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月三日、午前中降り続いた雨もようやくやんだ東京・日比谷公会堂で「二〇〇八年5・3憲法集会」が開催された。二〇〇一年の小泉内閣発足直後に、共産党・社民党両党の党首が参加する超党派の「憲法集会」が開催されて以後八回目となる今年の集会も、開場の一時間前から参加者が列をなしている。開場からしばらくすると席が埋まり、公会堂に入れきれない人びとは場外のスクリーンで集会を見ることになった。参加者は四千三百人と発表された。 




今年の憲法集会は昨年とは大いに様相を異にしている。昨年は「五年以内の憲法改正を」と打ち上げた安倍内閣の下で、改憲国民投票法が制定されるきわめて緊迫した局面の中での集会だった。しかし、「戦後レジームからの脱却」という合言葉で改憲に向けて暴走した安倍政権は七月の参院選で大敗して政権を投げ出してしまい、後を継いだ福田内閣は安倍内閣のように「改憲」を前面に掲げることはできなくなった。 

一九九〇年代以後、改憲キャンペーンを主導してきた「読売新聞」の調査では、一九九三年以来ついに十五年ぶりに「改憲」反対が賛成を上回る結果となった。九条だけを取り上げれば、「改正」反対が六〇%台を超えて、賛成論をダブルスコアで上回っている。さらに四月十七日の自衛隊イラク派兵違憲判決が、前日の五月二日に確定してしまったことは、改憲派にとって大きな打撃である。 

しかしその一方で、福田政権は新テロ特措法を「衆院再議決」というやり方で強行成立させて自衛隊をインド洋・アラビア海に派兵し、さらに事実上の「九条明文改憲」にほかならない派兵恒久法の制定をもくろんでいる。また改憲派の領袖である中曾根康弘元首相を会長とする「新憲法制定議員同盟」が、民主党の鳩山由紀夫幹事長を顧問、前原誠司前代表を副会長に組み込んだ新体制の下で、「自民・民主」による改憲連合での「憲法審査会」の始動と、九条の会に対抗する「改憲運動」の地域的拠点形成に乗り出していることに注意しなければならない。

午後一時半から始まった集会では、まず主催者を代表して女性の憲法年連絡会の堀江ゆりさんが、上記のような憲法をめぐる情勢についてあいさつした後、スピーチに移る。 

音楽評論家の湯川れい子さんは「九条が守れなければ日本にはなに一つ誇れるものはなくなってしまう」と訴えた。湯川さんはフィリピンで戦死した兄が、出征の直前までジャズのレコードのジャケットを描いていた思い出を話しながら、「健康は健康なうちでないと守れないように、平和は平和なうちでないと守れない。生き残るためには刀のつかに手をつけてはならない」と語りかけた。 

元米陸軍大佐・外交官で、ブッシュ政権のイラク侵略に抗議して辞任し、米国の女性平和団体「コード・ピンク」の中心として反戦運動に取り組んでいるアン・ライトさんは「アメリカ人はアメリカの憲法を守らなければならないし、日本人は日本の憲法を守らなければならない。ブッシュ大統領はアメリカの憲法に違反している。米国は日本政府にイラク戦争への協力を強制したが、ぜひ皆さんは、日本政府に米国の戦争に協力しないよう働きかけてほしい。米国は武器を作り、売り、広島・長崎に原爆を投下した。私は日本の皆さんに心からお詫びしたい。武器を作るな、売るな!の声を上げよう。戦争をしないモデルとなるのが日本国憲法だ」と呼びかけた。
 
次に、広島を二月二十四日に出発し、五月四日から「9条世界会議」が開催される千葉の幕張まで歩く「9条ピースウォーク」の人びとが壇上に上がり、「9条を世界に発信する」思いを一言ずつ語った。
 
休憩をはさんで社会民主党の福島みずほ党首と日本共産党の志位和夫委員長のスピーチ。
福島さんは「働く人びとの二五%、働く女性の五七%が年収二百万円以下」という貧困の深まり、「正社員は死ぬほどこき使われ、非正規は低賃金でとことん搾り取られる」雇用の悪化、「後期高齢者医療制度」に示される福祉切り捨てを批判するとともに、憲法一三条の「幸福追求権」を掲げて「憲法をもとに政治を変えよう」と述べた。そして名古屋高裁での自衛隊イラク派兵違憲判決について「司法から政府・国民にボールが投げかけられたと見るべきだ」と指摘し、「恒久的派兵法の息の根を止めよう」と語った。 

志位さんは「読売世論調査や名古屋高裁判決に示される憲法状況の前向きの変化は、七千を超えた九条の会などに表現される草の根の運動の力がもたらしたもの」と述べた。そして名古屋高裁判決が打ち出した「平和的生存権の具体的権利性」や、三十もの条文に裏打ちされた人権条項を活用し、「人間らしく働けるためのルールづくり」「労働者が生きるに値する生活をおくる権利」に基づいた「攻めの闘い」、すなわち憲法を使い、生かす攻勢的な運動を広げよう、と強調した。 

最後に子どもパレードに参加する子どもたちが壇上に並び「歩こうみんな共に、今、平和めざして。歩こうみんな共に、さあ、未来しんじて」と参加者全員が歌った。
「集会宣言」採択の後、銀座パレードに出発。途中、例年のように沿道で右翼が口汚く挑発したが、元気良く「憲法改悪反対」を道行く人に訴えながら東京駅まで行進した。

(K)

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