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生活保護申請ビデオカメラ弾圧を許さない!
A君は無罪だ!釈放要求緊急集会

「水際作戦」と問われる福祉職員の思想と姿勢

【大阪】1月15日、エルおおさか大会議室で「生活保護申請ビデオカメラ弾圧事件A君無罪!釈放要求緊急集会」が、ユニオンぼちぼち(関西非正規等労働組合)の主催で行われ組合員や支援など70人が参加して成功した。

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この集会は、ユニオンぼちぼちの組合員であるA君が大阪の柏原福祉事務所に生活保護を申請したさい、正しく申請を受理してもらえなかったため、それをビデオで撮影した事が職務強要罪だとされ、11月27日大阪府警に不当逮捕された弾圧事件の報告と支援を訴えるために行われた集会である。

またこの日は、大阪地方裁判所堺支部でこの弾圧の第1回公判が行われ、平日にも関わらずぼちぼちの組合員や支援など約30人が傍聴に参加した。午前中には裁判所前で情宣も行われ裁判所職員や市民にこの不当弾圧を訴えた。

午後6時半、ユニオンぼちぼちの執行委員の南さんの司会者挨拶で集会が始まった。

まず始めに、A君の担当弁護士でホームレス法的支援者交流会共同代表の木原万樹子弁護士が第1回公判の報告とこの逮捕の不当性を訴えた。

木原弁護士は起訴状の内容について、「今回の事件ではそもそもこの起訴自体が意味がわからないと思っているのです。こんなケースで起訴をしてくるとは?という思いです。申請に行くときいろいろ不安はあったと思います。水際作戦などがあったりする中で申請するところを記録しようと思ったわけです。その記録をした事を職務強要罪で起訴したわけです。起訴状には『脅迫』、になっています。たとえば声を荒げて話した事を、『怒鳴りつけ奇声を発した』というふうになるのか?という事です。常識では考えられないと思っています。」

と述べた。また福祉事務所の職員の対応に対して、「生活保護の申請というのは生活保護法上、申請状を出したらそれを受理し速やかに審理し要件を満たすか満たさないかを決めなければなりません。申請を出した時点で受理しないという選択肢はないと思います。この起訴状には選ぶ権利があるかのように書いてあります。A君は2月から5月まで保護を利用していて、この件があった後も8月末から逮捕の直前まで円満に利用していたのです。

そういう人に、職務強要罪などと言うのが理解できない。申請の時に言い合いになる事もあります。A君は無実だし、こういのを違法だといってはいけないと思います。」と職員の問題点を指摘し、さらに、「今まで申請のとき、私が同行できないときは録音したりする事もありました。

これを違法だというのだろうか。また、彼は起訴状に書かれてあるような乱暴な言葉は使っておらず、全部丁寧にしゃべっていた。

今回の事件は、記録のための録画、違法な職務執行だから保護されない、被告人には故意がない、この3本を主張していく。」と起訴状の矛盾点を突き、今後の決意を述べた。

逮捕の経緯と問題提起

続いて副委員長の伊田さんがA君が不当逮捕されるに至った詳しい経緯を報告した。

・供託金を口実に申請を拒否

「2007年に不当解雇にあい、組合に加入したA君は、なかなか生活を安定させることができず生活保護の申請に至ります。まず2009年2月から就労自立する5月めでの間、保護を受給していました。メンタル的な問題で就労が困難になり7月に退職、その後また生活に困り8月3日、柏原市福祉事務所に対し保護の申請をしました。しかし8月14日申請は却下されてしまいました。大阪法務局に存在する供託金を活用すれば生活する事ができるというのが理由です。

しかし、5月の時点で柏原福祉事務所は供託金があることは知っていたのであり、しかもその金は3年以上も音信普通であったA君のお母さんが独自に貯金していたもので、A君は存在すら知らなかったこともA君のものでない事を証明するために供託金にされていたことも知っていたのです。

つまり8月3日に受理した時点でその事情をわかっていたはずですが2週間の14日まで引き延ばして申請却下してきました。決定に疑問をもったA君は同日付で再申請と審査請求を行います。その後、間接的にお母さんと連絡が取れたので供託金を引き出してもらい8月18日に再度申請にいきました。14日の時点では供託金が存在していたので、同じ条件で審査されたら却下されると考えたからです。」

・証拠保全のためのビデオ撮影

「しかし職員は申請書をなかなか受け取ろうとはしませんでした。これは申請権の侵害です。14日の却下など、保護申請手続きの不透明なあり方に不安を覚えたA君は、証拠保全のため、にビデオを回し『公務員でしょう。申請させてください。ちゃんと対応してください。』『生存権を保障してください』『ユニオンチューブっていうのがあるんですよ』と抗議しました。抗議を受けた職員は即座に警察を呼び被害届を出しました。それに対してA君はユニオンぼちぼちの組合員に電話をし、第三者が間に入ることで職員も誠実に話を聞くようになりました。そして翌日A君が14日付の申請の取り下げと再申請を行った結果、8月31日に保護決定がなされます。」

・不当逮捕・拘留・職業訓練校からの退校命令

「決定前の8月27日に組合員が同行して福祉事務所を訪れた際、職員は被害届の取り下げを検討する旨を伝えていました。また無事、保護が決定された事もあり取り下げは行われたものとだと判断していました。しかし福祉事務所は、A君の言動が脅迫的な行為にあたるとして『職務強要罪』で刑事告訴してきたのです。

その結果、約2ヶ月半後の10月27日、A君は逮捕され11月16日に起訴されてしまいました。起訴状では、『保護開始申請書の受理および保護決定の処分をさせるために脅迫をくわえたもの』とされています。しかし申請書の受理は法律で定められた義務です。また保護は逮捕後も廃止されておらず不当な決定はなかったと福祉事務所自体が認めています。撮影された映像の公開もされておらず、殴るとか身体をつかむとか、机を強く叩くとかモノを投げつけるなどの暴力的行為を行ったものではありません。

こうした不当逮捕にも関わらず起訴をされ、保釈請求も却下され、80日にもわたる身体拘束が続いています。保釈されないため生活保護は停止され職業訓練校も辞めざるをえなくなっています。

(職業訓練校からの退校命令が12月11日付でA君に送られてきた。内容は【正当な理由なく全課程2割以上の欠席】したため。これによりA君は緊急人材育成・就職支援基金による訓練・生活支援給付の受給権を失う)

病気をかかえているA君にとって、様々な人と同じ部屋で寝起きし、監視され続け暖房もない拘置所生活自体が過酷なものなのです。本来、保護利用者の自立を支援しなければならない福祉事務所職員が、安易に解決を警察に委ねた結果、A君の人生が潰されそうになっているのです。」

伊田さんは続けて「問題点の整理とひとつの視点を提起したい」として「今回の不当逮捕事件には水際作戦と関連していると捉えています」と述べ問題提起を述べた。

・「水際作戦」

「水際作戦とは、餓死事件を出した北九州市の申請自体を受けさせないよう動きがあったことに対する運動側が名づけたものです。背景には財政状況の厳しさや人員の少なさ、生保受給者が激増する中で職員の疲弊が進んでいるということがあります。貧困問題が広く知られる以前から日本社会の矛盾と直面してきたのが
職員だったといえます。

水際作戦という現象の背景には社会的弱者をエンパワメントするように援助するということが多くの福祉事務所では十分になされていない現実と福祉行政職員の、そういう姿勢、思想が見られます。」

・エンパワメントとは?

「エンパワメントとは、本人自身が助けてもらわねばならない無力な存在だと自分を否定的にとらえるのではなく、自分には力がある、と思えるようになっていく事です。当事者主体の援助でなければなりません。そのためには話をよく聴き、相手に対する安心感や信頼感を得ることが必要です。

聴く人が能力主義、自己責任論の感覚を持っていては『社会的弱者』は相談をする事ができません。自己責任だけで見てはダメですよ、とむしろ自己否定的になりがちな要援助者に、権利として福祉制度を利用したらいいんだ、そしてあなたには、幸せになっていく権利と力があるんだよと、支援・援助していくのが福祉事務所の優しい対応の態度です。

多くの福祉事務所・職員で、そういう思想・姿勢が十分ある人は残念ながら一部にとどまるというのが現状でしょう。だから全国で水際作戦という現象が起きたのです。」

・問われる福祉職員の姿勢

「水際作戦という概念で問題としていたのは狭い意味の『生保申請受付拒否姿勢』だけではなく一部の福祉職員の非援助的な姿勢の思想でありエンパワメントの視点で要支援者を支援してこず能力主義と自己責任論で排除的に接してきた事が水際作戦の意味であったのです。『要保護者が急迫した状況にある場合』は『速やかに職権をもって保護の種類、程度および方法を決定し保護を開始しなければならない』と生活保護法25条に規定されています。柏原市の生保職員はそれに反することをしたのです。」と、職員の姿勢を問い「今回の事件は水際作戦と本質を同じくするだけでなく、A君を逮捕させ職業訓練校を辞めざるをえなくさせ、拘置所に2ヶ月以上閉じ込めているのです。どうか、みなさんのご支援をお願いします。」と支援を訴えた。

各団体から

後半に移り、各団体の方から発言があった。まず、釜ヶ崎医療連絡会の加藤亮子さんが釜ヶ崎での生活保護の水際作戦の現状を報告した。

加藤さんは大阪市立更生相談所(市更相・釜ヶ崎地区で住居のない人を対象にした生保の窓口、機関)に、相談に行った野宿労働者の言いたい放題座談会(1997年)からの発言から「ケンカ売ってくるような言い方。我々の立場にたってやってくれない」「市の職員でありながら、まるで暴力団のような対応をする。我々を人間扱いし
ていない」「人によって対応がまちまち。人を見ておとなしいと思うと相手にしてくれない」「市更相の人間はいばっている。許したらいかん。税金を使ってやっているのに相談する人の人生を悪く変えてしまう。」という現状があった事を紹介し、大阪市に対して改善の要求を行った事を述べた。

さらに、周辺都市では保護開始時の敷金支給をほとんど行っていない市もあり、水際作戦による餓死、自殺について「忘れられない事件がある。1987年札幌、39歳母子家庭の母親が2人の子どもを残して餓死した。生保を申請したが取り合われず、近所の人が2度にわたって通報したが動かなかった。

また秋田では病気が治るまでといったのに2度にわたって申請を却下、睡眠障害ではダメだということに。自分が犠牲になって福祉をよくしたいといって自殺した。

このように、過去に何人もの犠牲があった事も覚えておきたい」と、発言した。続いてNPOremo、釜ヶ崎日雇労働組合、京都洛南ユニオン、そして広島から瀬戸内新聞記者の佐藤さん(インターネット新聞JANJANも主催している)が参加し「このように恣意的に起訴しているような状況は政権交代だけでは止められず現場の抵抗運動こそが不可欠」と発言した。

最後に司会者の方から、ユニオンぼちぼちの声明「A君は無罪だ!不当起訴弾劾」の賛同署名の協力を呼びかけ、支援と注目を訴えて集会を終了した。

(M)

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