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航空自衛隊のイラクからの撤収にあたっての声明
~隠そうと弁解しようと、戦争加担の事実は消えない
2008年12月18日
WORLD PEACE NOW 実行委員会
12月17日、航空自衛隊がイラクから撤退し、クウェートの基地を離陸しました。私たちは、5年間にわたり自衛隊の撤退を求めてきましたが、ようやく実現の運びとなったことを苦い思いを込めて受けとめます。
そもそもブッシュ政権が2003年3月に始めたイラク攻撃は、フセイン政権が「大量破壊兵器を保有している」「アルカーイダなどテロリストと結びつきがある」というウソによるものでした。国連安保理もIAEAも、大量破壊兵器の有無は検証を続ける必要があるとして、米国の開戦方針には同意していませんでした。しかし 米政権中枢のネオコングループは、世界第2の埋蔵量をもつ産油国のイラクを 軍事制圧し、米国主導の「中東の民主化」を進めるという野心から、国際世論を無視して攻撃をおこなったのです。
私たちの「WORLD PEACE NOW」運動は、開戦前の2002年秋から始まりました。新しい 若者たちの多様なグループや、国際協力、人権擁護、環境保護などのNGO、女性運動、宗教者、憲法運動、在日外国人など、かつてない規模と多様さで多くの人びとが集まり、東京で数万人の集会とパレードをくりかえしました。その波は全国にひろがり、1000万とも2000万ともいわれた世界中の市民の反戦行動の一翼を担ってきました。「武力で平和はつくれない」――それが世界共通の想いであり声でした。
しかし小泉首相と自公連立与党は、米国の無法な戦争をいち早く支持し、それに積極的に協力することが「日米同盟」の証しとしてイラク特措法制定を強行し、陸海空自衛隊の部隊をイラクに派兵しました。米軍のイラク占領と、反対勢力に対する掃討作戦に協力することは、 国際法上まぎれもなく「戦争行為」であり、憲法9条に正面から違反しています。今年4月の名古屋高裁判決は、イラクにおける航空自衛隊の役割を詳細に吟味し、その米軍支援活動が 憲法違反であると明確に断定しました。
開戦から続く占領の5年間は、「武力で平和はつくれない」ことが証明された5年間でした。 米軍による空爆や掃討作戦の結果、10数万人とも数十万人とも言われるイラク市民が命を奪われ、イラク社会は崩壊と分裂、混乱を深め、若い米軍兵士も4000人以上が死にました。最後までイラクに残って米軍を支援した航空自衛隊は、4年9ヵ月の間に武装米兵を中心とする約4万6500人の人員と、軍事物資など約673トンを輸送してきました。 自衛隊は、支援した占領軍 の掃討作戦で死傷し、生活基盤を破壊された、多くのイラク市民の犠牲の責任から免れることはできません。
そしていま、戦争の張本人であった米国で、イラク戦争に反対し米軍撤退を掲げる大統領が選ばれました。私たちは、米軍の早期撤退と、米国とイラクが結んだ米軍地位協定の解消促進を求めます。オバマ次期大統領が、「交渉による和平しかない」 という現状にもかかわらず、アフガニスタンへの兵力集中を唱えていることに重大な懸念を抱き、アフガン戦争の一日も早い終結を求めます。
私たちは、麻生内閣がイラク戦争加担の反省もなく、アフガン戦争でのインド洋給油新法をさらに延長し、さらに「ソマリア沖の海賊対策」を口実に自衛隊派兵を拡大しようとしていることを許すことはできません。この意味で、航空自衛隊がイラクから帰ってきたことは「武力によらない平和」への通過点であり、私たちは平和の実現をめざし、さらに行動を続けます。
(以上)