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 「足利、布川から狭山へ 東京高検は証拠開示を!東京高裁は事実調べを!」
証拠開示と事実調べを求める緊急狭山集会


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  五月十二日、日比谷野外音楽堂で「足利、布川から狭山へ 東京高検は証拠開示を!東京高裁は事実調べを! 証拠開示と事実調べを求める緊急集会」が狭山事件の再審を求める市民集会実行委の主催で開かれた。狭山事件第三次再審請求で、十二月十六日の三者協議会(裁判所、検察側、弁護側)で、東京高裁は八項目にわたる証拠開示を東京高検に勧告した(別資料)。第三回三者協議会が五月十三日に開かれ、東京高検が証拠開示について回答する前日に緊急集会として開かれた。狭山闘争は再審の扉を開くことができるかどうかの最大の山場にさしかかっている。

 チバリヨエイサー(埼玉)の前段コンサート後、講談師の神田香織さんのオープニングあいさつと組坂繁之さん(部落解放同盟中央本部委員長)の開会のあいさつが行われた。松野信夫さん(民主党参院議員)が「取り調べの可視化を求める議員連盟と差別を許さない議員連盟を立ち上げ、可視化と証拠の開示を求める法案の成立のためにがんばる」と報告した。福島みずほ社民党党首は「潮目が変わった。証拠開示を勝ち取り再審へつなげよう」と訴えた。そして福島さんは「内閣府や外務省に人権に関する室が作られ、人権状況改善に向けた歩みが始まっていること」を報告した。多くの国会議員も参加し、新党大地、国民新党からの連帯アピールが読み上げられた。

 満場の拍手の中、石川一雄さんが登壇し、次のような発言を行った。

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 「風薫五月、権力と対峙した集大成がやがて来ようとしています。石川一雄にもうれしい涙が流されるのではないかと強く胸に刻み、今日皆さんの前で、ごあいさつをさせていただきます。石川一雄はもう七十歳だと言いません。まだ七十歳です。これからが私の本当の意味での人生であります」。

 「権力を倒すことは容易ではありませんけれど、国民一人一人が心を一つにして闘えば必ず、権力を引きずり出し、そして私をえん罪に落としこめた、それを糾弾できる。私はそのように確信しつつ、この三次で勝利できるように精一杯闘っていく決意です」。

 「無罪を勝ち取るためにも、皆さん方一人一人のご支援なくしてえん罪は晴れません。ぜひとも、この三次で無罪を勝ち取れるようにいっそうのご支援を心から願っております」と力強く訴えた。

 次に、中山武敏さん(狭山弁護団主任弁護人)や中北龍太郎さん(狭山弁護団事務局長)などが「裁判所が証拠開示を勧告したということは解明しなければならないことがあるということを認識していることである。上滑りすることなくゴールをめざして走り続けなければならない。そのための武器はつかんだ」と証拠開示が再審・無罪につながることを強く明らかにした。松岡徹さん(部落解放同盟中央本部書記長)が基調報告を行い、庭山英雄さん(市民の会代表、弁護士)が「二十年前、香川でのえん罪事件で再審無罪を勝ち取ったが、その時の弁護士が足利事件の主任弁護人であった佐藤ひろしさんだ。佐藤弁護士は、警察庁や警察学校、さらに最高検察庁に呼ばれて、なぜえん罪を防げなかったのかの講演しているという。少しずつではあるが反省の姿を見せている。こうした流れを狭山再審裁判の流れに引き寄せなければならない。命あるかぎり闘う」と語った。

 茨城県利根町で一九六七年に起きた強盗殺人事件(布川事件)で無期懲役が確定し、服役後仮釈放されていた桜井昌司さんと杉山卓男さんが裁判のやり直しを求めた第二次再審請求で最高裁が自白に信用性を疑問視して、二〇〇九年十二月十六日、再審開始を認めた。再審開始が決定した桜井昌司さんがあいさつに立
ち、証拠を捏造しウソの自白を強要した警察・検察を厳しく批判し、石川さんの無実を勝ち取ろうと力強く訴えた(別掲)。

  続いて、袴田巌さんの姉のひで子さんと山崎俊樹さん(袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会事務局長)が「袴田さんと面会したが会話が成立しない状況だ。四月二十二日、救援の議員連盟が約六十人の国会議員によって作られた。五月八日には、千葉景子法務相に身柄の解放と医療施設での治療を求めた。五月
二十八日に開かれる三者協議会で多数の証拠の開示を求める」と袴田事件再審の闘いを報告した。

 足利事件で無実を勝ち取った菅家利和さんが「私は三月二十六日に、無罪になった。これからも私は私と同じように苦しんでいる人たちのために支援をしていきたい」とこの日体調を崩していてもしっかりした口調で語った。この発言の後壇上で、石川さんが桜井さんや菅家さんと固い握手をして、勝利に向けた決意を固めた。会場からは割れんばかりの拍手が起こった。鎌田慧さん(市民の会事務局長)が「五月十一日に知識人百六十七人の署名を提出したこと、今後も証拠開示をきちんとやらせるようにがんばろう」と締めくくりのあいさつをした。集会アピールを採択し、銀座を通り常盤橋公園までのデモ行進を行った。狭山再審闘争勝利へ!

(M)

 追記。集会の翌日、十三日に三者協議会が開かれ、東京高検は証拠三十六点を弁護側に開示したが、殺害現場にかかわる証拠は開示しなかった。今後とも全面開示を求めていこう。以下は朝日新聞(5月14日)が報じた証拠開示の中身である。

 第三次再審請求審の三者協議が五月十三日、東京高裁(岡田雄一裁判長)であった。検察側が、石川さんが取り調べに対して「自白」している内容が録音されているテープ九本のほか、確定判決で有力な証拠とされた脅迫状と比較するための石川さん直筆の領収書などの文書や目撃情報が記された報告書など証拠三十六点を弁護側に開示した。ただ、殺害現場の血液反応の報告書や現場を撮影した八ミリフィルムなどは「見当たらない」との理由で開示されなかった。九月中旬に四回目の三者協議をすることが決まったといい、弁護団は今回、開示されなかった分について改めて請求する方針。弁護団は「開示された証拠から矛盾点を見いだし、一刻も早く再審開始につなげたい」と話した。
 
 布川事件で再審が確定した桜井昌司さんの報告から
 
  私たちは今から四十三年前の昭和四十二年茨城県利根町布川で起きた強盗殺人事件の犯人にされた。ウソの自白をしてしまって、何の証拠もなく無期懲役になって二十九年間刑務所に入れられた。石川さんとは東京拘置所で六年間、千葉刑務所では十五年くらいいっしょだった。獄友ですね。ぜひ勝って欲しいと思ってやってきた。

 なぜわれわれが有罪になったかと言えば、ウソの自白です。裁判官はどうしようもないですね。裁判村の人たちで独特だ。「やってない人間がなぜやったと言うんだ」と。それは苦しめられたからだ。警察はひどい。やったと言わされちゃうんだから。

 では、なぜ今回私たちが再審決定開始になったか。検察は私たちの無罪の証拠を隠していた。昭和四十二年八月二十八日、私は東京中野区の沼田にいました。バアじゅんという店で飲んでいた。そのママさんの調書を検察庁は三十五年間隠していた。「十一時半に桜井さん飲んでいましたよ」。われわれが利根町で人殺ししたら、十一時半には沼田には帰れない。十時四十七分着しか電車がない。これおかしいでしょ。事件現場でわれわれでない二人を見たという人が今でも生きています。その方は杉山さんではないと言っている。そして、われわれが列車で到着したという時間に犯人を見たと言っているんです。この調書も三十五年間隠していた。事件現場に八本の髪の毛があった。桜井、杉山のと鑑定したら違う。この鑑定書も隠していた。一人暮らしの部屋の中に俺たちの髪の毛あったらおかしいでしょ。現場に指紋が四十二個あった。この指紋も指紋ではなかったと隠した。こういうひどいことして裁判所で許されるのか。われわれはそういう証拠が出されて再審決定された。

 石川さんの場合、裁判所が開示勧告してもなぜ出さないのですか。検察庁がたかをくくっているのではないか。狭山事件はださなくてもいいと思っているのではないか。皆さんに厳しいことを言うかもしれませんが、十数年間何回か、集会場の表を通ったことがある。入る雰囲気ではなかった、怖い。別に皆さんが怖いということではなくて、表に勇ましい人がいて、公安がもっといるでしょ。私警察大嫌いだから。あんな奴らがいる所はいきたくないとずっと通りすぎていた。

 検察庁は証拠出さなくてすむと思っているではないか。それじゃおかしいじゃないですか。裁判は正義や道理を示す所だ。こういう奴らを私はとっちめたい。布川事件で私は無実になっても当たり前です。私たちの無実の証拠を三十五年間隠した検察庁の責任どうなるんだ。さっき弁護士さんが狭山事件で万年筆をデッチあげたと言いました。これから話す袴田事件でも味噌樽の中に袴田さんのズボンだというズボンを警察が入れちゃいデッチあげた。布川事件でも物証をデッチ上げしようとした。十二月十五日、われわれが再審開始決定された日に、当時の鑑識課員が布川事件で四十二年前に指紋を合わせろと捜査幹部に言わされたと告白してくれた。

 こういう奴らをおれは犯罪者にしたい。狭山事件の石川さんを犯人にするために万年筆を隠した奴を犯人にしなければだめだ。今でも平然と証拠を隠している検察官を犯人にしようと今日思えてきた。布川事件では百数十点の証拠を出させた。ぜひ、その思いを心にして本当に道理と正義を持って無罪を勝ち取り、石川さんを泣かしてあげたい。さっちゃんを悔し涙ではなくて、慶びの涙を流させてあげたい。石川さんは長男坊です。私は次男坊で、足利事件の菅谷さんは三男坊です。三男坊はパッと社会に出てきて無罪になった。私はすぐに無罪になります。次は石川さんを無罪にしたい。(発言要旨、文責編集部)
 
 【資料】

 開示勧告が出された証拠--いずれも弁護団の主張、新証拠と関連する重要な証拠
 
 弁護団が開示請求した証拠の内、二〇〇九年十二月十六日、第二回三者協議で裁判所が東京高検に開示勧告を行った八点。

 〈犯行現場関係〉 自白による犯行現場に裏付けがなくむしろ矛盾するO証言などの新証拠と関連

 一 殺害現場とされる雑木林内における血痕反応検査の実施およびその結果に関する操作書類一切(検察官は殺害現場のルミノール反応検査報告書について存在しないと言っているが、存在しないならその理由の説明を求める)

 二 捜査官が、殺害現場に隣接する畑で農作業をしていたOさんから三回目に事情聴取した際の捜査報告書ないし供述調書

 三 殺害現場とされる雑木林の隣で事件当日、農作業をおこなっていたOさんを取り調べた捜査官の供述調書案、取り調べメモ(手控え)、調書案、備忘録等

 四 一九六三年七月四日付けの実況見分調書に記載されている現場(雑木林)を撮影した八ミリフィルム
 〈死体関係〉殺害方法、死体の運搬、逆さづりなど自白の核心部分の虚偽を示す新証拠と関連

 五 死体鑑定書や一九六三年五月四日付の(死体発見時の)実況見分調書に添付された写真以外の被害者の死体に関する写真
 〈筆跡関係〉当時の石川さんが脅迫状を書いたとする確定判決の認定に合理的疑いがあることを示す新証拠と関連

 六 石川一雄さんが○○製菓の工場に勤務していた当時の借用書など筆跡鑑定等のために収集した石川さんの筆跡が存在する書類

 七 石川さんが逮捕・勾留中に書いた本件脅迫状と同内容の文書など、石川さんの筆跡が存在する文書
 〈取り調べ関係〉石川さんの自白が代用監獄における長期の取り調べによって引き出された虚偽自白であることを示す新証拠に関連

 八 石川さんの取り調べにかかる捜査官の取り調べメモ(手控え)、取り調べ票、調書案、備忘録等

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