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 五月十四日、日比谷野外音楽堂で「実現しよう今国会で!労働者派遣法抜本改正を求める5・14日比谷集会」が労働者派遣法の抜本改正を求める共同行動の主催で開催され、それまでの初夏のような陽気とうって変わって、寒風吹きすさぶ中での集会となったが千人の労働者が集まり、抜本改正の実現を勝ちとろうと熱気に溢れた。

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 通常国会が会期を一カ月余り残すのみとなっている中で、雇用破壊と貧困をつくり出す労働者派遣法の抜本改正を求める運動は国会で与党に対決する法案を提出できるかどうかの正念場に入っていた。電機連合やUIゼンセンなどが「登録型派遣の禁止」に消極的な姿勢を示していたため、民主党が他の野党が示していた改正案に乗れない足踏み状態が続いていた。しかし五月十三日、民主党が方針を転換し、専門性の高い業務以外は「登録型派遣の禁止」に踏み込むことを明らかにした。「具体的には、製造業や一般的な事務への派遣は派遣会社が労働者を長期に雇用し、仕事がない時も賃金が払われる『常用型』に限って認め、登録型は通訳や秘書など専門性の高い業務に限定する」(「朝日」、5月13日)。この結果、他の野党とのすり合わせによって、今国会での抜本改正に向けた野党共同法案の提出が実現可能な状況が生まれる中で集会が開催された。


 開会前三十分、日音響の歌声の仲間たちがチリの革命歌「ベンセレモス」や労働歌、青春歌などで集会を盛り上げた。

 全国ユニオン会長の鴨桃代さんが司会を行い、「今年六月までに、二十万人が雇用を失うと厚労省が発表している。その多くは派遣労働者で、雇用の調整弁に使われている。登録型派遣の原則禁止を柱とする抜本改正が急務だ。今国会で改正を実現しよう」と開会のあいさつを行った。

 労働弁護団の棗一郎さんが経過報告と抜本改正案の要旨を発表した(別掲)。次に共同行動の十四人の呼びかけ人のうち、鎌田慧さんと湯浅誠さんが参加しあいさつをした。

 鎌田さんは、「全野党共闘が作られたこと、日雇い、臨時工、期間工とバラバラにされた労働者がもう一度労働のあり方を労働者のためのものに再建していこうとする新たな運動となっていること」が成果だとし、「三万二千人が自殺するようなひどい社会を、労働者は部品ではない、生活を細切れにするなと労働者が主人公の新しい社会に向けて変えていこう」と訴えた。

 湯浅さんが「もやい」の相談日には一日百件ぐらいの相談が殺到し、雇用破壊と貧困化が深刻化しているとし、昨年の十一月に派遣切りされた三十六歳の青年のことを紹介した。

 「その青年は闇サイトにアクセスし、携帯電話の違法売買をやらされ、逮捕起訴された。三カ月勾留され執行猶予で出てきて相談にきた。家は酪農家だったがつぶれ、派遣しかなかったので派遣労働者になったが、これもつぶされた。そして犯罪に手を染めざるを得なくなり人間もつぶされた」。

 このような青年を救うために何が必要かを次のように語った。

 「年越し派遣村は生存を守っていく本当の労働運動だった。生活できない人に生活できる手段=生活保護などを受給できるようにした。しかし、これだけではダメだ。つながりをつくりだす場、闘える空間を作っていければ次の展開が開けてくる」とし、連携を深めてゆきたいと訴えた。

 次に各政党からのあいさつと参加できなかった国民新党と新党大地のメッセージが紹介された。

 民主党・高山智司衆院議員(雇用対策本部長)が、本来党首クラスが参加すべきだが、代表選の最中なので、参加できないことをわびた後、「昨日民主党は野党共同案を決定した。次の総選挙の争点に労働者派遣法改正をし、抜本改正の一歩としたい」と改正に向けた意欲を表明した。

 共産党の志位委員長は三つの点を強調した。一、宇都宮地裁でいすゞの「期間工切り」に対して、中途解雇通告は違法、その後とられた一方的な賃金六〇%へのカットも違法、差別賃金支払いを命じる全面勝利判決が出された。このように雇用破壊を許さない闘いと一帯で法の改正運動を作っていこう。二、現行派遣法の悪い点を闘いの教訓の中から洗い出し改正に向けよう。改正のポイントは●登録型派遣の原則禁止●製造業派遣の禁止●派遣先に責任を負わせる見なし規定が必要だ。三、均等ルールの確立。闘いの中でこそルールは作られる。

 社民党福島党首は、「法の規制緩和によって犠牲者を作り出してきた国会の責任が問われている。政治に責任を取らせなければならない。国民新党と社民党は本集会のアピールにある三点を確認した。民主党が態度を変えたので今国会に本当に法案が提出できることがうれしい」と喜びをもって、法案に提出についての状況を説明し、改正に向けた決意を述べた。

 続いて、現場からのあいさつと報告が行われた。

「東京でタクシー運転手をして、一日十二時間から二十四時間、月間六百時間も働いたが退職に追い込まれた。雇用保険も切れ、万策つきて派遣村にたどりつき、生活保護を受給でき仕事を探すことができた。これからはこの恩をかえすためにがんばりたい」。

同じく四十七歳の古賀さんが「派遣村にたどりつき生保の申請をした。私は一週間派遣村の手伝いをした。ひっきりなしに相談があり、カンパもたくさん寄せられたのがうれしかった。世の中捨てたものではないと思った。二月にはアパートを借りられた。現在就活中」と報告した。

 大分キャノンに派遣され、雇い止めにあい、組合を結成して闘っている加藤さんが、キャノンが派遣会社に和解金一億円を払い勝利和解したことを報告し、12・4派遣法改正集会で発言し、闘うことにより、勝利できたことに感謝を述べた。三菱ふそうと闘う鈴木さん(首都圏青年ユニオン)は、派遣の雇い止めに対して、直接雇用を求めて提訴する予定だが先の見通しが立たなく不安であるが、「活動を通して、人とのつながりにやっと気づいた、闘う勇気・力を与えてくれている」と団結の重要性を訴えた。

 阪急トラベルズ(HTS)から雑誌による取材を受けたことを理由に事実上解雇状態となっている塩田さんが解雇撤回を訴えた。トルコ航空による派遣切りと闘うトルコ航空ユニオン委員長が、「時給千二百円、年収二百二十万円の派遣社員。トルコ人と比べると年収は三分の一。有給休暇や社会保険がない。会社は団交に応じようとしないので、均等待遇と直接雇用を求めて提訴して闘っていること」を報告した。マツダで雇い止めを受けた西さんは、「会社は契約元と契約していただけだとして、紙切れ一枚で首を切った責任をとろうとしない。四月三十日に直接雇用を求めて提訴した。一歩もひかず前進していく」と力強く語った。

 集会宣言の採択の後、遠藤一郎さん(全労協常任幹事)が全野党の共同改正案が出来るように働きかけを一層強めたいとし、各党のマニュフェストに労働者派遣法の抜本改正案を入れるように求める行動提起を行った。閉会あいさつを小田川義和全労連事務局長が行い、シュプレヒコールで団結を固めて国会請願デモを行った。今後、野党が法案提出を行った場合、国会傍聴や国会前行動が予定されるだろう。人間らしい働き方を求めて、行動に参加しよう。(M)

棗一郎さんの発言から

 昨年の秋以降、顕著に始まった「派遣切り」「期間工切りなどの非正規労働者に対する雇用破壊の嵐は未だやむことはなく、現在でも製造業にとどまらず一般事務、物流などの非製造業にもその被害は広がっている。

 こうした状況を作り出した原因に労働者派遣法の改悪がある。われわれはこの労働者派遣法の抜本改正を求めて十二月四日、日比谷野音で二千五百人の集会を持ち、全国で闘った。しかし状況はわれわれの予想を超えて、解雇攻撃は大きく進んだ。

 年末年始に、われわれ「共同行動」運動に集う労働組合や市民団体が中心となって、派遣切りにあった労働者を支援するために「年越し派遣村」を実施した。派遣村には職と住まいを失った五百人を超える労働者、路上生活者が集まった。遠く浜松から歩いて派遣村にたどり着き病院に運ばれた人、何日もまともな食事を取れないで派遣村に来て倒れた人、富士の樹海で自殺を思いとどまり最後の救いを求めて派遣村に来た人など、派遣村には、飢えと寒さで夜も眠れず街中をさまよっていた人たちで溢れていた。

 この派遣村の惨状は決して忘れることができない光景として、これを作り出した者たちへの満腔の怒りとともに、われわれの心に深く焼きついている。

 労働者派遣法は一九八五年に成立し翌年施行された。この時、非正規労働者は一〇%だったが、昨年三七%に達している。今年六月には二十万人が雇用を失うと厚労省は発表しているが、そのうち六~七割が派遣労働者だ。九〇年代のリストラは正社員が大量に解雇された。今回は正社員の代わりに派遣労働者が解雇さ
れている。労働者の中に格差・分断を持ち込んでいる。

 こうした状態の中で、与党は昨年改正案を出したが雇用を守ることができないものだ。こんな与党改正案なんていらない。私たちは今国会において、労働者派遣法抜本改正の第一弾として次のような改正案を提案したい。

 一、登録型派遣は政令指定業務を除き原則として禁止すること。
 二、常用型派遣は原則として期間の定めのない雇用とすること。
 三、職安法・派遣法に違反する働かせ方をした場合に派遣先との直接雇用が成立する「みなし雇用規定」を創設すること。

 昨日、社民党と国民新党がほぼこの案で合意した。民主党も「登録型派遣禁止」に踏み込んだ案を表明した。野党間で調整が可能になってきた。ぜひ野党共同案をつくり、与党案と対決したい。この運動は多種多様な労働戦線が集まっている。ぜひ抜本改正に向けて突破口を開こう。ともに闘おう。

(発言要旨)

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