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1月26日、ATTAC Japan(首都圏)公共サービス研究会は、「1・26グロー バルアクション ワークショップ」の一つとして「公共サービスを取り戻そう NO! G8 夕張フォーラムに向けたキックオフ集会」を行った。
 講師の本田雅和さん(朝日新聞社北海道報道センター夕張支局長)は、自治体破綻と公共サービス破壊に直面する夕張の現状を報告し、「債務帳消し」が必要だと強調した(発言要旨別掲)。

続いて、大利英昭さん(都庁職病院支部駒込分会書記長)は、資本が地域医療サービスに浸透しようとする「儲けの論理」を批判し、「都立駒込病院を存続・充実させ 地域医療を守る一万人署名運動!」への協力を訴えた(発言要旨別掲)。
 


JRに安全と人権を取り戻す市民の会は、JRの自動券売機をチェックするところからサービス切り捨ての実態を報告した。
討論の中で、医療労働者の仲間から医療費抑制政策と長期の不況により、保険料が支払えず医療費を払えなくなった患者さんが急増している問題について、発言があった。最後に主催者は、公共サービスを市民に取り戻すために、全国各地の切り捨てや怒りを一つに集め、全体像を浮き彫りにしていく夕張フォーラムを準備していることを紹介し、ともに取り組んでいこうと呼びかけた。

(Y)
    

 
本田雅和さん 朝日新聞社北海道報道センター夕張支局長
「誇りを取り戻す夕張の闘い」

夕張市は去年、財政再建団体となった。財政が破綻しているとわかったのが、一昨年6月だった。353億円の借金を18年で返さなければならない。以降、いろんなものを削減してきた。

夕張市は、炭坑が1991年に閉山してから中心的な産業がない町となってしまった。人口はどんどん減り、12000人だ。高齢化率(65歳以上の人口割り当て)が42%。60歳以上の人口が51%。町には若い人たちがいない。70代が一番多い。

夕張市役所は、前年度まで300人近い職員がいたが、年度末には150人近い職員が辞めた。総務省は89人に削減しろと指示している。この人数の根拠は、夕張市と同様の規模の岡山県の町の職員の数だった。しかし、その町は夕張市のような除雪費はいらないし、広域消防組合に入っているから消防関係費もかからない。夕張は、横浜ぐらいの広大な地帯で集落が点在し、インフラ整備費もかかる。財政再建計画の89人は、机上の空論だ。すでに退職希望者が出ており、財政再建計画による職員人数が達成するほどだ。

要するに財政再建計画は、かつての社会党支持組織であった炭坑労働組合の町に対する見せしめであり、干上がらさせるために国が押し付けたものだ。自民党の議員たちは、「炭労が支えた社会党にお願いしろ。連合に助けてもらえ」などとも言われている。

総務省による指示で、文化、教育、福祉予算をどんどん削ってしまった。本来ならば市民の立場に立たなければならない道庁が国の手先になっている。「帝国主義の植民地支配」のような構造だ。
取材で私は、市役所の職員の給与明細であることを隠して市役所の福祉課の窓口に申請したら生活保護対象にあたると言うほどだった。それが職員の給与明細だと告げると、貯金、車を持っていると対象にならないなどの屁理屈を言ってきた。しかし、この夕張では車なしで働いて・生活をしていくことができない。

財政再建計画に基づいて残業の上限が2・5%で6月以降は残業手当が出ない。さらに職員の月収3割カット、年収4割カットだ。賃金不払い状態だと言える。しかも十八年間も続くのだ。
私は、自治労に「不利益処分だから、人事委員会に訴えろ。労基署に訴えろ。賃金不払いだ。裁判しろ」に怒った。執行部は、「公務員に対して世論は厳しい。たとえ裁判に勝って待遇改善を求めたとしても財源がないと言われれるだけだ」と答えていた。

失業者、年金生活者が多いなかで夕張市民自身が「本田さんは公務員に甘い」と言われてしまう。格差社会の最底辺で貧乏人が貧乏人の「足」を引っ張っている。
市役所には、総務省官僚、道庁官僚、北陸銀行と北海道銀行の管理職が出向している。石原都知事と猪瀬副知事のパフォーマンスのために都職員二人も出向させている。 いずれも出身機関から高額な給料が出ている。これが支援の実態だ。市職員たちは、抗議するエネルギーもなく、サービス残業の重労働、低賃金状態が続いている。こういう実態に対してメディアは、膨大な借金を作ってきた夕張市自身の自己責任だとして、違法・違憲状態を黙認してしまっている。

 公務員の給与が生活保護レベルでは違法だ。公務員が人間らしい生活を保障されず、 まともな公共サービスを提供することができるのか。財政破綻は、もちろん長年市政をつかさどってきた市長、市の官僚制であり,それをチェックできなかった議会であり、その背景には道の責任も、国の責任もある。だからといって住民に対して「全国最低の行政サービスに最高の負担」を強いられている。財政再建計画は基本的人権を奪っている。明らかに憲法違反だ。夕張市の債務を帳消しにする必要がある。
                                                (発言要旨編集文責・Y)

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大利英昭さん 都庁職病院支部駒込分会 書記長
都立病院の民営化 駒込病院PFIの問題点

東京都の財政は、一般会計6兆8560億円、来年度の基金残高が1兆6000億円も内部留保がある。つまり、財政は潤っており、都立病院の運営を切り離す理由はない。このままでは都立病院がなくなってしまうということで07年12月に都立駒込病院を存続・充実させ、地域医療を守る会を結成した。現在、1万人署名運動を行っている。 病院をはじめ各駅頭で署名してくれる人の反応はいいです。
 
次に自治体財政の悪化と病院の民営化問題について説明します。小泉政権時代に「三位一体改革」で地方交付税の削減を行い、35道府県赤字に追い込まれた。ところが東京は828億円の黒字だ。北海道が343億円の赤字、沖縄が276億円の赤字になっている。ならば都民は、みんな金持ちなのか。年収500万円未満世帯が40・8%で格差が拡大しているのが現状だ。
07年に地方財政健全化法が制定され、健全か破綻しているかを見極める4つの尺度1.実質赤字比率 2.連結実質赤字比率 3.実質公債費 4.将来負担比率)を決めた。 従来は、実質赤字比率のみで見ていたが、4つ全部を見ることになった。病院の会計は、連結実質赤字比率に含まれている。
問題は、小さな自治体が赤字覚悟で病院を運営を続けていたら、自治体の赤字会計として反映される。つまり、公立病院の赤字が拡大すれば自治体が破綻認定される可能性がある。実際、現在の自治体病院の92%が赤字経営だが地域医療のために運営されている。

次に医療が不採算化されている面について話したい。現在表面化している医療崩壊の種は20年前にまかれていた。1984年、国民健康保険の国庫負担率が引き下げられた。以降、国保のお金は上がり続け、払えない人達が増えて赤字となる悪循環に入った。 
02年度から四回連続の診療報酬の引き下げたため病院の診療基盤が破壊していった。 また、救急医療を行ってきた病院も減少し、生まれた地域で命の差がでるほどだ。
総務省は、「公立病院改革ガイドライン」を出し、「経営の効率化」を上げて「病床利用率が3年連続で70%未満の病院は病床数の見直し」、「再編・ネットワーク化」 と言って「地方独立行政法人」「指定管理者」で運営させろと提言している。これは全国から公立病院をなくそうとする政策提言だ。
その一つがPFI(Private Finance Initiative)と言って、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」だ。事業方式は、民間事業者がPFI事業のために特別目的会社(SPC)を設立し、地方自治体はSPCと契約する。駒込病院の場合、事業規模が大きく応募したのは三菱商事だけだった。三菱商事は、国・自治体の公共サービス民営化で「10兆5000億円」の市場が創出できると判断しており、その一環としてPFI事業に乗り込んできた。

医療本体は東京都、その他周辺部分はSPCがになう。診療報酬制度のために医療本体は確実に赤字になる。だから病院本体は赤字、SPCは黒字になる。病院本体の赤字は税金で埋めるしかない。
さらに一つの病院の中に二つの組織が混在する。業務の「隙間」ができたとき誰が埋めるのか。非効率につながる可能性が大きい。病院食など民間委託し、長年培ってきた技術が失われてしまう。すでに先行したPFI病院である高知医療センターは病院本体が赤字でオリックスが黒字、近江八幡医療センターも大林が参入しているが財政破綻だ。いずれも失敗している。
都は、基本的人権につながる医療を三菱商事の金儲けのための道具にするな、積極的にワーキングプアを作るなのスローガンを掲げて反対運動を取り組んでいる。ぜひ署名運動にご協力ください。
                                                (発言要旨編集文責・Y)

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