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12.8 温暖化に反対して世界80ヶ国以上で一斉行動-バリ


実効性なき「合意」に終わったバリ会議

 「地球温暖化防止の問題を話し合う」として国連がバリ島で開催した気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)は15日、2013年の「京都議定書」期限切れ以降の新たな温暖化ガス削減の枠組みについて、2009年末を交渉期限とすることなどで15日に合意した。会期を一日延長しての「合意」となったが、結局は相変わらず温暖化防止対策に背を向け続けるアメリカに妥協する形で、温室効果ガス削減の具体的数値目標を削除し盛り込まれないという、成果と実効性にまったく乏しい結果となった。

 12.8-プラハ

このかん「環境大国をめざす」などと称している日本政府は、アメリカとともに温室効果ガス削減の具体的数値目標の設定に頑強に反対したことは、もっと非難されていい事柄である。これは、ただ単に「アメリカ追随」政策の結果というだけでなく、「CO2排出権取引」の導入すら頑強に反対する財界・経団連の意向をも反映している。今回のバリ会議の結果について、東京電力の桝本晃章顧問は「環境と経済成長の両立が必要という現実を踏まえており、評価できる」などと述べている(12月16日付読売)。また、経団連の御手洗会長は「京都議定書のような不合理な規制が設定されれば、国際競争力の弱体化は避けられない」などと温暖化防止に敵対的な姿勢を示し続け、バリ会議の最中の10日に環境省との懇談会で鴨下環境相にあらためて「排出権取引」の導入に反対し、バリ会議において「安易な妥協をするな」と釘をさしている。

 「地球温暖化による破滅」が叫ばれ、実際にツバルなどの島々が消滅の危機にある昨今において、この遅々として進まない政府間レベルにおける温暖化対策の「実効性なき協議」は、結局「資本家・大企業の代理人」たちに問題を解決する意思などないことを示している。そもそも、軍事・戦争の問題がまったく議題にものぼらない「温暖化対策の会議」という時点で、重大な限界をかかえていると言わざるを得ない。私たちは、この地球と私たち自身の運命を政府・権力者に委ねるのではなく、「実効性ある取り組み」の政府への要求、社会システムのエコロジー的変革のオルタナティヴ提起と運動を通じて、反温暖化の闘いをさらに広げていかなければならない。

 12.8-ロンドン 政府・米大使館への抗議として行われた


12.8-バンクーバー


あらゆる「温暖化対策」の欺まんを打ち破ろう

 ・バリ会議の最中の10日、「エコ・ビジネスのセールスマン」のトップ・バッター=アル・ゴア前米国副大統領がノーベル平和賞を受賞した。この「温暖化防止の火急の対策を」と訴える人物は、決しておなじ発電量で海上風力発電の8倍のCO2を排出する原子力発電を否定したことはないのである。また、クリントン政権時代にイラクに対して度重なる空爆とミサイル攻撃を行い、父ブッシュの第一次湾岸戦争とともに現ブッシュ政権のイラク侵略の基底を形成した責任者の一人である。ノーベル平和賞にまったくふさわしい受賞者として、ゴアの受賞を祝ってやろうではないか。

 ・12月5日付読売新聞では、「米ミシガン州立大の研究者」が、「離婚が温暖化を促進し、離婚の影響で増えた米国内の電力消費は、原子力発電所6基分である」と発表したことを伝えている。どれだけ根拠のある数字なのか定かではないが、世帯が増えれば電力消費・CO2排出が増加するのは当然である。ならば、この「研究者」たちは、ブッシュ政権が否定する同性愛者婚を提言するかと思えば、そんなことはしない。結局は、ブッシュ政権の意を汲んで、地球温暖化の責任を企業や国家でなく、民衆の責任に帰そうとする妄論である。また、「エコロジー」が、このようなキリスト教右派・原理主義的な「家族主義」などの反動的イデオロギーに回収されうる危険を示しているとも言えるだろう。この「研究者」たちには、ぜひイラク戦争における、開戦から現在までの戦闘・破壊・輸送・訓練によって発生したCO2排出量を調べてほしいものだ。

 ・現在、「日本はオイルショック以降、企業は省エネを推進してきたからCO2削減幅が小さい」などと、まことしやかに主張されている。しかし、一例を挙げれば、70年代以降の鉄道貨物輸送からトラック輸送への転換がどれだけ余分なCO2排出をもたらしているだろうか。あるいは、大工場用の発電も石炭からバイオ燃料への転換が図られているが、しかし実際には、トウモロコシ原料のエタノール生産には、大量の化石燃料が使われ、生産過程で投入する化石燃料に比べ、差し引きせいぜい10~20%の削減率にしかならないのである。その一方で、食物生産のための畑を圧迫するのが、バイオ燃料なのである。日本の大企業の「CO2排出対策」とは、「自分の工場で排出しなければよい」というレベルのものにすぎない。

 ・現在一つのトピックとして取りざたされている「CO2排出量取引」は、いまのところ経団連など産業界は「官僚統制を招く」として頑強に反対している。「CO2排出量取引」とは、政府から各企業に割り当たられた「CO2排出上限」を例えば70%に抑えた場合、残りの30%を「排出できる権利」として売買することができる、とする制度である。現在金融界などは、「新たなビジネスチャンス」として、導入に積極的である。また、「排出を抑えれば抑えるほど金になる資本主義市場原理とエコロジーを両立させる制度」などと主張する本も登場し、売れているようだ。

 しかし、今回のバリ会議でEU諸国が主張したのは、「買った側(第三世界)の排出権管理を世界銀行に委ねる」というものである。IMF(国際通貨基金)の下部組織として、その国の産業・農業のあり方を無視して数々の構造調整プログラムによって各国の環境破壊を促進してきた世界銀行に、そのようなプロジェクトを委ねるとはナンセンス極まりないとしか言いようがない。それはこれまでのIMF/世銀の手法そのままに、第三世界に対する「排出権」の押し売りや購入した「排出権」を盾に現地の実情に合わないプロジェクトを押し付けるなどの第三世界諸国の経済・社会への介入の口実となり、貧困国の「新たな債務」として民衆の生活を圧迫する危険すらあるだろう。

 まだシステムとして確立されていない「排出権取引」を現時点において頭から否定はしないとしても、現在の産業・世界システムをそのままにした上での「ビジネスとしての取引」にCO2排出削減の実効性はありえないだろう。結局は、国家と大企業による取引を誰が監視し、誰が管理するのか、という問題であり、民衆のイニシアティヴと介入によってのみ、「経済とエコロジーの両立」を可能とするだろう。

 12.8-ブリュッセル


●電力会社の国有化とエネルギー供給の労働者・民衆による社会的管理を

 この温室効果ガス=CO2排出による地球温暖化の対策が焦眉の世界的課題となっている現在、電力会社のような生活に不可欠な独占企業が「電気を使わせよう使わせようとする営利企業」であることは、もはや馴染まないだろう。東京電力のホームページを見ると「でんことはじめる省エネ・省CO2」などというコーナーとともに、オール電化住宅の広告と原子力プルサーマル計画の宣伝が掲載されているというムチャクチャさである。その一方で、東電役員の退職金に、億単位の金額を払っているのである。あるいは、東京電力などの独占電力企業は、地方自治体や地域で運営する水力・風力などのクリーンエネルギーを安価でしか買い取らないことで、そのクリーンエネルギー発電の運営を脅かし、火力・原子力重視のエネルギー政策からクリーンエネルギーへの転換を妨げているのである(あらゆる発電は電力会社が買い取ることを通じて社会に供給されるのである)。

 私たちは、このような地球環境の危機意識に乏しく、営利企業として利益をむさぼる東京電力などの独占電力企業の国有化を要求する。そして、その労働者管理と市民との提携による「社会的管理」のプロジェクトによって大企業の消費電力量の制限と社会への計画的供給の実現をオルタナティヴとして提示し、実現していかなければならないだろう。これは「社会主義派による社会主義のためのスローガン」などではなく、真に実効性のあるCO2排出抑制対策の第一歩の施策である。現在各地で起こっている電力会社に対するクリーンエネルギーの買取の増額要求の運動や反-脱原発の闘いなどと結びつきながら、「CO2排出抑制政策」の転換を実現していかなければならない。このような社会システムの根底的な変革なくして、新自由主義=大企業のやりたい放題によって破滅に向かう地球を救うことなど出来ないのである。

 2008年の洞爺湖G8サミットでも、「温暖化対策」は大きな課題として取り上げられるだろう。しかし、「資本家・大企業の代理人」に、解決する意思も能力もない。そして、反戦・反基地などの社会運動と結びつけてG8の「温暖化対策」の欺まんを暴き、左派こそが「より正しいエコロジー・スローガン」を提示して、その実現に向けた闘いを繰り広げていかなければならない。(F)

【反温暖化アクションのページ】

【オーストラリア】地球温暖化に反対して全国60ヶ所で15万人が同時行動

【イギリス】飛行機のCO2排出対策を求めてヒースロー空港で直接行動

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