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10月24日、ビルマの民主化運動の指導者の一人であるアウン・サン・スーチーさんがミャンマー軍政に拘束されてから12年目になるこの日、アムネスティ・インターナショナルなどの呼びかけによるビルマの民主化を求める世界12都市同時行動がフランス、オランダ、アメリカなどで行われた。
●Amnesty Internationalの報告記事
ビルマでの民主化を求める大規模デモが武力鎮圧されてから、ほぼ一ヶ月が経過する。朝日新聞10月25日付によると一連のデモで三千人が拘束され、いまも400人以上が囚われている。死者の正確な数は依然不明だが、軍政の発表よりは、はるかに多いとみられる。 「民主化デモの再燃はとてもありえない」という見方が支配的とされるが、一方で一連の民主化要求の圧力は、軍政にポーズとはいえアウン・サン・スーチーさんと「対話」させ、あるいは僧侶の代表と会談させるなど、ガソリン値上げなどの生活の圧迫をきっかけに開始された民主化運動の「鎮圧後」の軍政の運営もまた容易ならざるものであることを示している。
軍政がインターネットを遮断しても、燃え盛る民主化への息吹が世界に伝わったように、世界のビルマの人々につながろうとする行動は、確実にビルマの人々に届いている。そして、「民主化支援」を口にしながら影で軍政を支援し、多国籍企業のビルマへの浸透を黙認する大国よりも、インターナショナルな民衆の連帯こそが真にビルマの人々を勇気付ける。日本においても、「左派の課題」として、ビルマの人々との継続したつながりの構築と連帯のアクションを模索していかなければならないだろう。(F)
10月6日世界ビルマ連帯アクションのニュース報道(ドイツZDF)
IV Online magazine : IV393 - October 2007
ビルマ-偽善はもうたくさんだ。行動を!
ダニエル・サバイ
世界で最も抑圧的な軍事政権の一つによるくびきの下で生きているビルマでは、デモはめったにない出来事である。しかしラングーンにおける八月中旬の石油価格の大幅な引き上げに続くかたちで、デモが拡大していった。学生によって始められたこのデモは、ビルマ中部の町パコックで僧侶がこうむった弾圧によって、九月初めにはより政治的な転換を見せた。この弾圧は、政府からの謝罪ととともに、経済改革や、ノーベル平和賞受賞者アウンサン・スー・チーをふくむすべての政治犯の解放を求める大規模な動員を引き起こした。
以前、一九八八年に起こった大きな民衆反乱は、少なくとも三千人に上るデモ参加者の殺害と数千人の逮捕者を出して終わった。ビルマ民衆は、民主主義の不在の中で、極度の貧困状態に置かれている。国内は準軍事組織の私兵によって拘禁状態に置かれ、「全国開発統一協会」といった組織は、彼らが殺害を試みてきたアウンサン・スー・チーなどに対する弾圧作戦に系統的に関わっている。
一九八八年とは対照的に、現在のビルマの危機は国際的メディアで大きな注目を集めている。それは、諸国政府と国際組織がいかに偽善的であるかを示している。国連、EU、米国は、デモ参加者への弾圧に速やかに反応した。しかしそれにもかかわらず「抑制」と「安定を回復するための平和的手段の行使」に向けたアピールは、シニカルなものである。異様なまでに残酷なタンシュエが率いる世界で最も残忍なものの一つである独裁政権が、こうしたおずおずとした言葉に脅えるなどということを誰が信じられようか。「トタル」(注)などの欧州の大企業は、あまりにも長い年月、ビルマに居続けている。こうした企業の活動は、完全に合法的な形で軍部支配層を富ませている。EUは軍事政権に金をもたらし、彼らが権力に居すわることを支える戦略的部門(希少木材、宝石、鉱石、石油)の貿易を禁止しなかった。民衆は強制労働に追いやられた。
アジアにおいて、近隣諸国、とりわけインドと中国は、ビルマが豊富に持つ天然資源の消費者であり、人権や子どもの権利の系統的侵害に目をつぶることを決めていた。インドと中国は、ビルマにおける自らの影響力を拡大することを決めた。彼らの競争は軍事政権に漁夫の利を得させた。インフラ開発、油田の採掘などのプロジェクトに数十億ドルが投資された。この二国はまた、最新兵器、飛行機、ヘリコプター、小型船舶、そして独裁政権が民衆を粉砕するために使用するあらゆる物資を売りさばき、タトマダウ=ビルマ軍を東南アジア第二の強力な軍隊に仕立てあげることに大きく貢献した。そのお返しに、この二国は、「他国の国内事情への不介入」を名目に、軍事政権の過酷な行為を非難することを拒否している。今年、中国は二度にわたってビルマの政権を非難する国連決議を拒否した。
タイ、マレーシア、シンガポールなどのASEAN(東南アジア諸国連合)諸国は、独裁政権との「建設的関与」政策を開始した。それは民主的改革に道を開くとされるものとされた。しかし民衆に有利な変化はなく、反対派や少数民族への弾圧政策が強化された。この間、ビジネスや天然資源の収奪はうまい具合に継続していた。たとえばタイは、人道的問題や環境への深刻な影響を配慮することなく、二国の国境を流れるサルウィーン川の幾つかのダム建設について軍事政権との了解覚書を取り交わした。
四十五年間の独裁
政権の座にある軍部は、個人的蓄財と権力を保持するという以外の、いかなる目的も持たなかった。彼らは、民族的反乱に対する戦いの中で嘆かわしい歴史を有している。彼らは子どもの大規模な強制徴兵、強制労働、村民の即決処刑、女性や子どものレイプ、拷問、住民の強制退去と略奪などに従事してきた。彼らは村落と家畜を焼き払い、食料資源を破壊し、被害者たちを救おうとした医療労働者を殺害している。そんなことに気づかなかったと言える国やグループはいない。
この国の健康状態、社会状況は、あまりにも恐るべきものなので、われわれは近隣諸国(インド、中国、バングラデシュ)でデング熱、結核、致命的な形をとったマラリアなどの病気が発生、再発生しているのを目撃している。この状況は、近隣諸国によって難民の地位を認められていない数百万人ものビルマ難民の運命によって、さらに悪化している。軍が組織している麻薬取引のため、ビルマは世界第二のアヘン生産国、第一の覚醒剤生産国になっている。
すべての国、とりわけEU諸国において、圧力は軍事政権との貿易・金融的投資の禁止(「トータル」などビルマで事業展開しているすべての企業のボイコット)にまで拡張されれるべきである。国際的レベルで言えば、国連はもはや単なる「両者の平和的対話」の要求に止まってはならない。国連は軍事政権の不当な強制措置をはっきりと非難し、文民政府の即時樹立に向けて活動すべきである。この文民政府は、民衆が必要とする緊急の社会的措置を行い、究極的にはビルマ社会のすべての構成要素を結集するような真の憲法制定議会選挙をもたらす、民主主義的自由を再建すべきである。
唯一正当化される援助とは、軍部や軍部が支配する組織の手に落ちることのない人道的援助である。
(注)とりわけフランスはビルマに深く関与している。多国籍企業の「トタル」は、同国に多額の投資を行い(それはビルマ国家予算の約七%にあたる)、一九九二年以来、軍事政権に協力してきた。二〇〇三年のベルナール・クシュネールの報告は、フランス石油会社がビルマ労働者への超搾取に責任があるという告発を免罪している。いまや外相となった彼は、「トタル」はビルマにとどまるべきだと再確認している。パリでは、ニコラ・サルコジは亡命中のビルマ政府首相セン・ウィン博士と会見した後、「たとえば『トタル』のような民間企業は、『最大限に自制』すべきであり、ビルマに『新しい投資』をすべきではない、と述べた。
こうした声明は、情勢の重大さを反映していない。ビルマ軍事政権とのあらゆる協力に終止符を打つことが必要である。「トタル」はビルマから撤退せよ。政治犯、そして最近のデモで逮捕されたすべての人びとの釈放を!
(筆者のダニエル・サバイは「インターナショナルビューポイント」のバンコク通信員の一人)
(「インターナショナルビューポイント」07年10月号)
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