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10月11日、死刑廃止世界連盟(WCADP)が定めた10月10日の「世界死刑廃止デー」の企画として、今年六回目となる「世界死刑廃止デー集会」が「響かせあおう 死刑廃止の声2008 死刑囚からあなたへ」と銘打たれて開催された。主催は「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90」。
まず、死刑制度の廃止のために国際的に活動している田鎖麻衣子弁護士から、「日本の死刑執行状況と世界の取り組み」について、報告がなされた。田鎖さんは、昨年12月に国連総会で全世界の死刑存置国に死刑執行の即時停止を求める決議が賛成104カ国・反対54カ国で採択されたことに触れ、「日本政府は、ミャンマー政府やサウジ政府などとともに国連決議に対する'口上書'を提出して、決議そのものに抗議した。アメリカ政府ですら'口上書'には同調しなかったが、この日本政府の動きは、世界では『独裁国家と手を取り合う日本』と報道されている」ことを紹介した。
また、今年5月の国連人権理事会では、日本の人権状況全般についての審査が行なわれ、世界から「日本の死刑制度と執行数」が世界の大変な注目の的であることを実感した、と語り、「この10月の15、16日に日本政府の報告書の審査が行なわれる。注目してほしい。そして、今年は、昨年よりさらに強い調子で死刑廃止を求める国連決議を実現させよう」と訴えた。
多様な表現で新宿をデモ
次に、衆議院議員の保阪展人さんのメッセージが紹介された。「日本はとうとう大量執行の時代を迎えてしまった。この流れをどう食い止めるか、やはり選挙での意思表示は重要だ。選挙で国会を動かし、法務省を動かしましょう!」
第二部では、死刑囚から募った絵画やイラスト、俳句、文学作品がスライドを使って紹介された。これは死刑囚の名前をその作品とともに世に紹介することで、少しでも死刑執行の抑止となれば、という意図も含めて企画されているものだが、この一年で応募者の死刑囚数人の死刑が執行されたという。評者の川村湊さんは「そんなことをしても無駄だという法務省の威嚇として死刑が執行されたのではないか」と語った。
第三部では、現在の105人の死刑囚全員に福島瑞穂議員を通じてアンケートを送り、返答のあった50人以上全員のメッセージを紹介した。なかには、「私に死刑判決を下したということは、政府は私に『反省する必要はない』としたこととおなじだ。だから私は被害者に謝罪の念を持ったり、反省することをやめたのだ」というものや、「生きて謝罪することを止められたら、死を迎えるまでにどう生きたらいいのか…」というメッセージもあった。また、私たち想像以上に冤罪あるいは部分冤罪を主張する死刑囚が多いこともあきらかにされた。この集会では、「連合赤軍事件」の永田洋子死刑囚が、適切な治療を受けられないままに病魔が悪化し、現在危篤状態に陥り、家族が拘置所に向かったこともあきらかにされた。
そして、数年前には、足が不自由で車椅子で生活していた死刑囚をあらかじめ開いている穴に刑務官が放り込むという死刑執行方法がなされていたことも紹介された。残虐な処刑方法で虐殺された死刑囚の恐怖と無念とともに、そのような執行を強いられた刑務官たちの精神的苦痛は計り知れない。
集会はこのように一貫して、「一人の人間としての死刑囚」の姿を少しでも知ってもらおうという趣旨で行なわれた。300人収容の会場に、立ち見が出る盛況で集会は成功した。集会は最後に「フランスで死刑が廃止された1981年の段階でも、存置支持派は世論の60%以上だった。死刑廃止は喧々諤々の国会内外の大論争で決められ、廃止への道は決して平坦ではなかった。希望をもって粘り強く死刑廃止への道を歩もう」という司会者の言葉で閉会した。
集会後は、新宿中央公園に場所を移して、アムネスティ・インターナショナル日本呼びかけのデモが行なわれた。デモは130人ほどの参加で、キャンドル・ペンライトを灯し、死刑制度の即時廃止を求めるプラカードを掲げて、夕刻の新宿駅周辺で「世界の死刑を廃止しよう!」と訴えた。