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 1959年に中国のチベット支配に対してチベット人民が蜂起した記念日にあたる3月10日以後、中国チベット自治区のラサで、チベット人住民による中国政府と共産党の支配に対する大規模な抗議行動が展開され、14日には暴動にまで拡大した。派出所、政府系機関のビル、銀行や学校、病院、中国人の経営する商店などが放火、破壊され、街頭での警官隊や軍との衝突も始まった。抗議行動はチベット自治区だけではなく甘粛省や四川省にまで広がっている。闘いの規模は天安門事件のあった1989年にチベットで起きた暴動以来の規模に達した。その時、戒厳令を敷いて弾圧したのは当時チベット自治区の党委員会書記であった現国家主席の胡錦濤だった。

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 中国当局の情報統制によりいまだ詳細な情報は不明であるが、軍・警察が戦車、装甲車を動員して暴動の弾圧に乗り出し、在インドのチベット亡命政府の発表によれば軍、警察の発砲などにより80人が殺されたとしている。他方、中国の新華社通信は「暴動」によって10人の市民が死亡したと発表している。

 中国政府は、今回のチベット人民の抗議闘争の拡大が「ダライ・ラマ14世派の策動によるもの」と非難する一方、厳重な報道管制を強化し、国際的な調査団の派遣をも拒否した。外国人観光客や中国人旅行者のチベットへの入境も禁じられ、チベットから退去する外国人のビデオ映像は消去され、カメラも没収されているという。中国当局はチベットの「反動分子」との「戦争」をも訴えている。これに対してダライ・ラマは中国政府によるチベットでの弾圧の拡大を「文化的虐殺」と非難している。

 今回の「暴動事件」の根本的原因は、中国政府と共産党によるチベット人民への自由と民主主義的権利の抑圧にある。軍事的・警察的弾圧、宗教的・文化的自由の圧殺、漢人資本による低賃金労働者としてのチベット人への超搾取と差別に対する批判と怒りが、中国共産党一党独裁支配への闘いとして一挙に噴出したのである。したがって問題は、民族的・文化的・宗教的なものであると同時に社会的なものである。

 いま、中国政府と中国共産党は、急速度の経済成長による矛盾の噴出と格差の拡大への不満・批判が大衆的な規模で広がることを何よりも恐れている。北京五輪の成功を支配の安定化のための至上命題とする中国政府と共産党の官僚は、労働者のストライキ闘争を抑え込み、新彊ウイグル自治区やチベット自治区の分離・独立運動を事前に弾圧するために躍起となっている。その一方で、北京五輪の成功ためにも国際的に問題が広がり、人権圧殺大国としての姿が前面化していくことを回避しなければならない。

 われわれはチベット民族の自決権を擁護し、中国政府と共産党による少数民族の権利への圧殺、人権破壊に抗議し、チベット人民の闘いに対する武力弾圧を糾弾する。中国政府はすべての情報を開示し、国際的調査団を受け入れよ。

 全世界で亡命チベット人を先頭にした中国政府への抗議の闘いが広がっている。チベット人民の自治と民主主義的・民族的権利のための運動に連帯しよう。(K)

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