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1月30日、17年連続「世界で最も経済自由度の高い」(米ヘリテージ財団)と認定された香港で、「階級闘争」を前面に掲げた100名の青年たちによるデモが行われた。事の発端は1月15日、次期の行政長官(香港政府のトップ)として注目されている唐英年・政務長官が青年学術会議のラウンドテーブルに出席した際の発言だった。「多くの社会運動が権利を主張するが、・・・・・・責任については軽視されている。」「人類の重要な美徳は謙虚さと内省だと信じている。頑固な独りよがりで突き進めば、最終的には社会を崩壊に導く」などと発言をした。これに対して、いくつかの社会運動団体で活動する青年グループが反発し、緊急にもかかわらず抗議の署名を6500筆以上も集めて、香港政府に対するデモを行った。デモでは「階級闘争」「労働者は団結しよう」などの横断幕、「反資本主義!」のスローガンが叫ばれ。「インターナショナル」の歌声が鳴り響いた。香港の同志たちはデモを呼びかけた団体などの中で活動を展開している。以下はデモ隊が香港政府に手渡した声明文である。(H)

20110130.JPG

「政官財の癒着を撃ち、車毀人亡〔社会の崩壊〕を阻止しよう」
デモの声明

原文 左翼21のブログより

今日、われわれが香港特区政府本部と大財閥にやって来た理由は、〔香港政府のナンバー2の〕政務長官である唐英年と香港特区政府および政府の保護下にある資本家に対して厳粛に次のことを告げるためである。「これは世代間の争いではなく、階級闘争なのだ!」と。

次期の特区行政長官の候補者として注目を浴びている唐英年は、青年と議論するとある会議において「車毀人亡〔全てを崩壊に導く〕」論(※)を展開し、「ポスト80世代」(80年代以降に生まれた青年)に対する宣戦布告を通じて、ごく一部の権力者によって構成されている特区行政長官選出委員会に対して媚びへつらった。われわれが今回のデモと署名活動を行った理由は、唐英年に代表される政府高官と一部の財閥などに対する強い不満を表明するためである。「われわれこそが全てを崩壊に導く世代だ」という声明を発して、その声明を支持する署名を呼びかけてからわずか10日で、インターネットと街頭で6500筆を超える署名を集めることに成功した。唐英年の「社会を崩壊に導く」論に対するこれらの抗議から、人びとが彼の言論および彼の在任中の施政に対する極度の反感を見て取ることができる。


唐英年が現在の社会矛盾を「ポスト80世代の頑固な独りよがり」に集約したことは、メディアのフレームアップを意図して、社会に蓄積されて久しい階級矛盾を青年とそれ以外の世代の矛盾に置き換えようとしたのだとわれわれは考えている。そしてこれは政府の不正義、そしてその政府と大財閥との複雑に絡み合った利害関係を粉飾するものである。実際、唐英年と香港特区政府はずっと資本家に奉仕してきた。相続税の廃止、ワイン税の撤廃、所得税と利得税の引き下げなど、その政策は上層社会の利益に偏っていた。

政官財が癒着した制度にある香港は、先進エコノミーのなかでも最も経済格差の深刻な地域になっている。大財閥の経営者の報酬は10%以上も引き上げられたにも関わらず、末端の労働者はわずか1~2%の賃上げがあればいいほうで、ひどい場合には賃金は上がらず、物価の上昇に追いついていない。金持ちは腹いっぱいに肥え太るが、庶民は空腹に喘いでいる。特区政府には逃れることのできない責任がある!

不動産業界が覇権を謳歌する香港では、恒基地産、新鴻基地産、新世界発展、信和置業、長江実業の五大不動産グループが合わせ持つ土地(利用権)は公的な機関の土地(利用権)の3倍に達している。土地供給不足などというニュースはでたらめもいいところで、実際にはこれらの不動産グループが莫大な土地を買い占めて、宅地用地への限定的な供給による価格引き上げを通じて暴利を貪っているのだ。こうして香港はマンションの価格が世界でも最も高い地域になっており、マンションの平均価格は一世帯あたりの平均収入の11.4倍に達している。特区政府は、公営住宅の建設を縮小しているだけでなく、こういった不動産企業による投機を容認し、保護していることはだれの目にも明らかである!

階級矛盾が深刻化する香港では、貧富の格差を示すジニ係数が、先進国地域で最高の0.434に達している。労働者と民衆を搾取し抑圧する不公正で不正義な社会制度に挑戦し、特区政府へのときの声を上げている青年の行動が、「頑固な独りよがり」であり「全てを崩壊に導く」と批判されたのである。実際にはその青年たちも苦境に喘いでいる一群である。2006年には18歳から22歳の青年労働者の収入は、すでに平均賃金の56%にまで下落しており、貧困ラインに迫る水準である。しかし青年たちは「不景気に不満を述べる」のではなく、困難な状況に自らが置かれているにもかかわらず、果敢に前へ進み権力者に対して社会の不公正を高らかに告発しているのである。われわれの抵抗の精神と行動に対して、特区政府は無視し、レッテルを貼ろうとしている。特区政府こそが「頑固な独りよがり」であり、つける薬すらないのである!

唐英年と特区政府は次のことを理解しなければならない。社会に深く刻み込まれた矛盾は決して世代間の問題なのではなく、それは階級間の問題なのだということを。香港の政治権力および経済的動脈すべてが書数の官僚と大財閥に独占されていることが「全てを崩壊に導く」の源泉なのである。「政官財の一体化」の現実を前に、われわれはそれに断固反対するだけでなく、われわれの要求とビジョンを提示することで、資本家に偏った社会構造こそが問題であるという事実を、民衆とメディアのなかに投げ返したいと考えている。非民主的な政治及び経済において、階級矛盾の出現は必然であり、この問題を解決するためには、当然にも政治と経済の民主化が必要になる。

我々の要求

1.政務長官の唐英年は、その任期中において労働者階層および庶民がこうむった搾取と抑圧に対して謝罪すること。なぜならその政策は貧者から奪い金持ちを肥え太らせるものであったからだ。特区政府は資本家に対する保護を即時やめるべきである。

2.特区政府は、階級権力の不平等及び社会矛盾を緩和するために、以下の五つの社会政策において、進歩的で公平な改革を進めること。

住宅:公共住宅の入居待ち期間を短縮し、公共住宅を増設すること。
税制:累進課税を導入し、ワイン税と相続税を復活させ、資産付加価値税を新設すること。
教育:少人数クラスを導入し、大学の入学枠を拡大し、大学教育諮問委員会を改革すること。
福祉:医療改革法案を撤回し、市民皆加入の年金保険を設立すること。
労働:団体交渉権を保障し、労働時間制限と最低賃金を毎年改定すること。

われわれは最後にときの声を上げる。「政官財の癒着構造を打倒し、平等な社会をつくろう!」

デモ行進発起団体
左翼21青年組/街工青年組/香港大学学生連盟/大専2012/青年聯社/職工盟社會事務委員會/社會民主連線青年部/社會主義行動

※「車毀人亡」論:香港返還前の1995年、香港返還に関する政策を担当していた中国政府の陳佐〔シ耳〕が提起した。英国支配下の香港政庁による福祉関連支出が過去最大に膨らんだことに対して、福祉財政を車に見立てて次のように批判した。「こんなにハイスピードで運転してたら、数年も経たないうちに、衝突事故を起こして乗っている人も亡くなってしまう(「車毀人亡」)。車に乗っているのは600万人もの香港市民なのだ」。

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