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 日本航空の破綻への道 国際線機長の立場から見て

 2月19日、成田プロジェクト(「いま成田空港で何が起きているのか」プロジェクト」)は、文京シビックセンターで「第1回 航空・連続セミナー『日本航空の破綻への道 国際線機長の立場から見て』」を行った。講師は、元日航国際線機長だった木村肇さん(1969年日航入社、75年国際線副操縦士、87年機長、06年退社)。

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 木村さんは、この間の日航破綻について、1.「親方日の丸」・甘えの構造に基づく放漫経営、半官半民体質からの脱却失敗 2.自民党政権下、国内に九十八の空港を作り、政財官癒着の構造による政治的利益誘導型の非効率運航を強いられたことなどを整理した。

 続いて「在職中の変革活動」の紹介した。

 第1は、労働者間の分断・対立を拡大する機長管理職制度の撤廃の取り組みについてだ。日航経営は、70年8月、機長を管理職乗員だとして事実上、組合活動を認めないための制度の導入を強行した。日航の営利優先のための分裂労務政策の一環だった。木村さんは、この制度が職場チームワークの崩壊を促進する危険な制度だとして撤廃運動を取り組んでいった。

 「常務取締役運航本部長と機長との懇談会(1987年)の席で制度の問題を取り上げ抗議したが日航は一切無視だ。国際線乗務において現地採用の友人たちから、日本航空のあり方に連帯感がなく異様であると指摘されるほどだった」。

 「00年にサンフランシスコ│成田単独乗務の直後、腰痛で乗務離脱せざるをえなかったが、安全上、業務改善の必要性も訴えていった。また制度撤廃のために組合の統一を呼びかけ01年8月、機長組合執行委員就任、統一を内部から働きかけていった。組合統一の気運が芽生えたが経営派の巻き返しによって頓挫してしまった」。結局、木村さんは執行部改革と組合統一の必要性を組合員に継続して訴えていったが、逆に組合執行部から活動停止という不当処分を強行してきた(05年)。活動停止処分を不服として東京地裁に提訴し、処分不当とする勝訴も勝ち取っている。その後も日本航空経営会議、機長組合執行部に対して公開質問状を提示したりして現体制の解体と新体制構築をめざして奮闘している。

営利主義からの転換が優先課題

 次に日航の再建について木村さんは、「前原国交相の再建構想は、15000人の人員削減、110の子会社の整理を強行。さらに路線の合理化、着陸料等・公租公課の見直し、観光立国などの需要の開発などだが、そもそも一国に2つの巨大航空会社が必要なのか疑問だ」と批判する。

 さらに半世紀に亘った分裂労務政策によって堅固に形成された労働者間相互不信に焦点をあて「日航の破綻は社員にとって生涯における最大の危機であり、企業再生に並行して社員の『精神再生』は喫緊の課題である。そのためには労務政策の方向転換が必要である」と強調した。

 そして、「企業の利益のみを優先し、個人を犠牲にしていては、やがて、人で構成するチーム・企業は心的成長を断たれた個人の心のエネルギーの停滞、減衰により、疲弊、衰退、破綻へと至る。企業・チームが個人の存在意義を認め尊重しているという共通認識が企業存続の大前提であることを知っていなくてならない」と結論づけた。

(Y)

●「第2回 成田プロジェクト:航空・連続セミナー│地方空港はなぜ増えつづけてきたのか│静岡空港、新石垣空港から考える」/講師 桜井建男さん(空港はいらない静岡県民の会事務局長)、生島 融さん(八重山・白保の海を守る会事務局長)/4月17日(土)午後2時開始/文京区シビックセンター5階C会議室/資料代:500円

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