アジア連帯講座のBLOGです
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「ごめんで」で済むなら警察はいらない
柳原浩 編 桂書房(1300円+税)
http://www.katsurabook.com/tablecloth/books-new.html
富山えん罪事件 この犯罪の責任は、いったい誰が、どのように取るのか
本書は、「時間を返せ!人生を返してくれ!」と訴える富山えん罪国賠原告の柳原浩さんと支える会の協働作業で誕生した。権力犯罪を糾弾し、国家賠償請求裁判闘争勝利にむけた決意宣言書である。柳原さんは、二つの強かん事件の犯人だとでっち上げられ裁判後、刑務所に下獄。出所してから真犯人が逮捕され、富山県警と地検が「誤認」逮捕を認め、柳原さんが再審で無罪となった。裁判員制度の実施強行直前においてあらためてえん罪事件の問題を浮き彫りにした。
富山えん罪事件の経過は次のように展開をたどった。2002年1月14日、氷見市で強かん事件が発生(第一事件)。続いて3月13日に強かん未遂事件が発生した(第二事件)。県警と氷見警察署は、犯人の似顔絵と柳原さんが似ていると「断定」、逮捕状なしで勤務先で身柄拘束し、夜遅くまで取調べを強行(4月8日、午前9時から午後11時)した。柳原さんは身に覚えが全くなかったため否定し続けた。2回目(9日)も苛酷な取り調べが行われた。長時間にわたる脅迫、いやがらせ、騙し、誘導などの人権無視を繰り返した。
取調べの刑事は、県警本部刑事部捜査第一係長・長能善揚。3回目の取調べ=拷問の中で長能は、亡くなった柳原さんの母親の写真を見せながら「写真を見て、オマエは、やっていないと言えるのか」(本書の「いきなり警察が来た」から 柳原浩/聞き手・鎌田慧〈ルポライター〉)と何度も大声で脅迫し続けた。柳原さんは、極限的な身体精神状況の中で「写真を見ているうちに、くやしくてくやしくて、たまらない気持になり、一言『ハイ』と言うと逮捕状を持ってきて逮捕」となった。そして、5月5日、第二事件は証拠不十分でいったん釈放されるが、警察の敷地内で第一事件で再逮捕される。
柳原さんは、「怖いというのが頭に残っているものですから、何を言ってももうだめだという感じもあったので、『はい』といったら、そのまま既遂と未遂も、両方の容疑で逮捕です」「敷地から出ないうちに取調室に戻されてから、もう地獄に突き落とされた気分でした」と怒りに満ちた回想を行っている。
富山地検高岡支部は第一、二事件とも起訴した。起訴検事は松井英輔。富山地裁で公判が始まり、11月27日、懲役三年の実刑判決。その後、「『自分自身も悪いことをしたから刑務所に行かなければいけない』と思い込ませて、自分自身を殺して行くんです」と述べ、服役の悔しさを我慢しながら福井刑務所に下獄する。05年1月13日、仮出所。7月19日に実家に戻る。
ところが強制わいせつ事件で鳥取県警に逮捕(06年8月1日)された松江市の真犯人O被告が11月、二事件を自供する。07年1月19日、富山県警と富山地検が誤認」逮捕を公表。富山地検高岡支部は同年2月、柳原さんの無罪を確定させるため、再審を請求した。10月10日、再審では無罪判決を言い渡した。
「あんたが『自白』したから警察が間違えてしまった」
警察庁、検察庁は、自らのミスを認めて検証結果を明らかにした。しかし、なぜ捜査や起訴を間違えたのかの原因をえぐり出すものとは、ほど遠いものだった。そもそも「誤認」逮捕と称しているが、事件日時に柳原さんは自宅の固定電話から電話をしていた。アリバイは成立していたのであった。しかし警察はその電話記録を入手していたにもかかわらず、隠蔽し続け、柳原さんを犯人にでっち上げるために荒唐無稽なストーリーを練り上げ、強引に認めさせたのであった。権力犯罪であることは明白であり、富山県警と地検は、全情報を開示し、社会的に検証されなければならない。
警察は自己の犯罪をいまだに直視できない現れとして、柳原さんとある県警幹部と会った時、その幹部は「うちも悪かったが、あんたも悪い」などと暴言を吐いていた。
つまり、「あんたが『自白』したから警察が間違えてしまった」と言いたいのが本音なのだろう。
えん罪事件を成立させていく弁護人の役割も厳しく批判している。国選弁護人は、柳原さんが犯人だという前提で「被害者のところにお金を払えば執行猶予がつきますよ」などと接見で言い出してくる始末だ。親族が柳原さんの承諾なしで被害者に示談金を払ってしまうとともに弁護士は、「もうお金も払ったから、大体いい方向に行くから、裁判官から何をいわれても認める方向でいきなさいと。決して裁判官に対して否認しないほうがいいですよという感じなんです」と権力犯罪に加担していく有り様が柳原さんの証言によって描き出されている。
富山国賠を支える会
このように本書は、柳原証言によってえん罪を作り出す裁判所・検察・警察・マスコミ・弁護士の役割が見事に再現されている。また、代用監獄の廃止や取り調べの可視化の必要性を訴えている。富山えん罪国賠裁判は、富山県警、地検による違法捜査の全容を解明し、えん罪の原因を究明していく闘いだ。すでに富山国賠を支える会が発足し、09年5月14日、147人の代理人弁護団により、富山地裁に国賠提訴し、裁判闘
争が果敢に取り組まれている。支える会は、「柳原さんにかけられたえん罪被害を人ごととはせずに、二度とこうした不当な権力行使が起きないよう、多くの市民が支援の環を拡げ、行動してくださるよう」にと呼びかけている。支援・連帯していこう。
(Y)
●富山国賠を支える会
http://toyamakokubai.googlepages.com/home
取調べの刑事は、県警本部刑事部捜査第一係長・長能善揚。3回目の取調べ=拷問の中で長能は、亡くなった柳原さんの母親の写真を見せながら「写真を見て、オマエは、やっていないと言えるのか」(本書の「いきなり警察が来た」から 柳原浩/聞き手・鎌田慧〈ルポライター〉)と何度も大声で脅迫し続けた。柳原さんは、極限的な身体精神状況の中で「写真を見ているうちに、くやしくてくやしくて、たまらない気持になり、一言『ハイ』と言うと逮捕状を持ってきて逮捕」となった。そして、5月5日、第二事件は証拠不十分でいったん釈放されるが、警察の敷地内で第一事件で再逮捕される。
柳原さんは、「怖いというのが頭に残っているものですから、何を言ってももうだめだという感じもあったので、『はい』といったら、そのまま既遂と未遂も、両方の容疑で逮捕です」「敷地から出ないうちに取調室に戻されてから、もう地獄に突き落とされた気分でした」と怒りに満ちた回想を行っている。
富山地検高岡支部は第一、二事件とも起訴した。起訴検事は松井英輔。富山地裁で公判が始まり、11月27日、懲役三年の実刑判決。その後、「『自分自身も悪いことをしたから刑務所に行かなければいけない』と思い込ませて、自分自身を殺して行くんです」と述べ、服役の悔しさを我慢しながら福井刑務所に下獄する。05年1月13日、仮出所。7月19日に実家に戻る。
ところが強制わいせつ事件で鳥取県警に逮捕(06年8月1日)された松江市の真犯人O被告が11月、二事件を自供する。07年1月19日、富山県警と富山地検が誤認」逮捕を公表。富山地検高岡支部は同年2月、柳原さんの無罪を確定させるため、再審を請求した。10月10日、再審では無罪判決を言い渡した。
「あんたが『自白』したから警察が間違えてしまった」
警察庁、検察庁は、自らのミスを認めて検証結果を明らかにした。しかし、なぜ捜査や起訴を間違えたのかの原因をえぐり出すものとは、ほど遠いものだった。そもそも「誤認」逮捕と称しているが、事件日時に柳原さんは自宅の固定電話から電話をしていた。アリバイは成立していたのであった。しかし警察はその電話記録を入手していたにもかかわらず、隠蔽し続け、柳原さんを犯人にでっち上げるために荒唐無稽なストーリーを練り上げ、強引に認めさせたのであった。権力犯罪であることは明白であり、富山県警と地検は、全情報を開示し、社会的に検証されなければならない。
警察は自己の犯罪をいまだに直視できない現れとして、柳原さんとある県警幹部と会った時、その幹部は「うちも悪かったが、あんたも悪い」などと暴言を吐いていた。
つまり、「あんたが『自白』したから警察が間違えてしまった」と言いたいのが本音なのだろう。
えん罪事件を成立させていく弁護人の役割も厳しく批判している。国選弁護人は、柳原さんが犯人だという前提で「被害者のところにお金を払えば執行猶予がつきますよ」などと接見で言い出してくる始末だ。親族が柳原さんの承諾なしで被害者に示談金を払ってしまうとともに弁護士は、「もうお金も払ったから、大体いい方向に行くから、裁判官から何をいわれても認める方向でいきなさいと。決して裁判官に対して否認しないほうがいいですよという感じなんです」と権力犯罪に加担していく有り様が柳原さんの証言によって描き出されている。
富山国賠を支える会
このように本書は、柳原証言によってえん罪を作り出す裁判所・検察・警察・マスコミ・弁護士の役割が見事に再現されている。また、代用監獄の廃止や取り調べの可視化の必要性を訴えている。富山えん罪国賠裁判は、富山県警、地検による違法捜査の全容を解明し、えん罪の原因を究明していく闘いだ。すでに富山国賠を支える会が発足し、09年5月14日、147人の代理人弁護団により、富山地裁に国賠提訴し、裁判闘
争が果敢に取り組まれている。支える会は、「柳原さんにかけられたえん罪被害を人ごととはせずに、二度とこうした不当な権力行使が起きないよう、多くの市民が支援の環を拡げ、行動してくださるよう」にと呼びかけている。支援・連帯していこう。
(Y)
●富山国賠を支える会
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