【フランス】パリ市当局と警察がサン・マルタン河岸のホームレスを強制排除

フランス情報サイト『フランス雑波』は、この7月10日、パリ警察とパリ市当局がサン・マルタン運河河岸の30人のホームレスのテントを強制撤去したことを伝えている。
サン・マルタン河岸のテント村は、ホームレス支援グループ・LesEnfants de Don Quichotte-ドンキホーテの子供達が昨年末からテントを提供年末からテントを提供し、300人規模のコミュニティを形成してきたものだ。

そして、このテント村は「市民の一日ホームレス体験」など市民とホームレスの交流の場として発展し、ホームレス住居の増設などを要求する「サン・マルタン憲章」を掲げ、その運動は全国に飛び火して、先の大統領選において「ホームレス問題」を一つの焦点にまで押し上げる役割を果たした。

サン・マルタン河岸のテント村とホームレスたち

SDF - Clip canal saint martin

これまで、このテント村への嫌がらせは幾度となく繰り返されてきたが、今回の強制排除は二度と野宿が出来ないようにブロックを設置した点で際立っている。それは、「移民はクズ」発言に表れているサルコジの社会的弱者を排除・一掃する意志をいよいよ露わにしたということでもある。

また、ホームレスを排除したのちに、「オブジェ」や植木などを設置して野宿させなくするという手法は、日本におけるホームレス排除の常套手段であり、パリ当局は日本の手法を模倣した可能性がある。今年2月5日の大阪市長居公園ホームレス村テント撤去は記憶に新しいが、この強制排除に対してフランスの貧困者・ホームレスたちの住宅占拠運動などが参加するNOVOXが、パリの大阪市事務所に抗議行動を行っている。

今回のパリでの強制排除に、日本でも注目していることを示し抗議の意思を示すことは、決して意義の小さいことではないだろう。(F)


≪抗議先≫
●la Préfecture fecture de Police de Paris - Gardiennage
パリ警視庁警備部
[e-mail]

 

●Official Paris Website
パリ市ホームページ・メッセージフォーム
http://www.paris.fr/portail/accueil/Portal.lut?page_id=1&send=Accueil+paris.fr++-+Paris.fr

【抗議文例】

私たちは、サン・マルタン河岸でのパリ市と警察によるホームレスたちの排除に抗議します。

We protest against exclusion of the homeless by Paris city　administration and the police in the Canal Saint-Martin from Japan.

Nous protestons contre exclusion du SDF par Paris ville administration et　la police dans le Canal Saint-Martin de Japon.

フランス雑波から

ベトン巡る内紛

昨年の冬、ドンキホーテの子供たちパリのサンマルタン運河にホームレスのテント村を作り話題になった。運河沿いのホームレステントはまだ残っており、その撤去を巡りパリ市与党内で意見の対立が起こっている。7月10日に、警官隊が、運河沿いに居を構えていた約30人のホームレスの強制立ち退きを行い、その直後にパリ市職員が、テントの再設営ができないように河岸にベトンのブロックを置いた。

与党の一部が真っ赤になって怒っている。パリ市議会のルネ・デュトレ緑の党代表の曰く「ひどいことになった。ノルマンディー上陸作戦の海岸みたいだ。パリ市は警察による“撤去”は、パリ市の意向に反して行われたものと発表するが、不思議なことに、タイミング良く市職員も登場している。警察と市当局が連携しているとしか思えない。ホームレス受け入れ場所を確保せずに強制退去することは認められない」。

そろそろパリプラージュの時期だが、セーヌ河畔のルンペンさんたちも強制退去になるのだろうか。（2007.07.13)

昨年12月に作られたサン・マルタン河岸のコミュニティ

『かけはし』から
フランス―野宿者問題をめぐる攻防　政府を動かしたテント闘争（2007.1.29号）