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議論の成果をTPP反対へ
持続する運動の中で新たな挑戦

1.22 「いらない!APEC」討論集会
 横浜ビジョンvs横浜民衆宣言   

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地域メディアと社会運動の連携

 昨年一一月に横浜APEC反対運動に取り組んだ「いらない!APEC」横浜民衆フォーラム実行委員会の主催による「討論集会 横浜ビジョンVS横浜民衆宣言~APECとはなんだったのか~」が一月二十二日に横浜で開かれた。

 司会は、民衆フォーラム事務局で横浜市在住の宮崎俊郎さん。冒頭、民衆フォーラム全体を含む四八時間のウェブTVを行った「NO!APEC TV」の木村静さんによる映像記録が放映された。地域メディアと社会運動が密接にリンクした成果を全体で共有化した。民衆フォーラムすべての分科会の映像記録、そしてこの日の討論集会もすべてウェブ中継とアーカイブの記録を担った。この成果は「神奈川にも基地があるんだよねTV」に引き継がれた。

 続いて民衆フォーラム事務局を担った日本消費者連盟の山浦康明さんから、APECで各国政府が採択した「横浜ビジョン」宣言に対する批判と、民衆フォーラムで議論された様々なテーマをつなぎ合わせて作った「横浜民衆宣言」が紹介された。「菅政権はAPECをテコにTPP交渉への参加を狙っている。二〇一一年のAPECはアメリカのハワイで開催される。今年はTPP拡大交渉が進められることになるだろう。民衆フォーラムでの議論をTPP反対運動につなげよう」。横浜民衆宣言などは実行委員会のブログに掲載されている。



分科会の討論を共有化する

 次に食と農、開発援助、多国籍企業と労働運動などのテーマから提起があった。脱WTO/FTA草の根キャンペーンの大野和興さんは、「ベトナムと中国の国境沿いの農村を歩いてきた。中国からあふれ出る過剰資本がベトナム国境の農民を苦しめている。その大本はアメリカからのマネーだ。中国国内でも土地なし農民が大量に発生している。菅政権は『TPPで強い農業に』というが、農村、農民のことを忘れている。われわれはアジア規模での農業、農村、農民のこれからを考えていかなければならない」。

 ATTAC Japan(首都圏)の秋本陽子さんは、民衆フォーラムに参加したフィリピンのゲストが提起したマニラ地区の水道事業の民営化の問題と軍政に流れ続けたパキスタンへの「援助資金」の問題にふれながら、民主党政権が進めようとしている「より効率的なODA」が「より一層の収奪」につながる危険性を指摘した。

 神奈川県労働組合共闘会議の京極紀子さんからは、民衆フォーラムの労働分科会で議論されたフィリピントヨタでの組合弾圧と研修生・実習生をはじめとする日本における移住労働者の過酷な搾取の実態がひとつながりのものであることを指摘された。
 「労働の現場ではひどい人権侵害が起きている。労働運動はそれにどう立ち向かうのか。日本に労働運動はこれまでも女性やパート、非正規雇用労働者に押し付けられた状況を黙認してきた歴史がある。このことに自覚的にならなければならないのではないか。企業のおこぼれをもらうのではなく、また正規労働者の『付け足し』として非正規問題を語るのではなく。韓国や中国の労働者の抵抗に国境を越えてつながるためにも、それは重要な課題だ」。

成長それ自体に批判が必要

 若干の討論をはさんで、ピープルズ・プラン研究所運営委員の小倉利丸さんから「APEC横浜ビジョンを批判する」と題して問題提起が行われた。「政府の宣言には『成長』という言葉がたくさん出てくる。それはGDPという一つの物差しではかる一つの指標にすぎない。しかし批判するわれわれも問われる。公正な分配という要求では、パイが拡大するという成長それ自体には反対できない。しかし問われているのは成長それ自体に対する批判なのではないか。いまの若者は、自分の親の世代よりも貧しいという『貧困第一世代』であるが、だからこそ従来とは異なる価値観を持ち得る可能性もある。それに期待している」。またTPPへの取り組みについては「アメリカ追従のTPPよりも、東アジア規模でのFTAのほうがましだ、という主張もあるようだが、それではやばいのではないか」と自由貿易システムそのものへの批判的視点を持つべきだと強調した。

 各論からの提起パート2に入る。反安保実行委員会を代表して国富建治さんから提起があった。「民衆の安全保障という観点から議論をしてきた。当初は国家の安全保障にかわる人間の安全保障もあり得るのではないか、という議論もあったが、結局それは自由な市場における自由な企業活動という土台の上に建てられた論議だったのではないか。その市場を脅かす『テロ』は許さない、ということで軍事化の動きが九・一一以降より一層加速してきた。釣魚島やヨンビョン島での衝突は、アメリカの軍事力による安全保障が要であるという論調を一層押し出した。民衆運動にとっての鍵の一つは沖縄の普天間問題だろう。名護辺野古でのたたかいを通した東アジア規模での平和を考える必要がある」。

治安警備体制と社会的排除

 APEC開催地となった横浜みなとみらい地区周辺では野宿者への追い出しが行われた。寿日雇労働者組合の近藤昇さんは、近隣地域で野宿をする仲間への定期的な訪問活動を通じて明らかになったこの問題をこれまでも告発してきた。
 「地下街のシャッターが閉められそこで野宿をしていた人たちが追い出された。各地で同じような事態が発生している。高速道路の生麦ジャンクション高架下で野宿していた人に対して横浜市の土木事務所職員七人が早朝四時に訪れて、二週間以内に荷物をまとめて出ていくようにという連絡にやってきた。ふつう人の家を朝四時に訪ねるだろうか。職員の一人は野宿者問題についての人権研修も受けていた。この件について被害の当事者を交えて申し入れを行ってきた。職員は『配慮が足りなかった』と非を認めた。市は経過についての報告書をまとめていると言うので二月に入ってもう一度交渉を行う。このケースは数少ないが、しかし大きな成果だ。仲間のみんなで共有化したい」。

 APEC治安警備に抗して、というテーマで「いらない!APEC」神奈川の会の栗原学さんが提起。「APECの際に『災害派遣』と称して陸上自衛隊がAPEC開催会場周辺に配備されていた。その後、会として県知事に申し入れを行った。国全体で九八億円、神奈川県警だけでも八億円もの警備費用が、妄想の世界でつくられた『テロ災害』対策として浪費された。米軍の消防部隊もおそらく初めて陸上での訓練に参加した。まさに無駄としか言いようのない経費だ。今後も警備費用の使途を明らかにしていく活動を続ける。国は、われわれの抗議の声を圧殺するために静穏保持法なるものをAPEC開催会場周辺に適用した。デモに五〇〇人、フォーラムにも延べ五〇〇人が参加した。この一〇〇〇人の声を広げていくためのステップとして民衆フォーラムは位置づけられると思う」。

 続けて会場から、TPP反対の取り組みをはじめ、さまざまな観点から提起が行われた。民衆フォーラムに参加した海外ゲストなどから提起のあった新自由主義がもたらす女性への攻撃など、議論すべき課題はまだまだ多い。
 最後に司会の宮崎さんがまとめのあいさつを行った。「実行委員会は今日で解散するが、いらないAPECに集まった皆さんとは、またいろいろな闘いのいろいろな場面で再合流するだろう。今日議論できなかったことはたくさんある。これからの闘いの中で議論をさらに豊富化していこう」。
 日本、アジア、そして全世界におけるオルタグローバリゼーション運動の挑戦はこれからも続く。 (H)

※アジア連帯講座も「いらないAPEC!」横浜民衆フォーラム実行委員会に参加・賛同しました。

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