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 1月15日夜、日本弁護士連合会(日弁連)が主催して、日比谷公会堂で「今こそ、個人通報制度の実現を!大集会」が開かれた。

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 「個人通報制度」とは、人権条約に規定された権利を侵害された個人が、国連の委員会に通報し、委員会の見解などを得て救済を図る手続きである。個人通報制度が実現すれば、かりに最高裁で敗訴しても条約の委員会による救済を得ることが可能となる。

 日本が批准している人権条約の中で個人通報制度を持っているのは、自由権規約、女性差別撤廃条約、拷問等禁止条約、人種差別撤廃条約の四つである。それぞれで個人通報制度を実現するためには、自由権規約については第一選択議定書の批准、女性差別撤廃条約については選択議定書批准、拷問等禁止条約では同条約二二条の受諾宣言、人種差別撤廃条約については同条約一四条の受諾宣言を、それぞれ国会で決議しなければならない。

 しかし日本は「司法権の独立」を口実に、裁判で敗訴が確定した個人が、その侵害された権利の回復を国連の委員会に通報して是正を求めることを可能にする個人通報制度が、いまだに実現されていない。国連人権理事会、自由権規約委員会、女性差別撤廃委員会などはかねてから個人通報制度の実現を勧告しているが、実現できていないのである。そのためOECD(経済協力開発機構)加盟の三十カ国、G8サミット参加国の中で個人通報制度あるいはそれに類似した制度を持たない国は日本だけとなっている。

 この日の集会は、政権交代を機にこうした「人権侵害国家」としての現実を変えようとの意思を表明するために開催された。鳩山政権与党の民主党、社民党、野党の公明党がいずれも個人情報制度実現を昨年の総選挙マニフェストの項目に入れ、共産党も積極的に支持し、かつ鳩山政権の千葉景子法相が重点施策の一つに同制度の実現を挙げている今が大きなチャンスである。一月十八日から始まる通常国会で、何としても個人通報制度を実現しよう。

 日弁連の宮崎誠会長が開会あいさつを行った後、各政党の代表が四条約の選択議定書、受諾宣言を国会で決議することを訴えた。民主党の松岡徹参院議員は「人権侵害救済法」とセットで個人通報制度実現を訴えたのを皮切りに、公明党の漆原良夫衆院議員、社民党党首・内閣府特命相の福島みずほ参院議員、共産党の仁比聡平参院議員が制度実現への党としての決意を表明した。

 基調報告を日弁連自由権規約個人通報制度等実現委員会副委員長の田島義久弁護士が行った後、「女性に対する差別」、「刑事手続きについて」、「表現の自由について」の各項目についての個別報告が行われた。

 女性に対する差別については、日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNCC)の山下泰子代表世話人が昨年の国連へのロビー活動、ならびに国連女性差別撤廃委員会第44会期第六次日本報告書総括所見が、日本での女性差別的法規定(民法での婚姻最低年齢、離婚後の女性の婚姻禁止期間、夫婦での氏の選択、戸籍制度・相続規定での婚外子差別)、固定的性別役割分担意識、雇用・賃金での性差別などについて深刻な憂慮を示し、是正を求めていることを紹介した。

 柚木康子さんは昭和シェルと兼松の男女賃金差別事件への最高裁判決が、いかにジェンダー偏見に満ちた不当なものであるかを報告、永井よし子さんは石原都知事「ババア発言」など「公人の女性差別発言」を糾弾し、土橋博子さんは日本における婚外子差別について報告した。

 刑事手続きについての人権侵害については、昨年十二月に再審が決定した「布川事件」(1967年茨城県で起こった強盗殺人事件)で無期懲役の判決を受け、一九九六年に仮出所した元被告の桜井昌司さんが登壇。弁護士とのかけあいで発言した桜井さんは、代用監獄制度の下でいかに自白が強制されていったかをリアルに報告した。

 表現の自由については、立川自衛隊官舎ビラ配布事件元被告の大洞俊之さん、葛飾マンション政党ビラ配布事件元被告の荒川庸生さんが、不当な治安言論弾圧の実態を訴えた。

 個別報告の後、「個人通報シミュレーションパフォーマンス」として、反戦ビラを配布して逮捕され、最高裁判決で有罪判決を受けた人が、「個人通報制度」を駆使して国連の委員会から日本政府への是正勧告をかちとる「近未来劇」が披露された。最後に「個人通報制度の早期実現を政府と国会に求める集会アピールが採択された。

(K)

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