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「日本マクドナルドに見るサラリーマン社会の崩壊 本日より『時間外・退職金』なし」

講師 田中幾太郎さん(ジャーナリスト)

 七月七日、アジア連帯講座は、文京シビックセンターで「日本マクドナルドに見るサラリーマン社会の崩壊 本日より『時間外・退職金』なし」というテーマで公開講座を行い、三十三人が参加した。
 




講師である田中幾太郎さん(ジャーナリスト)は、長年、日本マクドナルドの経営と労務政策、店長たちの労働実態、未払い残業代支払い裁判傍聴などをレポートし続けてきた。そのレポートをまとめたのが、光文社ペーパー・バックスから出版されている。そのタイトルが、今回の講座タイトルだ。日本マクドナルドを切り口に、新自由主義グローバリゼーションーと日本版ホワイトカラー・エグゼンプションをシャープに批判してる。

 講座開催にあたって司会の仲間は、「格差社会の問題がマスコミなどでも大きく取り上げられている。安倍政権が誕生した時、再チャレンジをキャッチフレーズにして掲げてスタートした。バブルが崩壊後、リストラが進行し、定年まで勤められるところを解雇されるという事態が深刻化した。さらに、この間は不安定雇用問題、正社員として雇用されずフリーターであったり、派遣であったり、不安定雇用が進行している。七・一に反貧困を掲げた集会が行われた。講座を通して、マクドナルドだけに限らず、日本の雇用が将来にわたってどのように変わっていくのか、そして労働者はどういう闘いを展望していく必要があるのかなど論議を深めていきたい」と呼びかけた。

 田中さんは、一、日本マクドナルド経営陣の変遷 二、高野店長の闘い 三、ホワイトカラー・エグゼンプションとは何か 四、定年制廃止の意図について問題提起した(講演要旨別掲)。

 田中さんの提起後、質疑応答を行った。参加者は、マクドナルドの反労働者に貫かれた労働管理、長時間労働の強制などへの批判が続いた。さらにサービス業、IT業で働く仲間たちから長時間労働、「過労死」寸前の労働実態や不当なサービス残業などが紹介され、あらためて現在進行している労働のあり方を浮き彫りにし、その改善を少しでも押し進めていくための意見が交わされた。(Y)


― 講演要旨 ―

 一、日本マクドナルド経営陣の変遷


 日本マクドナルドは、創業者藤田田(でん)のワンマン体制で一九七一年五月設立以来の約三十年間、おおよそ「藤田商店50%、アメリカ本社50%」という持ち株比率で推移してきた。藤田は、常々「アメリカに口出しはさせない」とか、「社員に日本で一番の高給を払う会社にしてみせる」と豪語してきた。そして二〇〇一年七月、ジャスダックに株式上場し、この株式公開を契機に藤田側の持ち株が市場に放出され、アメリカ本社側が完全な支配権を握った。だが、藤田家の力が弱まり米本社主導体制になっていった。

 二〇〇二年三月、副社長の八木康行が社長兼COO(最高執行責任者)に就任し、藤田田が社長から会長兼CEO(最高経営責任者)に就任する。米本社主導体制がさらに強化され、二〇〇三年藤田は引退に追い込まれた。本社からパット・ドナヒューが送り込まれた。売り上げ回復、人件費抑制、アメリカ主導を確立するための藤田色の一掃だった。
 
 さらに、アメリカ本社の意向により二〇〇四年二月にアップル日本法人の元社長・原田泳幸が入社、同年四月会長兼CEOに就任し、藤田時代に作られた従業員待遇に積極的に切り込んでいった。成果給の導入、店長の時間外手当を廃止した。しかし、新調理システム「メイドフォーユー」の導入による借入金増大、クーポン券乱発、百円マックによるコスト割高によって業績低迷が進行し、長年マクドナルドを支えてきたフランチャイズ店の多くのオーナーたちが悲鳴をあげていた。二〇〇五年十二月期では大幅減益だった。

 二、高野店長の闘い

 このような経営状況で、過酷な長時間労働にあった埼玉県北部の店で店長を務める高野廣志さんは、〇五年五月上旬、東京管理職ユニオンの組合に加盟した。過酷な労働環境のなかで過労死寸前まで追い込まれ組合に駆け込んだのだった。

 高野さんの一日は、午前四時過ぎに起床、五時に車で出勤、六時に店舗(自宅から約五〇キロ)に到着、六時半~十時まで時間帯責任者としてシフトに入る、十時~十二時の間にスウィングマネージャー(パートの時間帯責任者)がシフト(10~17時)に入り、休憩を2時間とる、十二時~十四時に店に入り、接客業務等、十四時~十七時が休憩。十七時~二十三時は時間帯責任者としてシフトに入る。二十三時~二十四時は売上確認等の閉店作業。二十五時が帰宅。

 これは二〇〇四年末から二〇〇五年上半期にかけての高野店長の平均的な一日のスケジュールだ。法定労働時間(1週40時間以内、1日8時間以内)を基に計算すると、この頃の高野さんの残業時間は、二〇〇四年十二月百三十六時間、〇五年一月八十八時間、二月百六時間、三月百五時間、四月百六時間にも及んだ。厚労省が過労死認定の目安とする百時間を、ほとんどの月が超えていた。このように成果給の導入で激務、激務の日々が続いていた。 

 東京管理職ユニオンは、二〇〇五年五月二十日、日本マクドナルドに団体交渉を申し入れ、六月三十日、第一回が開かれた。要求項目は、①職場環境の改善②店長に一切支払われてこなかった未払い残業代の清算③勤時間計算を三十分単位から一分単位に改め、過去に切り捨てられた未払い賃金の清算の三点だった。

 二〇〇五年八月に三十四億円に上る時間外未払賃金が発覚した。日本マクドナルドは、労働基準監督署からアルバイトや社員の勤務時間の算定について誤りを指摘されたと発表せざるをえなかった。

 日本マクドナルドはアメリカにならい、創業以来、一度も店長に残業代を払ったことがなかった。ところが会社の反論は、「店長は管理監督者だから残業代を支払う必要ない」という答弁だった。つまり、管理監督者は時間外手当が支給されないという「ホワイトカラー・エグゼンプション」の概念を持ち出してきた。

 高野さんは、毎日タイムカードに打刻し、定例の店長会議には出ていたが、本部の経営方針を決めるような会議に出席する機会はなかった。日本における過去の判例からすれば、高野さんが管理監督者に当たらないのは明らかであった。二〇〇五年十二月二十二日、高野さんは、同社に未払い残業代の支払いを求めて、東京地裁に提訴した。

 原告弁護人は、「日本マクドナルドの店長は、OM(オペレーション・マネージャー、店長監督の上司)、OC(オペレーション・コンサルタント、店長監督)の指揮監督のもとにあり、自ら店頭販売のシフトに入っている現場の労働者。経営者と一体と言えるような権限はとうてい、持ち合わせていないばかりか、現実には出退勤の自由裁量もなく、賃金面でもファーストアシスタントマネージャーより店長の方が低いケースもしばしば起きている。その地位にふさわしい待遇を受けているというには程遠い。被告(会社側)は、日本マクドナルドの店長は、『経営者店長』と呼ぶにふさわしい実質を備えていると主張するが、実態はまったくともなっていない」と述べている。

 二〇〇六年一月の第一回口頭弁論で、次回の期日を決める際、日本マクドナルドの代理人は、「米本社と打ち合わせをしなければならないので、二カ月半ほど時間がほしい」と主張。その後、ほぼ二カ月刻みで裁判期日が入れられていった。しかし、二カ月の間隔は、長すぎる。マクドナルドは何を狙っているのか。

 経団連は、二〇〇五年六月、労使間の合意があれば年収四百万円以上の労働者に残業代を払わなくてもいいとする日本版ホワイトカラー・エグゼンプションを提言していた。二〇〇七年の通常国会で「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」上程への流れが加速していた。

 マクドナルドは、日本版ホワイトカラー・エグゼンプション法の成立という、この流れを見ながら、意図的に裁判を遅らせていると考えざるをえない。要するにホワイトカラー・エグゼンプションが成立した場合、この裁判は以前から始まっているから、残業代を払わなくていいと決まった場合、他の店長に対して残業代を支払わなくていいと主張できるし、請求権、時効は二年だから、二年以前が消えるということでねらっているのではないか。

 三、ホワイトカラー・エグゼンプションとは何か

 ホワイトカラー・エグゼンプションは、もともとはアメリカの労働基準法で定められているものでホワイトカラーには残業代を払う必要がないというものだ。年収要件が主になっている。

 日経連が一番最初に出した案は、四百万円だった。ところが厚労省の分科会での法案審議では、中小企業などが入っている商工会議所が四百万円というラインに反対していた。今後どうなるか注意が必要だ。

 なぜこれを通さなければならないか、当然、人件費抑制だ。日経連では一九九〇年代半ばからホワイトカラー・エグゼンプション導入を主張していた。同時に、アメリカからも年次要望書で要求され、さらにアメリカの商工会議所も要求していた。要するに、自分たちの都合がいいように変えたいと主張だ。小泉時代に規制緩和路線で、米の要求を受入れ、より拡大していった。

 結局、ホワイトカラー・エグゼンプションは、安倍政権の支持率が落ちていくなかで、この一月に見送られることが決まった。しかし、参院選後、財界側が要望として出してくるのは間違いない。アメリカ側も要求してくる。復活する法案であることは間違いない。

 四、定年制廃止の意図

 日本マクドナルドは、昨年五月、いきなり六十歳定年制を廃止するというメールを各社員に送った。改正高年齢者雇用安定法に対応したものだ。改正法の1 定年年齢の引き上げ、2 継続雇用制度の導入、3 定年制廃止のなかから、いずれかを選択し、従業員を六十五歳まで雇用することを企業に義務づけたものだ。マクドナルドは、定年制の廃止を選択した。

 ところが日本マクドナルド規模の会社で、定年制を選ぶというところは、全くなかった。一番多かったのは、継続雇用制度の導入だった。

 マクドナルドの意図は、表向きは「いくつまで働いてもいいよ」と捉えられがちだが、実はその逆で「君は会社でいらないから、そろそろ辞めたら」というようなこととセットだ。そもそも日本マクドナルドの場合、六十歳に達する人は全くいないので、まだ影響が現れていない。

 マクドナルドは、退職一時金と企業年金の組合せにして、401Kの導入をめざしている。会社のメリットのほうが大きいと考えたほうがいい。この制度は、投資をして運用する形だ。銀行、生保などにまかせていくが、急に景気が悪くなり、株式が下がった場合、その被害損失は401Kの受け取り側である労働者側となってとしまう。日本マクドナルドは、間違いなく、この401Kを導入するのは間違いない。

 厚労省のホワイトカラー・エグゼンプション分科会の議論の時に、四百万以上の人に残業代を渡さないとしても、いちおう労使が納得したうえでという条件はつけられている。しかし、その労働者を代表するものは何か。労働組合があればいいのだが、例え労働者委員会なるものを作ったとしても、社員の意志を代表しているのかというとあいまいだ。

 現在の労使関係からすれば、使用者側の意志できめられていく傾向が強い。労働者の意志といっても、今の雇用情勢、雇用不安定の中で会社側と対等に交渉できるか疑問だ。

 じゃそこでどうするか。闘う労働組合を作ればいいんだということが結論ですが、そんなに簡単なことではない。ただマクドナルドの高野さんが立ち上がって、マクドナルドの様々な問題点が社会的に明らかとなり、多くの社員、同業者の労働者を励ましている。マクドナルドにおいて、労働組合も結成され、堂々と団交を取り組んでいる。マクドナルド当局は、団交に応じているが、その内容は希薄で不誠実団交に等しい。組合として、もっと強くなり、追い込んでいく力が求められている。どのようにしたらいいか、もっと皆さんとともに模索していきたい。(文責Y)

・インターネット新聞・JANJANにも田中講演会の報告が掲載されました。
サラリーマン社会の崩壊 日本マクドナルドに見る
http://www.janjan.jp/living/0707/0707138993/1.php

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