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 5月31日、トルコからパレスチナのガザに向けて、イスラエルの不法な封鎖による「人道的危機」に直面している住民への支援物資を届けるために公海上を航行していた「自由ガザ船団」にイスラエル軍の特殊部隊が、空と海上から襲撃した。イスラエル軍は乗り込んだ船上で実弾を発射し、非武装の支援活動家九人を射殺し、多くの人々を負傷させるという許すことのできない暴挙を行った。



 イスラエル政府と軍は「支援活動家たちがナイフなどで襲いかかったため、正当防衛だ」などと誰も信じるはずのないウソをまき散らしている。イスラエルは拿捕したガザ支援船をイスラエルの港に連行し、乗船していた支援活動家たちを拘束した上で「不法入国」のかどで「国外追放」した。公海上を航行していた船舶に襲いかかって殺人を犯し、強制連行した上で「不法入国」だなどというのは、「盗人たけだけしい」と言うしかない。

 ガザは2007年以来、イスラエルの完全封鎖により住民の生活は困窮の極みに陥っている。そのガザに2008年12月から2009年1月にかけたイスラエルが激しい空爆を連日繰り返し、千数百人の人々が殺され、市街は完全に破壊された。封鎖に加えたこの破壊によって住民の窮状はさらに絶望的なものになっている。瓦礫の山の片づけも進まず、復興は全くおぼつかない。

 イスラエルのこうした封鎖は、市民への「集団的懲罰」を禁じたジュネーブ協定違反であり、ガザ侵攻が「戦争犯罪」「人道に対する罪」であることは国連人権理事会が設立した「独立調査団」報告(ゴールドストーン報告)によっても確認されている。昨年11月の国連総会は同報告と勧告を承認、安保理に提起することを決議しているのだ。

 その上に今回の暴挙である。全世界でイスラエルに抗議する闘いが巻き起こっている。東京でも6月1日から連日のようにイスラエル大使館への抗議が続いている。

 6月6日、別の支援船「レイチェル・コリー号」がイスラエル当局によって公海上で拿捕された。この日、首都圏でパレスチナ連帯運動や反戦・反基地運動に取り組んでいる人々が緊急のイスラエル大使館抗議運動を呼びかけた。午後二時から始まった大使館前抗議行動には、八十人以上が参加した。

 新しい反安保行動をつくる実行委員会の国富建治さんは、「イスラエルの暴挙に抗議し占領、ガザ封鎖、入植地の拡大などをやめさるとともに、イスラエルの戦争犯罪・『人道に対する罪』を放置し、事実上イスラエルを免罪している日本政府のあり方を変えさせる必要がある。米国の意向に沿った『普天間』問題の対応と米国・イスラエルに『配慮』した国連での非難決議への棄権は、表裏一体の関係にある」と指摘した。

 「ミーダーン:パレスチナ・対話のための広場」の岡田剛士さんは「他国の領土での戦争」を「国防」の原則としているイスラエル国家のあり方を紹介しつつ、日本の中東問題への対処のあり方を厳しく批判した。パレスチナ支援のNGOで活動している北林岳彦さんもパレスチナ被占領地の状況とイスラエルによる人権侵害を報告、「核とミサイル防衛にNOキャンペーン」の杉原浩司さんは「無印良品」のイスラエル進出など、イスラエルに協力する企業への抗議・ボイコットを呼びかけた。

 「SHAME ON YOU(恥をしれ)」という独自のバナーを掲げた在日アラブ人も発言。さらに「国連こどもの権利条約」運動に取り組んでいる人が平和の歌を披露し、「桃色ゲリラ」の増山麗奈さんは、イスラエルのブルドーザーに轢き殺されたレイチェル・コリーさんについての絵本を書いていたことを紹介した。



 その間、イスラエル大使館に向けて日本語、英語、アラビア語、ヘブライ語で「占領やめろ」「封鎖をやめろ」「入植やめろ」「人種差別やめろ」などのシュプレヒコールを繰り返した。イスラエル大使館の屋上では大使館員とおぼしき男がカメラを構えていたが、すぐに姿を消してしまった。

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 最後に「まずは即刻、無条件にガザ封鎖を解いて下さい。東エルサレムでの入植地の建設を凍結し、パレスチナ人の土地収用と家屋破壊、国外追放を止めてください。そしてヨルダン川西岸地区全域にわたる分離壁を撤去してください。占領続行をあきらめ、中東地域の隣人と共存する道を、本気で模索して下さい」と求めるイスラエル大使宛の要請書を送り届けることを確認した。

(K)

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