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 1月10日、三里塚芝山連合空港反対同盟は、横堀農業研修センターで09年旗開きを行い、30人が参加した。

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 成田空港会社は、2010年3月の成田空港B滑走路供用の強行に向けた東峰住民追い出し攻撃と連動して、08年12月に入って空港用地内の八カ所の三里塚一坪共有者約千人に対して土地の権利を明け渡せというどう喝文をばらまいた。すでに反対同盟大地共有委員会は、共同通信が空港会社の一坪共有地売却強要に関する報道(08・5・10)を会社のキャンペーン開始として捉え、全国の仲間に対して「一坪共有地断固堅持」
を訴えるニュースレターを配布(9月)している。

ところが反対運動の当然の主張に対して会社は、「反対派側に歩み寄りの姿勢が感じられない」(朝日新聞/08・12・25)などと居直り、平行滑走路の早朝・深夜の運用時間制限の撤廃(3月)も合わせて航空機過密運航、騒音と排気ガスのまき散らしによる安全・環境・人権破壊の拡大をねらっている。このような空港会社の態度に抗議して大地共有委員会は、「声明 空港会社による一坪共有地の売却要請手紙に抗議し、共有地を断固堅持する」(08・12・26)を出した(別掲参照)。


 空港会社の森中社長の年頭会見では、「安全最優先が最大の目標。空港の安全と快適さを提供したい」などとウソ発言を平気で行い、「延伸工事は順調に進んでいる。世界の主要空港と比較してそん色のない空港作りをしていく」「航空自由化が世界の潮流となっており、特にアジアの空港間の競争は激化の一途をたどっており」など述べた。つまり、アジア国際空港競争に勝ち抜くためたに東峰住民追い出しをはじめ空港公害を強行していくことを宣言したのである。いったいどこにエコ・エアポート計画の理念があるというのか。政府の地球温暖化対策の中で航空過密化・環境破壊行政をバックボーンにしてやりたい放題の姿を浮き彫りにした。旗開きは、このような政府・空港会社の成田空港B滑走路供用の強行と一坪共有地強奪路線を糾弾し、09年の闘いに踏み出した。

山崎宏さん(横堀地区・労活評現闘)

 旗開きは、山崎宏さん(横堀地区・労活評)の司会挨拶から始まり、「危険な暫定滑走路を運用しながら森中社長は、ぬけぬけと『安全優先が最大目標』と言えたものだ。『安全優先』なら即刻、暫定滑走路の使用を中止にすべきだ。空港容量を年間30万回と言っているが、これは東峰住民を追い出して3500メートル滑走路を作るということだ。こういった傲慢なやり方を絶対に阻止していく決意を固めている」と訴えた。


柳川秀夫さん(反対同盟世話人)

 柳川秀夫さん(反対同盟世話人)は、「空港問題は依然として予断を許さない状況だ。3500メートル級滑走路の建設について会社は、地元の要望を足かがりにして拡大しようとしている。1991年、当時の政府・公団は、シンポジウム円卓によって事業認定を取り下げた。これは力による強制をやらないと約束をしたということだった。もしこれを破るとするならば社会的、歴史的に大変な問題だ。反対運動にとって大義ができるということだ。話し合いが基本であり、空港会社が一方的にやることはできない」。

 「昨年、会社は共有地売却の手紙を送りつけた。空港問題の意味というものを再度、皆さん考えていただきたい。空港問題は、高度成長からの経済のあり方を問うている。

現在では食うことに困る時代になっているが、単純に職をつくるとか、消費によって景気を回復するとかではなく、アメリカ型のグローバルな経済のあり方自身を考えなくてはいけない。新しい物差しによって、これからの世の中のあり方を考え直す時期に入っている。九一年の提起は、そういうことだったが、経済発展至上主義の中では空港を大きくする考え方が続いている。だからこそ新しい考え方を世の中に提起していくことが求められている。三里塚闘争の意味を捉え返し、今年も頑張っていきたい」と発言した。

加瀬勉さん(多古町、一坪共有地提供者)

 加瀬勉さん(多古町、一坪共有地提供者)は、「新年めでたくもあり、めでたくもないのが心境だ。めでたい春にするためには、どうしたらいいか。初心に返って、断固たる態度で共有地を守る。この決意を皆さんも共有しなければならないと思っている」と強調した。

 さらに「日本の経済、政治が非常に困難な状態になっているが、自民党の基盤が崩壊しつつあるのだ。つまり、新しい階級情勢、大衆闘争の萌芽が生まれつつある。三里塚もその戦線に加わって新しい主体に立ちきることができるかどうかだ。選挙で自民党が敗れて民主党などが政権をとったとしても、現在の歴史的矛盾を選挙と国会の中で解決できることはできない。共有化運動も含めてわれわれが新しい闘争を組むことが必要だ」と問題提起した。

平野靖識さん(東峰地区・らっきょう工場、地球的課題の実験村)

 平野靖識さん(東峰地区・らっきょう工場、地球的課題の実験村)は、「ワンパックの共同出荷場が東峰地区の別の場所に移転した。当初は心細くなるなという不安があったが、従来の土地などの権利一切を移動せずに仕事を続けていく道を確保したことを評価している。新しい若い人たちに三里塚の理念、農的暮らしを受け渡していく熱意を持ち、東峰地区で闘いを堅持しながら生きていこうと考えた成果だ」と述べた。

 「飛行機の進入による轟音下で暮らしている島村さんたちは、独自に防音家屋を建てた。東峰地区で頑張っていく決意だと思う。ただジェット機の轟音にる振動が地面から伝わってしまう困難な状況は続いている。らっきょう工場は、昨年、創立三十周年を迎えた。生産者、業者、共同事業者で祝った。三里塚闘争とともに歩んできたが、これからも様々な困難な事態を乗り越え、次の展開に入っていきたい。有機農業の豊かさによって若い人たちが集まりだしている。もっと発展させていきたい」と抱負を述べた。

 また、地球的課題の実験村の取り組みを報告し、「1998年秋から大量生産・大量消費による大量のゴミを生みだしている暮らし方を改めていくために問題提起してきた。

グローバル経済と小泉改革による規制緩和によって非正規雇用と格差が増大してしまった。その結果、小林多喜二の『蟹工船』が読み直されていると言われている。同じように三里塚闘争のメッセージが若い人達に届くようになってきている。農業が持っている循環性、自立性を強く訴えていきたい。夕立の森作り、実験村の年次集会と三里塚戦跡めぐりに参加してほしい(4月4日~5日、木の根ペンション)」と呼びかけた。

関西・三里塚闘争に連帯する会の渡邊充春さんと支援の発言

 次に支援からの発言。関西・三里塚闘争に連帯する会の渡邊充春さんは、「二月一日に関西・三里塚闘争に連帯する会の旗開きを行う。故・上坂喜美さんの追悼本の出版記念会も合わせて開催する。ぜひ上坂本を購入し、今後の三里塚闘争に生かしてほしい」と呼びかけた。また、11月の反空港全国連集会の取り組み、静岡空港反対闘争について報告した。

 続いて高見圭司さん(スペース90)、田島義夫さん(山形在住)、京品ホテル支援闘争に参加している仲間、10・24免状等不実記載弾圧を許さない!国賠裁判に勝利する会、東水労青年女性部などから報告と決意表明が行われた。

加瀬勉さん講師、「一坪共有地運動の今後と課題」を論議

 旗開き終了後、参加者全体で横堀大鉄塔に移動。鉄塔の中断に上がり、空港の観察・調査、共有地の点検活動を行った。

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 さらに木の根ペンションに移って、加瀬勉さん講師による今後の一坪共有地運動にむけた問題提起が行われた。とりわけ成田空港会社の一坪共有地売却手紙全国配布の攻撃性格・特徴について分析、今後の反撃に向けた方針、運動・組織論について提案があった。「農地死守」の精神をいかに具体化していくのかと力強く訴えた。各地の仲間たちは、この間の共有地運動の課題、意見などを交換し、論議を深めた。(Y)

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