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 戦争賛美、偏った歴史観のこんな教科書はいらない  自由社採択&1採択地区撤回を求める11・12市民の集いが11月12日、開かれた。司会の人から、8月4日採択後、9月7日の集会を契機に発足し、集会主催者である横浜教科書採択連絡会が結成された経緯などが説明された。この集会は10月に横浜市全市一括採択が強行されたことを受けて抗議集会である。

元教員の古屋珠子さんからは自由社の教科書と帝国書院の教科書を具体的に比較したレジュメが配布された。帝国書院版も侵略という表現は避けているものの、資本主義の成り行きで戦争にいたったという説明がされている。扶桑社のように国家の必然としての戦争、アジアへ希望を与えたロシア戦争という記述、押し付けられた日本国憲法、天皇賛美、長々と神話を語る記述はもちろんだが、日本海海戦に1ぺージを割いたり、昭和天皇のお言葉に1ページを割いたりという「独自性」はあるという。子供が利用する前に大人は1500円払ってでも読んでみるべきだと古屋さんは主張した。

佐藤真喜子さんによると、右派(教科書正常化を求める会)の請願活動が全県を対象にしたものから横浜市をターゲットにして、今回の事態に至ったという。佐藤さんはあまりに多すぎる採択手続き上の問題点を、簡潔に整理して解説した。1調査員報告は前回のものを流用、2候補は7社なのに3社のみ審議、3突然の無記名投票導入、4審議会答申を無視、自由社推薦なしの緑区、金沢区でも自由社採択など5市内1地区化と審議会改変6今田教育長の不正疑惑情報である。無記名投票結果がどのようなものだったかは10月21日付け新聞で公表されており、2名は全部自由社、自由社に一切入れなかった人は1名、残り3名のうち2名は答申を反映しているとはいえない投票をしていた。

田崎秀一郎さんは1採択地区化の問題を、提出した要望書を用いて訴えた。教科書選択は特に町村などで学校単位ですべきだという「規制緩和」方針が、閣議決定までされているというのである。1採択地区化を決定した神奈川県教委でも議論したそうだが、宮崎緑とともに反対した渡辺美樹(ワタミ社長)も「同じ日に厚木、相川、清川の採択区細分化に賛成して、横浜の統合に賛成するのはダブルスタンダード」と発言したそうだから、横浜市教委も神奈川県教委もこれ以上はない水準で、道理に外れている。話はそれるが、渡辺は公立学校の入学定員増を求めて通らなかったという理由で教育委員を同じ日に辞任した。

集会参加者から質疑が相次いだが、危機感から運動をどう進めたらいいかという提言が目立った。この事態は教育現場に収まらない運動の勢いを生み出しそうだ。学校現場の教員からは、正面切って動けないが、市民の応援がありがたい、自由社がいいと思っている教員はほとんどいないという発言もあった。11月いっぱいの署名運動は自発的辞任を目指しているというが、対応次第で罷免要求も視野に入れるという。そのときに藤岡と今田教育委員長の裏取引実証をどこまでできるかも課題となる。藤岡信勝は「正論」でやっと1パーセントの枠を突破したと喜んだらしい。横浜市全市になると、3パーセントを超える巨大地区が誕生してしまう。

連絡会でも出前学習会などに取り組んでいるが、どうしたらいいだろう。採択区のことにしても、採択区分散からはバウチャー導入を含めた教育格差の拡大の問題が付いてまわる。統合に反対した渡辺が良心的というわけではない。どの道筋をたどっても資本競争に耐えうる人材育成と参戦国家化が射程におかれており、子供のことを第一に考える教育行政というものは存在しないことが一層明らかになった。この集会ではそもそも学校、教科書が必要なのかということまでは問題にされない。

だが確かなのは横浜市の自由社教科書の採択撤回は、他地区の扶桑社系教科書の追放とともに、急がなければならないということだ。

(海)

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