「付言」ととんでもなく対立してしまうではないか。世界の流れは、グローバル・ジャス
ティスを求めている。

APEC反対運動に対する弾圧を許すな!公安政治警察の解体を!

 司法権力による公安警察防衛によって、公安の腐敗・堕落・反動化体質は温存され続けている。しかしこの間の国松孝次警察庁長官銃撃事件時効という事態によって、捜査を主導した公安警察への社会的批判が巻き起こり、この事件をきっかけに公安政治警察のデタラメさが次々と明らかにされることになった。

 報道番組などでは、公安警察の「捜査」というものがいかにいい加減なものだったかを暴露した。現場周辺の聞き込み取材をしたジャーナリストは、事件直後、または数日経っても警察による現場周辺の目撃情報の聞き込みがほとんどされていないことを明らかにした。(3月29日、NHK、クローズアップ現代)。朝日新聞では「長官銃撃時効 なぜ捜査は失敗したか」という社説(3・30)で「警視庁の捜査本部を主導したのは公安部だった。証拠の積み重ねよりも、見立てに基づいて『情報』から絞る捜査手法。かたくなな秘密主義。刑事部との連携のまずさ。公安警察のそうした体質が、すべて裏目に出た」と批判された。

 公安警察が事件をでっち上げ、人権侵害を強行し、居直り続けていることを指摘しないところが不十分ではあるが、いずれにしてもこのような社会的批判にあわてた警察庁・検察庁・公安警察は、今度は「警察庁長官狙撃事件 捜査結果概要」というオウムの組織的犯行だと決めつける公安部長の異例の会見を行い、またしても各メディアから「法治国家のルールを大きく逸脱した行為」「名誉毀損ではないか」、「宗教弾圧だ」「自分たちに都合のいい情報だけをホームページで公表することは、無神経で暴挙」「捜査正当化、恥の上塗り」などと批判されてしまった。

 また、朝日新聞からは、「自分たちの都合のよいピースだけパズルにはめ込み、最後にオウムの組織テロと断定する。この『概要』そのものが、説得力を著しく欠く。起訴に至らなかったのも当然だ」(3月31日朝日新聞)と言われる始末である。都合のよいピースだけパズルにはめ込む手法は「左翼」「市民運動」への弾圧にも最大限利用されてきた。この国の治安を守るとして、あらゆる違法捜査を正当化してきた公安警察が、実はこのような「捜査機関」でしかなかったことを自ら暴露した。坂本弁護士一家殺害事件の捜査も公安警察が主導した。

 公安部長の「恥の上塗り」会見は、公安政治警察の最後のあがきである。鳩山政権は税金の無駄遣いを摘発すると称する「事業仕分け」を行ってきたが、警察権力の財政、裏金作り、天下り、パチンコ業界、警備会社、風俗関係との癒着、利権構造を聖域として棚上げしてきた。しかし、これら権力を持つ者たちの無駄遣い、違法行為は最も優先してメスを入れなければならないものである。中でも、膨大な捜査費を使い放題、人権や命を危険にさらす違法、暴力捜査を続けてきた公安政治警察はこの機会に即刻、「事業仕分け」されるべきである。

 そして、このような公安警察の漫画的対応を温存し助長してきたのが司法権力だ。司法権力は、堀越判決の定着とともに権力犯罪、公安の人権犯罪を断罪せよ。憲法違反の国家公務員法を廃止せよ。公安政治警察による反グローバリゼーション運動と活動家へのいやがらせ、監視、APEC反対運動に対する弾圧を許すな!公安政治警察の解体を!

(Y)

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