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山口地裁岩国支部(大島雅弘裁判官)は、今年1月18日に中国電力(中電)による山口県上関町祝島の原発の建設強行に反対する住民団体「上関原発を建てさせない祝島島民の会」に対する「工事妨害の差し止め」を求めた訴えに関して、「島民の会」会員ら39人に工事の妨害行為を禁じる決定を下した。そして地裁は3月31日、その決定に対する住民の異議申し立てを却下して、もし一人でも「妨害」した場合は「連帯責任」として1日当たり500万円の支払いを命じる決定を出した。

これは「法」を絶対化して、「罰金攻撃」によって民衆の「抵抗権」を根こそぎ奪う暴挙であり、私たちは絶対に許すことはできない。


▲中電の説明会を実力で阻止(3月23日)

そもそも、議会で決められたことや既存の「法」が「絶対」とする考え方自体が反民主主義的な発想である。どこかの地域に原発や空港などの「迷惑施設」の建設が目論まれたとして、その地域の圧倒的多数派が、その施設の被害をこうむる可能性が高い当該住民を差し置いて建設を「議会を通じて」(大抵の場合は住民は議論から疎外されたままに秘密裏に建設計画がすすむものだ)一方的に決めてしまうなどということは、いくらでも起きうるし、「ナリタ」をはじめ全国各地で現実に起きてきたことだ。

「公益性」を盾にし、利益誘導で「多数派」が形成されているなかで、小さな地域の意見を無視して「迷惑施設」の建設を強行しようとするならば、住民は実力を持って抵抗する以外にないではないか。住民運動が「実力闘争」という形態をとらざるを得なくなるほとんどのケースは、そのような政府や大企業が住民の声を無視した結果によって起こっているといっても過言ではないだろう。

言うまでもなく、「法」と「民主主義」はイコールではない。事故が起きれば万単位の死者と被曝者を生み出し、最悪の場合は人類の未来を閉ざしかねない原発を建設するという犯罪性に対して、それを阻止しようとするものに対する「威力業務妨害」や「道交法違反」がより罪が重いというような法概念そのものを問い返さなければならない。

ドイツではしばしばネオナチのデモが民衆によって包囲されて実力で粉砕される。それは「ネオナチという犯罪集団が人種差別を撒き散らす"ヘイトデモ"への抗議行動が道交法などに阻害されて"ヘイト犯罪者集団"が保護される方が間違っている」というコンセンサスが広く社会に形成されているからだと言えるだろう。

たとえば、1999年2月に停泊していた英海軍のトライデント原潜に二人の女性が泳ぎ着き、原潜のレーダー装置を破壊した「事件」の裁判は2001年10月に不一致陪審となり実質無罪となっている。あるいは2003年2月、アイルランド,シャノン空港でアメリカのイラク侵略に使われることを防ぐために5人が米機を破壊した「事件」の裁判でも、2006年7月に無罪評決が下されている。

これらの判決は、1981年に開始されたイギリス・グリーナムコモンの核ミサイル基地反対運動で非暴力直接行動で闘った女性たちによって提起された「戦争と軍隊の暴力性と違法性に対する抵抗の正当性」が、司法判断にまで影響を及ぼすに至った結果でもあるだろう。

すなわち、「どんな種類の核兵器であろうとそれを使用したり、威嚇することは人類に対する犯罪行為であり、全く不道徳なことである」あるいは「核ミサイル配備は国民一般の議論なくして秘密裏になされたものであり、市民にはそれを除去あるいは被武器化する権利がある」という提起が、広く民衆的なコンセンサスを獲得し、「破壊的で違法な軍事施設」や「イラク戦争のような違法な戦争に参加しようとしている兵器」の破壊=非武器化する権利が認められるのである。違法なイラク戦争に反対して自衛隊官舎でビラを撒いただけで逮捕・長期拘留される日本の民主主義の成熟度の低さとは雲泥の差があるというものだ。

原発もいずれは「電力資本のための大量破壊施設」として、全人類的に指弾されて解体される日は来るだろう。そもそも、一度事故が起きれば地球を破滅に導きかねないような施設を日本のような地震大国に建設する者たちほど破壊的な「テロリスト」はこの世に存在しない。このような施設の建設を阻止するのは人間の義務であり、その権利は国家の定めた「法」などより重いものだ。なにより「法」とは「民主主義」に規定されなければならない!

祝島住民を孤立させない連帯の輪を全国で作り出そう。
山口地裁の「反対運動禁止命令」糾弾!抵抗は民衆の権利だ!

そして、イギリスやドイツの民衆の闘いのように、私たちの力で民主主義と「私たちの法」を獲得する運動の質を作り出そう。

(F)

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