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「普天間移設」問題の「日米共同声明」「閣議決定」白紙撤回!
沖縄の軍事基地撤去・安保廃棄へ
労働者派遣法抜本改正、貧困と格差をなくそう
消費税率の引き上げに反対し労働権・生活権の確立へ
共産党・社民党に投票を
日本革命的共産主義者同盟(JRCL)中央委員会
国際主義労働者全国協議会(NCIW)運営委員会
(1)6月24日公示、7月11日投票の日程で参議院議員選挙が行われる。今回の参議院選挙を直前にして、昨年8月の総選挙で半世紀以上に及ぶ自民党支配を打倒して圧勝した民主党を軸とする鳩山連立政権は、「普天間県外移設」公約の裏切り、鳩山・小沢という「ツートップ」体制の「政治とカネ」問題を直接の理由としてわずか八カ月で崩壊し、菅新政権が成立した。
菅新政権は、鳩山前内閣が政権を投げ出す直前に米国オバマ政権の強い圧力・脅迫により、連立相手の社民党を切ってまで強行した「辺野古新基地建設」の日米共同声明・閣議決定を履行すると確約した。菅政権は、米軍基地に反対する沖縄の島ぐるみの闘いを切り捨て、米国のグローバルな軍事戦略に日本を実戦的に組み込む「日米同盟」にあらためて恭順の意を表明したのである。
同時に菅政権は、深刻な経済・財政危機を乗り切るために、「新成長戦略」の看板を掲げ、新自由主義の手法に依存する道に入ろうとしている。それは「経済・財政・社会保障の一体的立て直し」というスローガンの下に、消費税の大幅引き上げに向けた「税制改革」、「子ども手当」などの社会保障政策の見直し、「派遣法抜本改正案」の骨抜きにつながるものだ。
菅政権と民主党の支持率は一気に上昇している。「政治とカネ」の問題で有権者の不信を買った小沢一郎・民主党前幹事長の支配的影響力を削いだ、というイメージによるものだ。しかし菅新政権は、明らかに「政権交代」にかけた有権者の期待に反する方向へ大きく舵を切った。
「政権交代」によって切り開かれた労働者民衆の運動にとっての新たな可能性は、いまこの流動的な局面の中で前進か後退かの決定的な正念場を迎えている。7月参院選は、その意味できわめて重大な課題をすべての労働者・民衆に提示している。
沖縄の軍事基地撤去・安保廃棄へ
労働者派遣法抜本改正、貧困と格差をなくそう
消費税率の引き上げに反対し労働権・生活権の確立へ
共産党・社民党に投票を
日本革命的共産主義者同盟(JRCL)中央委員会
国際主義労働者全国協議会(NCIW)運営委員会
(1)6月24日公示、7月11日投票の日程で参議院議員選挙が行われる。今回の参議院選挙を直前にして、昨年8月の総選挙で半世紀以上に及ぶ自民党支配を打倒して圧勝した民主党を軸とする鳩山連立政権は、「普天間県外移設」公約の裏切り、鳩山・小沢という「ツートップ」体制の「政治とカネ」問題を直接の理由としてわずか八カ月で崩壊し、菅新政権が成立した。
菅新政権は、鳩山前内閣が政権を投げ出す直前に米国オバマ政権の強い圧力・脅迫により、連立相手の社民党を切ってまで強行した「辺野古新基地建設」の日米共同声明・閣議決定を履行すると確約した。菅政権は、米軍基地に反対する沖縄の島ぐるみの闘いを切り捨て、米国のグローバルな軍事戦略に日本を実戦的に組み込む「日米同盟」にあらためて恭順の意を表明したのである。
同時に菅政権は、深刻な経済・財政危機を乗り切るために、「新成長戦略」の看板を掲げ、新自由主義の手法に依存する道に入ろうとしている。それは「経済・財政・社会保障の一体的立て直し」というスローガンの下に、消費税の大幅引き上げに向けた「税制改革」、「子ども手当」などの社会保障政策の見直し、「派遣法抜本改正案」の骨抜きにつながるものだ。
菅政権と民主党の支持率は一気に上昇している。「政治とカネ」の問題で有権者の不信を買った小沢一郎・民主党前幹事長の支配的影響力を削いだ、というイメージによるものだ。しかし菅新政権は、明らかに「政権交代」にかけた有権者の期待に反する方向へ大きく舵を切った。
「政権交代」によって切り開かれた労働者民衆の運動にとっての新たな可能性は、いまこの流動的な局面の中で前進か後退かの決定的な正念場を迎えている。7月参院選は、その意味できわめて重大な課題をすべての労働者・民衆に提示している。
(2)2009年総選挙での政権交代は、小泉政権以来の新自由主義的「構造改革」路線が、大資本に空前の利益を保障する一方、「民営化・規制緩和・自己責任」の「底辺への競争」を勤労民衆に強制し、貧困・格差・無権利の急激な拡大や農漁業、中小企業や地域経済・社会の破壊をもたらしたことへの有権者の怒りの表現だった。
昨年政権交代後初めて発表された「貧困率」はOECD加盟三十カ国の中でメキシコ、トルコ、米国に次ぐ第四位という高率であり、年収二百万円以下の「ワーキング・プア」は千万人を大きく超えている。無権利・低賃金の非正規労働者は全労働者の三分の一に達している。
かと言って、多くの正規雇用労働者が保護されているわけでもない。労働者は、長時間過密労働の蔓延と強まる一方の非人間的な職場管理の下で、心身ともに磨滅させられている。急増する精神疾患と過労死は、その最悪の表れだ。とりわけ次代を担う多くの青年労働者が、「名ばかり正規雇用」とも言うべき職場実態の中で、このような酷使の矢面に立たされている。
史上最長と言われた景気上昇の中で大企業の利潤が最高記録を更新する一方、労働者の実質所得は減少していった。とりわけ先進資本主義諸国の中でも極めて低い公的社会保障がますます切り下げられる中で、貧困の影響は女性、高齢者、若者、障がい者などの弱者を直撃した。自殺者の数は毎年連続して三万人を超えた。ここに2008年秋の世界的金融恐慌が直撃したのである。2008年末から2009年初の「年越し派遣村は、「派遣切り」「雇い止め」された非正規労働者が、住む家もなく寒風の下に放り出される悲惨きわまる実態を明らかにした。
鳩山民主党主導政権の登場は、こうした現実を引き起こした自公政権への底深い民衆的批判に押し上げられたものだった。昨年9月の発足当初、七割を超える支持を獲得した鳩山政権は、しかしその後急速に支持を低下させ、今年5月末には2割を割る水準にまでになった。民主党が掲げたマニフェスト、三党連立政権合意でうたわれた政策の多くが立ち止り、後退し、あるいは裏切られた。
なぜか。鳩山政権を押し上げた危機の深さは、鳩山政権の打ち出した政策的枠組みを超える根本的変革への挑戦を必要とするものだったからである。鳩山・小沢の「政治資金」問題に示されるように、腐敗した既成の議会政治の下で自民党に代わる「政権交代可能な政党」として作られてきた民主党には、その挑戦に対応するだけの準備も意思もなかったのである。
われわれは以下の点で、鳩山政権の政策的破綻を見てきた。
第一は沖縄県民が絶対に譲れないものとして期待した「普天間基地の即時返還、基地の県内移設反対」の課題である。在沖縄米軍基地撤去の要求は「緊密かつ対等な日米同盟」という鳩山政権のスローガンを超えて、「日米同盟」の根本的な見直し、新しい東アジアの平和の枠組みの構築と日米安保の廃棄に向けた構想を提起せざるをえない。「日米同盟の見直し」は米国にとって容易には認められないことだった。鳩山政権は米国の強力な圧力と、日本の外務・防衛官僚の抵抗にさらされる中で、ふたたび沖縄に基地の重圧を強制し続ける「最悪の選択」を行うことになった。
第二はOECD諸国中最高の公的債務を抱えた財政危機の重圧の中で、「生活第一」「いのちを大事にする政治」を掲げた鳩山政権の看板政策ともいうべき「子育て手当て」「高校授業料無償化」などの一連の福祉・生活支援政策が「財政の壁」にぶつかり、「後期高齢者医療制度」の廃止、「障害者自立支援法の廃止」などの一連の公約も先送りされていることである。「障害者自立支援法」にいたっては、通常国会で延命させられようとした。さらに「派遣法抜本改正案」も経営側の執拗な抵抗により、その内容は完全に後退させられている。2020年までに温暖化ガス排出を25%削減するという約束も、他の諸国と足並みをそろえることを前提にしたものであり、また大規模な原発推進・輸出競争とセットにされている。
第三に、民主党が主張してきた外国人参政権法案、選択的夫婦別姓を認める民法改正案、あるいは民主党議員が主導してきた「戦時性的強制被害者問題解決促進法案」などの人権にかかわる一連の改革法案についても、民主党内でも意見がまとまらず、自民党などの右派勢力の激しい敵対をはねのけて法制化するための意思を持ち合わせていない。
(3)今日の世界的な資本主義の危機は、金融・経済・財政のみならず、環境・食糧・エネルギーなどの全般にわたるシステム全般の危機という現実を明白にしている。それは平和・人権・民主主義の破壊をももたらしている。
そうした中で問われていることは大資本にとっての新たな「成長戦略」を探り当てることではない。「格差・貧困」を解消し、生存権・労働権をふくむ人権を保障し、自然環境を保全していくためには、戦争・貧困と飢餓・気候変動を生み出したグローバルな資本主義システムの変革に手をつけなければならない。そのためには国際的にも国内的にも資本の規制、大資本や金持ちへの増税をふくむ所得配分構造の根本的転換を進めていくことが必要である。「法人税減税・いっそうの規制緩和」を求める大資本の抵抗・圧力を打ち破らなければならない。
そのためには、労働者民衆の「草の根」からの自立的な大衆的運動の圧力が求められている。昨年8月の総選挙による「政権交代」は、派遣法抜本改正を求める労働組合の運動や、「反貧困」ネットワークの運動をはじめとしたさまざまな社会運動に、自らの要求を、大資本の抵抗をはねかえして制度的にも実現させていくための新しい挑戦を促すことになった。しかし自治体行政をも動かした沖縄の「島ぐるみ」の反基地闘争をほぼ唯一の例外として、労働者民衆の運動はいまだ資本や右派勢力の抵抗を規制し、打ち砕く「攻勢」への局面を切り開いていない。そして沖縄の基地問題についても県民の「総意」を実現するためには、何よりも米日両政府に対する「本土」労働者民衆の闘いが不可欠なのである。
労働者民衆は7月参院選において、菅新政権と民主党に対する批判の意思を鮮明にし、自民党や排外主義・差別主義の右派新党を徹底的に敗北させることを通じて、「辺野古・徳之島の新基地押しつけ」の日米共同声明・閣議決定白紙撤回、派遣法抜本改正、消費税率引き上げ阻止などの闘いを先頭に、新しい大衆運動の攻勢局面を作り出していかなければならない。
そのためにも各々の運動の自立を尊重しつつ、垣根を超えた大胆な共同に今こそ貪欲に挑戦しよう。多様なものの生き生きとした共同の発展は、確実に運動参加への人々の心理的障壁を打ち壊し、運動のすそ野を広げるとともに、新たな出会いの中で人々に希望をつなぐだろう。それは特に若者たちにとっては何としても必要なことに違いない。
それは、歴史的な生命力を枯渇させたグローバル資本主義システムの根本的な変革に向かう、オルタナティブな反資本主義政治潮流を創出していくための主体的条件を獲得しようとする闘いなのである。
(4)昨年八月、ついに自公政権を打倒した有権者の要求を実現する道を、民主党と菅政権に期待し、民主党に投票することによって切り開くことはできない。自民、公明や雨後のタケノコのように発生した極右派新党を完膚なきまでに敗北させ、労働者民衆の利益を防衛するために、労働者民衆は次のような主張で7月参院選に臨むべきである。
●普天間基地即時無条件撤去。辺野古・高江の新基地建設阻止。6・28日米共同声明・閣議決定の白紙撤回。沖縄の人々の総意に基づく対米交渉を。
●憲法改悪阻止。自衛隊の海外派兵反対。「米軍再編」計画の廃棄。安保密約の全面公開と安保条約破棄。日朝国交正常化の実現。非核三原則の法制化。
●外国人参政権法、選択的夫婦別姓制度のための民法改正、日本軍「軍隊慰安婦」被害者への謝罪と補償の法制化を。死刑制度の廃止。取り調べの可視化、裁判の全証拠の開示、えん罪をなくせ、裁判員制度の廃止。あらゆる差別の禁止。マイノリティーの権利実現へ。
●派遣法の抜本改正。有期雇用の抜本的見直し。全国一律最低賃金と大幅引き上げ。すべての人々に人間らしい生活・住宅・雇用の保障を。労働権・生活権の確立へ。公共サービスの民営化反対。
●消費税率引き上げ阻止。大企業への優遇税制廃止・法人税引き上げ。累進所得課税の強化を。国際的金融投機への課税を。
●2020年までに温暖化ガス二五%削減目標の確実な履行を。エネルギー多消費経済からの転換を。原発増設反対。「もんじゅ」を廃炉に。核燃料サイクル計画の断念を。脱原発社会の実現へ。
●企業・団体献金の全面禁止を。完全公営選挙の導入、小選挙区制の廃止、全国単一比例選挙制度を。
われわれが以上概略した要求はきわめて不十分なものであり、運動の中でさらに豊富化されるべきものである。しかしそれは十分に実現可能である。問題はその実現のために闘おうとする明確な意思を持った政治勢力であり、それは何よりも労働者民衆自身の運動の中で作り出されるべき課題である。
今回の参院選において、われわれは反資本主義的変革をめざす独自の候補を擁立することはできない。それはわれわれの弱さの表現である。そのような状況の中でわれわれは、共産党、社民党、そして「普天間移設」問題に関して「日米共同宣言」「閣議決定」の白紙撤回を求める無所属候補への投票を呼びかける。
何よりも労働者民衆の闘いこそが、今日の世界的な資本主義の危機に立ち向かい根本的な変革を勝ち取る新しい左翼オルタナティブ=反資本主義的な政治勢力を登場させるための条件である。アジアで、欧州で、そして南北アメリカでそうした闘いは大きな成果を上げている。
日本政治・経済・社会の危機のいっそうの深まりの中で、そうした挑戦にともに踏み出そう。
2010年6月
昨年政権交代後初めて発表された「貧困率」はOECD加盟三十カ国の中でメキシコ、トルコ、米国に次ぐ第四位という高率であり、年収二百万円以下の「ワーキング・プア」は千万人を大きく超えている。無権利・低賃金の非正規労働者は全労働者の三分の一に達している。
かと言って、多くの正規雇用労働者が保護されているわけでもない。労働者は、長時間過密労働の蔓延と強まる一方の非人間的な職場管理の下で、心身ともに磨滅させられている。急増する精神疾患と過労死は、その最悪の表れだ。とりわけ次代を担う多くの青年労働者が、「名ばかり正規雇用」とも言うべき職場実態の中で、このような酷使の矢面に立たされている。
史上最長と言われた景気上昇の中で大企業の利潤が最高記録を更新する一方、労働者の実質所得は減少していった。とりわけ先進資本主義諸国の中でも極めて低い公的社会保障がますます切り下げられる中で、貧困の影響は女性、高齢者、若者、障がい者などの弱者を直撃した。自殺者の数は毎年連続して三万人を超えた。ここに2008年秋の世界的金融恐慌が直撃したのである。2008年末から2009年初の「年越し派遣村は、「派遣切り」「雇い止め」された非正規労働者が、住む家もなく寒風の下に放り出される悲惨きわまる実態を明らかにした。
鳩山民主党主導政権の登場は、こうした現実を引き起こした自公政権への底深い民衆的批判に押し上げられたものだった。昨年9月の発足当初、七割を超える支持を獲得した鳩山政権は、しかしその後急速に支持を低下させ、今年5月末には2割を割る水準にまでになった。民主党が掲げたマニフェスト、三党連立政権合意でうたわれた政策の多くが立ち止り、後退し、あるいは裏切られた。
なぜか。鳩山政権を押し上げた危機の深さは、鳩山政権の打ち出した政策的枠組みを超える根本的変革への挑戦を必要とするものだったからである。鳩山・小沢の「政治資金」問題に示されるように、腐敗した既成の議会政治の下で自民党に代わる「政権交代可能な政党」として作られてきた民主党には、その挑戦に対応するだけの準備も意思もなかったのである。
われわれは以下の点で、鳩山政権の政策的破綻を見てきた。
第一は沖縄県民が絶対に譲れないものとして期待した「普天間基地の即時返還、基地の県内移設反対」の課題である。在沖縄米軍基地撤去の要求は「緊密かつ対等な日米同盟」という鳩山政権のスローガンを超えて、「日米同盟」の根本的な見直し、新しい東アジアの平和の枠組みの構築と日米安保の廃棄に向けた構想を提起せざるをえない。「日米同盟の見直し」は米国にとって容易には認められないことだった。鳩山政権は米国の強力な圧力と、日本の外務・防衛官僚の抵抗にさらされる中で、ふたたび沖縄に基地の重圧を強制し続ける「最悪の選択」を行うことになった。
第二はOECD諸国中最高の公的債務を抱えた財政危機の重圧の中で、「生活第一」「いのちを大事にする政治」を掲げた鳩山政権の看板政策ともいうべき「子育て手当て」「高校授業料無償化」などの一連の福祉・生活支援政策が「財政の壁」にぶつかり、「後期高齢者医療制度」の廃止、「障害者自立支援法の廃止」などの一連の公約も先送りされていることである。「障害者自立支援法」にいたっては、通常国会で延命させられようとした。さらに「派遣法抜本改正案」も経営側の執拗な抵抗により、その内容は完全に後退させられている。2020年までに温暖化ガス排出を25%削減するという約束も、他の諸国と足並みをそろえることを前提にしたものであり、また大規模な原発推進・輸出競争とセットにされている。
第三に、民主党が主張してきた外国人参政権法案、選択的夫婦別姓を認める民法改正案、あるいは民主党議員が主導してきた「戦時性的強制被害者問題解決促進法案」などの人権にかかわる一連の改革法案についても、民主党内でも意見がまとまらず、自民党などの右派勢力の激しい敵対をはねのけて法制化するための意思を持ち合わせていない。
(3)今日の世界的な資本主義の危機は、金融・経済・財政のみならず、環境・食糧・エネルギーなどの全般にわたるシステム全般の危機という現実を明白にしている。それは平和・人権・民主主義の破壊をももたらしている。
そうした中で問われていることは大資本にとっての新たな「成長戦略」を探り当てることではない。「格差・貧困」を解消し、生存権・労働権をふくむ人権を保障し、自然環境を保全していくためには、戦争・貧困と飢餓・気候変動を生み出したグローバルな資本主義システムの変革に手をつけなければならない。そのためには国際的にも国内的にも資本の規制、大資本や金持ちへの増税をふくむ所得配分構造の根本的転換を進めていくことが必要である。「法人税減税・いっそうの規制緩和」を求める大資本の抵抗・圧力を打ち破らなければならない。
そのためには、労働者民衆の「草の根」からの自立的な大衆的運動の圧力が求められている。昨年8月の総選挙による「政権交代」は、派遣法抜本改正を求める労働組合の運動や、「反貧困」ネットワークの運動をはじめとしたさまざまな社会運動に、自らの要求を、大資本の抵抗をはねかえして制度的にも実現させていくための新しい挑戦を促すことになった。しかし自治体行政をも動かした沖縄の「島ぐるみ」の反基地闘争をほぼ唯一の例外として、労働者民衆の運動はいまだ資本や右派勢力の抵抗を規制し、打ち砕く「攻勢」への局面を切り開いていない。そして沖縄の基地問題についても県民の「総意」を実現するためには、何よりも米日両政府に対する「本土」労働者民衆の闘いが不可欠なのである。
労働者民衆は7月参院選において、菅新政権と民主党に対する批判の意思を鮮明にし、自民党や排外主義・差別主義の右派新党を徹底的に敗北させることを通じて、「辺野古・徳之島の新基地押しつけ」の日米共同声明・閣議決定白紙撤回、派遣法抜本改正、消費税率引き上げ阻止などの闘いを先頭に、新しい大衆運動の攻勢局面を作り出していかなければならない。
そのためにも各々の運動の自立を尊重しつつ、垣根を超えた大胆な共同に今こそ貪欲に挑戦しよう。多様なものの生き生きとした共同の発展は、確実に運動参加への人々の心理的障壁を打ち壊し、運動のすそ野を広げるとともに、新たな出会いの中で人々に希望をつなぐだろう。それは特に若者たちにとっては何としても必要なことに違いない。
それは、歴史的な生命力を枯渇させたグローバル資本主義システムの根本的な変革に向かう、オルタナティブな反資本主義政治潮流を創出していくための主体的条件を獲得しようとする闘いなのである。
(4)昨年八月、ついに自公政権を打倒した有権者の要求を実現する道を、民主党と菅政権に期待し、民主党に投票することによって切り開くことはできない。自民、公明や雨後のタケノコのように発生した極右派新党を完膚なきまでに敗北させ、労働者民衆の利益を防衛するために、労働者民衆は次のような主張で7月参院選に臨むべきである。
●普天間基地即時無条件撤去。辺野古・高江の新基地建設阻止。6・28日米共同声明・閣議決定の白紙撤回。沖縄の人々の総意に基づく対米交渉を。
●憲法改悪阻止。自衛隊の海外派兵反対。「米軍再編」計画の廃棄。安保密約の全面公開と安保条約破棄。日朝国交正常化の実現。非核三原則の法制化。
●外国人参政権法、選択的夫婦別姓制度のための民法改正、日本軍「軍隊慰安婦」被害者への謝罪と補償の法制化を。死刑制度の廃止。取り調べの可視化、裁判の全証拠の開示、えん罪をなくせ、裁判員制度の廃止。あらゆる差別の禁止。マイノリティーの権利実現へ。
●派遣法の抜本改正。有期雇用の抜本的見直し。全国一律最低賃金と大幅引き上げ。すべての人々に人間らしい生活・住宅・雇用の保障を。労働権・生活権の確立へ。公共サービスの民営化反対。
●消費税率引き上げ阻止。大企業への優遇税制廃止・法人税引き上げ。累進所得課税の強化を。国際的金融投機への課税を。
●2020年までに温暖化ガス二五%削減目標の確実な履行を。エネルギー多消費経済からの転換を。原発増設反対。「もんじゅ」を廃炉に。核燃料サイクル計画の断念を。脱原発社会の実現へ。
●企業・団体献金の全面禁止を。完全公営選挙の導入、小選挙区制の廃止、全国単一比例選挙制度を。
われわれが以上概略した要求はきわめて不十分なものであり、運動の中でさらに豊富化されるべきものである。しかしそれは十分に実現可能である。問題はその実現のために闘おうとする明確な意思を持った政治勢力であり、それは何よりも労働者民衆自身の運動の中で作り出されるべき課題である。
今回の参院選において、われわれは反資本主義的変革をめざす独自の候補を擁立することはできない。それはわれわれの弱さの表現である。そのような状況の中でわれわれは、共産党、社民党、そして「普天間移設」問題に関して「日米共同宣言」「閣議決定」の白紙撤回を求める無所属候補への投票を呼びかける。
何よりも労働者民衆の闘いこそが、今日の世界的な資本主義の危機に立ち向かい根本的な変革を勝ち取る新しい左翼オルタナティブ=反資本主義的な政治勢力を登場させるための条件である。アジアで、欧州で、そして南北アメリカでそうした闘いは大きな成果を上げている。
日本政治・経済・社会の危機のいっそうの深まりの中で、そうした挑戦にともに踏み出そう。
2010年6月
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