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爆発・火災・炉心溶融・放射能飛散
福島第一原発で最悪の事故が起こっている
政府・東電は隠ぺい工作をやめろ
全原発の運転を直ちに中止せよ
原子力緊急事態宣言
3月11日午後3時50分、福島県相馬沖合に置かれた気象庁検潮所で「7.3メートル以上」の最大波を観測した。巨大地震発生から1時間4分後である。最大波より前に津波はすでに福島県沿岸部に到達し、原発の周辺機器を破壊していた。
政府の災害対策本部の発表から時系列で追ってみる。福島第一原発では15時42分、「全交流電源喪失」のため、東京電力は運転中の1・2・3号機に関して原子力災害対策特別措置法(原災法)により国に通報。この三分後に非常用ディーゼル発電機用と思われるオイルタンクが津波で流される。16時36分、1・2号機の非常用炉心冷却装置注水不能となり、国は「原子力緊急事態宣言」を発し、対策本部を設置した。近隣から、自衛隊を含めた電源車や消防のポンプ車、さらには愛知県小牧市の東芝の子会社から特殊なポンプ三台を航空自衛隊が空輸するなど、「原子炉溶融」という最悪の事態を防ぐための対応がはじまった。22時、東電と原子力安全・保安院は最も危険視されていた2号機の次のような事故進行仮想シナリオをたてて対峙したようだ。「22時50分炉心露出」「23時50分燃料被覆管破損」「24時50分燃料溶融」、2時間半後の「27時20分原子炉格納容器から放射性物質を放出」。このシナリオは別の号機で先に現実化していた。
被害を意図的に過小想定
13日夜、東電の清水社長ら経営陣は地震後はじめての記者会見を行い、「今まで考えていたレベルを大きく逸脱するような津波だった」という。津波は推進側の考えていたレベルを逸脱したかもしれない。推進側のレベルは、想定できる不都合な事態を意図的に外し、あるいは過小に想定しないと原発の運転を続けられないというレベルだ。この大産業の意図は官学に浸透し、津波による被害を拡大させたと断言できるだろう。
文部科学省が事務局である地震調査委員会は3月13日、東日本大震災は、これまで個別に評価してきた三陸沖から房総沖にかけての七つの震源域のうち、三陸沖南部、宮城県沖、福島県沖、茨城県沖の四つにまたがるとの見解を発表。破断した断層は長さ500キロ、幅200キロ、滑り量は最大で約20メートルに達し、地震の規模は2004年12月に発生したスマトラ島沖地震のマグニチュード(M)9.1に次ぐ世界での観測史上四位となるM9.0を観測、エネルギーでは一九九五年の阪神大震災の1000倍となる。国土地理院によれば、宮城県南三陸町・志津川の観測点は東南東に約4.4メートル移動、岩手県から福島県沿岸では最大75センチの地盤沈下が地震発生とほぼ同時に起こり、津波の被害を広げたとみられる。三陸のリアス式海岸の湾内では、津波はゆうに10メートルを超えていた。
はたして想定外だったのか。七つの震源域のうち、宮城県沖の平均発生間隔は約37年で、1978年6月以来すでに30年以上が経過しており、政府は宮城県沖地震の「30年以内の発生率は99%」としてきた。また「三陸沖から房総沖の海溝寄り」のM8.2前後の津波地震は133年に一回程度の頻度で発生と評価、「30年以内の発生率は20%程度」としていた。しかし、地震後の報道で複数の研究者は過去の津波地震の地層調査と文献調査により、『理科年表』等に「津波が多賀城下を襲い、溺死者1000」と記載されている869年発生の被害地震が今回と類似した震源域の可能性があることを指摘している。こうした説を原発推進関係者は封じ込めようとはしなかったか。検証が必要だ。
次々に事態が悪化した
原発は物理的な「五重の壁」によって万が一の際に放射能を環境に漏れ出すことを防いでいる。第一は燃料ペレットで、ウラン粉末を焼き固めて飛散を防ぐ。第二は燃料ペレットを詰めるジルコニウム製のさや管。第三が原子炉圧力容器、第四が格納容器、第五が外から見える建屋だ。さらに敷地境界や屋内待機や避難という「社会的」な壁により、非常時の被曝を防ごうというシステムだ。
07年7月の中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発では、震動による自動停止後、遅くとも約20時間後に原子炉水温度は「安全」といわれる100度以下の「冷温停止」という状態になった。これと比べるだけでも福島での危機の進み方は深刻だ。
福島第一原発1号機は今年3月26日に運転開始から40年を迎えるはずだった。原子力安全・保安院はこの2月7日、耐震基準を含めてさらに10年の運転継続を認可したばかりだった。地震発生から20時間後、中越沖地震の経験では「冷温停止」になっている時間に、核燃料の一部が水面上に露出した。地震発生から二五時間後に「直下型の大きな揺れが発生し、1号機と2号機の間で大きな爆発があり、白煙が発生」という、あたかも余震の影響で爆発が起こったような奇妙な発表が行なわれた。この爆発により、原子炉や格納容器内の圧力が下がり、外部からの注水が可能になったようだ。注水されたのは海水や中性子を吸収し核分裂を抑制するホウ酸水など。不純物を含み、鋼鉄を劣化させる海水を注入したことで廃炉は確実だ。地震から90時間経過したが、「冷温停止」との発表はない。
地震から六八時間後、3号機の建屋の上部が1号機と同様に水素爆発で吹き飛んだ。3号機は昨年8月6日に福島県が受け入れ、9月23日にプルサーマル燃料による発電が行なわれていた。
2号機ではさらに深刻な爆発が起こった。地震から四日目の15日午前6時10分、こんどはさらに原子炉に近い格納容器で爆発が起こり、容器内の圧力を調整する機能をもつサブレッション・チェンバーが破損した恐れがあるという。
「輪番停電」という欺瞞
すでに避難中の多くの住民が被曝、冷却作業中の自衛隊員らも被爆した。1から3号機まですべて「冷温停止」している女川原発で福島からの放射能をキャッチしている。仙台沖に展開している米海軍は独自のモニタリングを行い、放射能が観測された海域を避けて救援活動をしているという。
放射能が飛散しているということは、すでに五重の壁すべてに、程度の差はあれなんらかの損傷が生じている。燃料が水面上に露出したことで冷却水が崩壊熱を奪えず、東電や国が認めたように「燃料が溶融」したことは確実だろう。だが、東電や国はこれのIAEAの事故尺度「4」までのシナリオしか発表していない。だが、すでに論じられ、報道されているように、事故尺度「5」のスリーマイル島事故のような炉心が溶融し圧力容器を溶かす事態。炉心の死の灰の多くを排出し、広大な土地を居住できなくさせ多くの人々の命を奪う「7」のチェルノブイリ級の事故に進むのかは現時点で予断を許さないだろう。現時点で、首相官邸で「安全」を宣伝する中、チェルノブイリ同様、兵士や消防士が必至の作業を行なっている。
政府は放射能の放出を認めても、社会的な「壁」により影響のないレベルの放出と強がる。技術的に、常に危機と背中合わせの原発に、強気は全く通用しない。現在、政府の強気は住民に対する「輪番停電」をはじめ強権発動として現れているだろう。地震が頻発する土地に、それではなくとも危険な原発を利益誘導で林立させ、それをプラントメーカーの蜜月をつくり原発輸出にまい進する民主党政権にとって、ウソと強気によって危機を「打開」しようとする手段しか残ってはいないのだろうか。
「われわれ」が原発震災へとつながる日本列島最大規模の地震としてきた東海地震ですら想定を「M8・4」としてきた。柏崎刈羽原発は、今回の「東日本大地震」の余震とも考えられる強震に襲われたが、首都機能を支えるためか、停止させていない。「安全・安心」を口にするなら、政府・東電はすべての原発を即時停止させるべきだ。
(2011年3月15日午前九時 S)
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